別冊少年マガジンの班長さま（@betsumaga）による、新人漫画家さんへのスランプ克服方法

米子 @komekooo

@betsumaga 初めて質問させて頂きます。夏頃から思うように描けなくて行き詰まっているのですが、担当さんに少しの期間、お休みをくださいといっても大丈夫でしょうか？新人なので、こんな悠長なことを言える身分ではないというのは重々承知の上なのですが、→

米子 @komekooo

@betsumaga →これ以上進歩のないネームを見て頂くわけにもいかなくなってきて…。コンペに追われるより、腰を据えて勉強する期間が欲しいと思ったのですが…甘いでしょうか。また、先生方のスランプの克服法や、それにまつわるエピソードなどありましたら教えて頂きたいです！

班ちょ @pakhancho

ご質問ありがとうございます。まず「お休みをください」と言ってもいいと思います。新人なのに、とおっしゃいましたが、プロになったら休みは取れないので、休めるのも新人さんのうちの特権かもしれません。オススメのスランプ克服法は次の３つです。３つともやるのが良いです。

班ちょ @pakhancho

１）実家の自分の本棚をあさり、中学生、高校生のころ好きだった漫画や本を片っ端から読む。２）描くのはやめない。見せなくてもいい。でも何かは描く。３）運動をする。体を疲れさせる。

班ちょ @pakhancho

結局のところ、考えすぎて「面白い」が分からなくなってきているんだと思います。「こういうモノが受けるのかな」。「こういう所が足りないと言われた」「キャラクターにはそんなことはさせてはいけない」そんなことを考えすぎるあまり、米子さんの根っこがどこにあったか忘れているだけす。

班ちょ @pakhancho

だから、脳みそだけでなく体も疲れ果てさせて、一瞬でもいいから頭を真っ白にする。自分が夢中になってきたものに触れて、自分の「面白い」を再確認する。そして、描かないことがクセになったら一番よくないから、少しでも何かは描く。それがオススメの克服法です。加えて言うと、

班ちょ @pakhancho

「思うように描けなくて」という状態も、詳しく見ると３段階くらいあります。１）自分の思っている「面白い」をなぜか再現できない→理想形に技術が追いついてないだけ。練習＆実践あるのみ。

班ちょ @pakhancho

２）「思う」ものがない。何を描けばいいかわからない。描きたいことがない。→そんなものはみんな無い。そのくらいに思いましょう。幻想だ、と。そしてこう考えて見ましょう。もし、「次に描く漫画が米子さんの人生最後の漫画です」そう言われたら、私は何を描くだろうか？　

班ちょ @pakhancho

これでもいい。読者は１４歳の米子さんただひとりです。笑わせて、泣かせましょう。さて、どうしようか？これでもいいです。まじ最高にチンコ立って立ってしかたがない。もしくは超絶的に濡れて濡れてどうしようもない。そんな漫画を描いてみよう。ただしハダカは描かない。（いや描いてもいいのか？）

班ちょ @pakhancho

生まれてきて自分が一番こわかったことは何だろう？何に泣いただろう？今、私は何に怒っているだろう？そう自分と対話することです。結局、漫画は二つしかないんです。自分に向けて描くか。読者に向けて描くか。そのブレンドです。自分を知るか、仮の読者を設定するか、それが分かりやすい突破口です。

班ちょ @pakhancho

漫画を描きたい人はＯＫだけど、漫画家になりたい人はＮＧ。という言葉に影響されすぎてはいけません。描きたいものがないといけないと思いすぎてはいけません。白い紙の上で遊んでいた、あの頃と変わる必要はないんです。

班ちょ @pakhancho

３）「思うように描けなくて」の３番目。自分では面白いものを描いたつもり！でも担当や人に見せたら反応がかんばしくない。思うように前に進めない。→面白いって何なんでしょうね。ほんと。難しいですね。仮の答えを言います。僕も探しているので仮の答えです。でも、悩んでも正解の出ないことなので

班ちょ @pakhancho

どうせ正解はないので、しばらくこの答えで突っ走ってください。「面白い」とは二つです。「新しいこと」「心がふるえること」です。そして、新しいことは追求しても無意味です。自然に新しくなるんです。全力で描けばきっと新しくなるんです。「進撃の巨人はなんて新しい作品だ」とよく言われます。

班ちょ @pakhancho

「どうぶつの国」「惡の華」もしかりです。でも、新しいものを作ろうなんて思って描いてないんです。自然に新しくなるんです。どうしても新しくなっちゃうんです。人間が全力で打ち込むと。だから、つまり、「面白い」とは「心がふるえる」ことです。

班ちょ @pakhancho

自身の作品を読み返して、今あるどの漫画よりもコイツかっこいいい！！！て思うかどうか？　読み返して描いた本人なのに号泣しちゃうか？腹かかえて笑っちゃうか？こわすぎて続きを描きたくないくらいだったか？　いや、きっとそんなことはないですよね。プロ作家だってそんな瞬間はめったに訪れません

班ちょ @pakhancho

でも、そうでないとしたら、きっとまだあなたの作品は面白くなる余地があるんです。面白いって一瞬思ったけど、でもまだ面白くなるものなんです。担当や友達につまらないと言われても、ぎゃふんと言わせてやろうとめげずに行きましょう。生きましょう。ましてや、もしも今ヒットしているあの作品と、

班ちょ @pakhancho

あの作品と似ているから面白い、はず！と思っていたとしたら、やっぱりそれは幻想です。もっともっと面白くできるはず。です。ぐだぐだすみませんでしたー。仕事に戻ります。どもども。

班ちょ @pakhancho

あ、すみません！大事なこと一こ言い忘れました！これホント大事。「完璧なネーム」「直しのないネーム」「面白すぎるネーム」「一発ＯＫのネーム」「進歩のあるネーム」、担当にはそんなネームを持って行こう！と思い過ぎなくていいんですよ。グダグダだったりしていいんですよ。

班ちょ @pakhancho

なんかダメだけど、何がダメなのかわからへんわー。そんなネームでもいいんですよ。まったく、本当に、全然。完璧なネームを持ってこようとしすぎて、つぶれていってしまう新人さんを何人も見てきました。まじ本当にそんなことないんで。大歓迎です。なんでも。それだけ、よろしくです。