個人情報保護法について(鈴木正朝教授の連続Tweet)

個人情報法について鈴木正朝氏 (新潟大学 大学院実務法学研究科 教授 (情報法)、@suzukimasatomo )の連続Tweetをまとめました。 日経新聞の報道「民間の個人情報売買解禁へ 政府、新事業創出を後押し」[ http://www.nikkei.com/article/DGXNZO48940300Z21C12A1EE8000/ ]による波紋から、世間を騒がすCCC社のT-Pointカード問題、消費者保護、法規制がビジネスを阻害するという俗説に対する批判、個人情報保護法のみにとらわれない総合的な取り組みの必要性について…etc.
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背景

鈴木 正朝 @suzukimasatomo

「薬害オンブズパースン会議,Tポイントサービスに関する要望書提出」 http://t.co/Oya6wesP

2012-11-22 15:21:30
鈴木 正朝 @suzukimasatomo

これはぜひとも読んでおくべき。Tカード問題の法的な基本論点がクリアに説得的に解説されています。→「薬害オンブズパースン会議,Tポイントサービスに関する要望書提出」 http://t.co/Oya6wesP  #takeolibrary

2012-11-22 23:56:21
鈴木 正朝 @suzukimasatomo

本日11月21日(土)のNHK7時のニュース「おはよう日本」で、Tカードがドラッグストアから情報を得ていることの問題点についてコメントしてみました。

2012-11-24 07:24:50
鈴木 正朝 @suzukimasatomo

Tカード問題に対するコメントがNHKのサイトに掲載されました。「利用者購入の医薬品データ収集 懸念の声」(11月24日) http://t.co/gBaFt9u1

2012-11-24 07:44:46
鈴木 正朝 @suzukimasatomo

高木浩光氏と昨今の騙す気満々系の利用者情報収集アプリの問題などについてInternet Week 2012のパネルで語ってみた。→ Impress Watch「だまして利用させる“禁じ手”に歯止めを、“プライバシーエンジニア”育成も」http://t.co/wFVYz79E

2012-11-27 12:23:38

関連まとめ等

まとめ 「Tポイントは本当は何をやっているのか」を読んだ方々の感想 http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20120923.html 高木浩光@自宅の日記 2012年09月23日 ■ Tポイントは本当は何をやっているのか 上記の文章が投稿され話題を呼びました。その時の多くの方々の感想ツイートです。 http://b.hatena.ne.jp/entry/takagi-hiromitsu.jp/diary/20120923.html こちらではてなブックマークコメントを読むことができます。 量が多く雑なまとめですみません。 #まとめられたくないかたはご別に削除できますのでお手数ですがご自身で削除いただけますようよろしくお願いいたします。 36591 pv 121 8 users 304
まとめ 東大駒場祭 「ビッグデータ」のプライバシー問題を考える 実況まとめ 東大21世紀プライバシー研究会主催の講演&パネルディスカッション  登壇者(公式サイト掲載順)   川上量生氏 (ドワンゴ(株)代表取締役会長)   楠正憲氏  (ヤフー(株) 技術調査室 室長・政府CIO補佐官)   津田大介氏(ジャーナリスト、メディア・アクティビスト)   三又裕生氏(経済産業省 商務情報政策局 情報政策課長)  モデレーター 玉井克哉東京大学先端科学技術研究センター教授 28858 pv 293 95 users 86

「民間の個人情報売買解禁へ 政府、新事業創出を後押し」(2012/11/29 2:00 日経新聞)http://www.nikkei.com/article/DGXNZO48940300Z21C12A1EE8000/

城田真琴 @Makoto_Shirota

この記事はガセのようです。私も委員になっている経産省のパーソナルデータに関するWG http://t.co/MNWtofSO で今朝確認したので間違いありません。RT 民間の個人情報売買解禁へ 政府、新事業創出を後押し:日本経済新聞 http://t.co/v0U6QiDe

2012-11-29 20:23:01

個人情報保護法について

鈴木 正朝 @suzukimasatomo

さて、日経の個人情報保護法改正の誤報が落ち着いたところで、個人情報保護法についてコメントしたい。いわゆる連結可能匿名化は、たぶん厚労省の医療個人情報保護法案でも重要論点になるところだろう。反対というわけではないが丁寧な検討特に国際的な整合性、そして国民への説明が求められる。

2012-11-30 02:07:59
鈴木 正朝 @suzukimasatomo

特定個人の識別(可能)情報(PII)から特定個人は識別できないが個人の権利利益を侵害しかねない情報(non-PII)に保護範囲が拡大している欧米の動向を踏まえた議論は重要である。

2012-11-30 02:10:28
鈴木 正朝 @suzukimasatomo

(1)日本法における「識別」と米国法におけるidentificationとの概念がズレているように感じる。(2)特定個人の識別(可能)情報とlinkableとの違いもしっかり認識しておくべきだろう。

2012-11-30 02:13:12
鈴木 正朝 @suzukimasatomo

それから、(3)non-PIIの中でも「識別子」は特別だ。その機能と性質を押さえた上で匿名化の議論をしていくべきだろう。(4)匿名化の概念定義と用語、法的効果を、連結可能性を担保する技術の評価とともに丹念に積み重ねていかねばならない。

2012-11-30 02:14:21
鈴木 正朝 @suzukimasatomo

「匿名」は名を匿(かくま)うと書くように、字義から見れば実名を誰かが知っていて隠している(かくまっている)状態を言うのではないか。あえて「連結可能」匿名化というべきなのか疑問であった。それよりも「連結不能」匿名化というのはいただけない。法令用語には不適切な用語であろう。

2012-11-30 02:23:12
鈴木 正朝 @suzukimasatomo

しかし、日経の報道を受けた反応の中には、浅薄なビジネス命のつんのめり方が垣間見えるだけに、不安は大きい。こうした連中が望む通りにするほどに欧米との動向とのズレは拡大し、越境データ問題の解決から遠のいていく。どうやらデータ鎖国がお望みらしい。

2012-11-30 02:29:31
鈴木 正朝 @suzukimasatomo

消費者保護=ビジネス阻害要素という短絡が支配していて、Tポイントカードの問題提起が利活用促進策にマイナスになるという印象論から抜けきれない警戒感。その頭の固さと視野狭窄さが、ビジネスセンスの悪さと正比例の関係にあるようだ。むしろ逆なのだが、わからんのだろうか。

2012-11-30 02:32:12
鈴木 正朝 @suzukimasatomo

日本の個人情報保護法制におけるphilosophyの欠如がまた後々ボディブローのように効いてくるに違いないと不安になっている今日この頃。EUと米国との法文の文字面を比べるだけのチープな比較法もどきな分析が跋扈しているが、そうしたテクニカルなしのぎ方だけの問題ではないのだが。

2012-11-30 02:34:47
鈴木 正朝 @suzukimasatomo

こういう重要論点がいくつも控えているだけにTポイントカード的な狼藉者をしっかり取り締まるところが重要であった。この報道の流れでは、あれも利活用、ビジネス促進の一例で追認するつもりですよとメッセージを出しているようにも見えるではないか。それが、今後の議論に躓きを与えるわけだ。

2012-11-30 02:37:28
鈴木 正朝 @suzukimasatomo

ある種の創薬ビジネスでは、薬害に備えて、原料と薬との間で双方向のトレーサビリティを確保する必要がある。それを法的に担保するものとして、いわゆる連結可能匿名化がある。国際的整合性を踏まえながら重要概念をできる限り合わせていくことの重要性をどれだけ認識しているのだろうか。

2012-11-30 02:39:08
鈴木 正朝 @suzukimasatomo

法体系の違いはいかんともしがたいが、それを超えて越境データ問題にとりくむのであれば、少なくとも重要な法令用語は米国法と合わせていくことも検討すべき。無駄にずれているようではコミュニケーションを阻害する。これが誤解と問題を生む遠因にもなっている。哲学のない国が譲歩すべきだ。

2012-11-30 02:42:02
鈴木 正朝 @suzukimasatomo

連結可能匿名化を採用するなら、連結性を担保する「対応表」的機能を有する情報が必要であろう。さて、それを誰が保管し、誰が法的義務と責任を有し、本人はそれにどう関与し、行政はそれをどう監視、監査するのか。罰則はどうするか。利便性の裏にある危険性をどのように最小化していくのか。

2012-11-30 02:44:43