四一郎さんの「0で割る話」の補足

前段のお話「四一郎さんの『0で割る話』」 http://togetter.com/li/414222 の(24番外)に出てきた「実数を一点コンパクト化して~」等のお話。
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四一郎 @yon_ichiro

(0)さて、昨晩やろうとしてうっかり寝てしまった「0で割る話の補足」をはじめてみようかと思います。前回の一連のツイートに特に間違いがあったわけではない(と、思うんだけど……)のですが、これも言っておいたほうがいいのかなと後から思ったことがいくらかあるので。

2012-12-02 15:23:51
四一郎 @yon_ichiro

(1)まず、前回まったくふれなかったけれどその後いろいろみて気になったことを。2÷0という式の値を数としては定義できない(演算の体系全体を保つ限り)のは前回言ったとおりで、それについては「適切な値がない」ということで納得しやすいと思うのですが、では0÷0はどうか。

2012-12-02 15:25:55
四一郎 @yon_ichiro

(2)この0÷0について「どんな値でも適する」と考える人もいると思います。「2÷0=aとおくと2=0×aで、適する数aはない」というロジックでいけば、「0÷0=bとおくと0=0×bで、数bはなんでもOK」と解釈することもできそうです。しかし、これは割り算を「演算」とみるかぎり、

2012-12-02 15:29:07
四一郎 @yon_ichiro

(3)やはり困ります。演算というからには、演算の結果は一通りに決まってくれないと、数学的に便利ではないのです(テストで○×がつけにくい、とかいう理由ではありません)。どのように便利でないかを一言で言うのは、うーん難しいけど、「現代数学が集合と写像で語られているから」かなあ。

2012-12-02 15:31:53
四一郎 @yon_ichiro

(4)(長考してしまった。あまり今まで意識したこともなかったが、0÷0についての考察は2÷0の話よりも難しいかもしれない。今からいうことも適正かどうかよくわからないが、とりあえず書いてみよう。)

2012-12-02 15:43:05
四一郎 @yon_ichiro

(5)どんな値でも0÷0の値として適するんだから、じゃあたとえば1でもいいじゃないか、という考えもあるでしょう。しかし、次のように考えられると、それでは困りそうです:2x/x っていう式、x≠0ならばいつでも値は2ですよね。しかし、0÷0=1というルールの下でx=0とすると、

2012-12-02 15:44:43
四一郎 @yon_ichiro

(6)そのときだけこの式の値は1になる。x≠0のときの話とx=0のときの話がうまく接続しないなんてことは数学ではよくあることですが(高校生範囲くらいでも少しはある)、割り算というごく基礎的な演算でこれはちょっと困るような気がします。

2012-12-02 15:46:31
四一郎 @yon_ichiro

(7)それで、数学の標準的な立場からは、「cがどんな数であったとしても、c÷0という演算は定義しない」ということになります。足し算引き算掛け算にそんなうっとうしい条件がつかないだけに悔しいですが、c÷0を認めた数学世界より、認めない数学世界のほうが楽しかったんでしょうね。

2012-12-02 15:48:49
四一郎 @yon_ichiro

(8)ただ、「c÷0だけは例外なんていやだ!」という精神は、数学的にはそんなに誤ったものではないと思います。実際、数学では2÷3をしたくて分数(有理数)を作ったり、x^2=-5の解がほしくて虚数を作ったりしています。作り始めは奇異な目で見られたでしょうが、いまや普通の対象です。

2012-12-02 15:53:00
四一郎 @yon_ichiro

(9)2÷0だって、今はないかもしれないけど、がんばってその値を作ろうよ、って考えたくなる日もあるでしょう。それでですね、今日は「数であることをあきらめれば、数学的対象として2÷0ぽいものを考えられなくもない」というお話をしてみようと思います。

2012-12-02 15:56:54
四一郎 @yon_ichiro

(10)あまり数学的な大仕掛けを使わないほうがいいとは思うのですが、座標平面くらいはいいかな。札幌の町のように、平面にたてよこに道が走っているような状況を考えてください。で、たとえば東1条北2条という地点のことを、殺風景に(1,2)と言ってしまいましょう。マイナスも考えて、

2012-12-02 16:00:42
四一郎 @yon_ichiro

(11)西5条南3条は(-5,-3)で。そして、札幌には東3.3条南π条なんていう中途半端な交差点はありませんけど、そこを押し切ってそこを(3.3,-π)ということにします。すると、札幌市内の、というか平面の、どの点にも(x,y)という名前(座標といいます)がつくわけです。

2012-12-02 16:04:06
四一郎 @yon_ichiro

(12)そこで、座標平面上のすべての点に、「あなたのところでy÷xの値を計算して報告してください」とお願いしたとしますね。たとえば点(10,2)からは「5だよー」という返事が返ってきます。点(-30,-6)からも、「5だよー」と返ってくる。当然の突込みをおいといてとりあえず進む。

2012-12-02 16:08:19
四一郎 @yon_ichiro

(13)このy÷xの値、ただやみくもに計算させているだけではなく、ちゃんと幾何学的(図形的意味)があります。つまり、y÷xの値としてある決まった値、たとえば5を返してくる点たちは、「一直線上に並んでいる」という大きな共通点を持っています。

2012-12-02 16:11:18
四一郎 @yon_ichiro

なかなか思ったように書けないな……修行が足らん。

2012-12-02 16:15:10
四一郎 @yon_ichiro

(14)逆に述べるとこうなります:(0,0)地点(札幌だと駅があるんだっけ?)を通る直線をどれでも一本見ると、その直線上にある点たち(無限個ある)は、全部、y÷xの値が共通です。そして、ラインが変るとy÷xの値も絶対に変ります。

2012-12-02 16:18:16
四一郎 @yon_ichiro

(番組の途中ですがおわびです。札幌市の東西は条ではなく丁目で数えるのですね。そして札幌駅は(0,0)地点にあるのではないのですね。札幌の人ごめんなさい間違えてました……)

2012-12-02 16:22:08

札幌の(0,0)地点はどうやらこのあたりのようです。

リンク goo.gl 43.060834,141.357117 - Google マップ 地図検索と地域のお店やサービスの情報
四一郎 @yon_ichiro

(15)さて、ここまでの話で突っ込みたくてうずうずしていましたね。そうです、「創成川通りの立場は!?」あるいは「x=0の点ではy÷xを計算できないって言ったじゃないか!?」そのとおりです。つまり、先ほどまでの「平面を直線に分ける話」、全部x=0のところを例外にしています。実は。

2012-12-02 16:25:52

創成川通り:(0,0)の地点から南北に伸びる川沿いの大通りですね。グラフでは0から上下に伸びるY軸のこと。

四一郎 @yon_ichiro

(16)しかし、この例外は悔しいですね。x=0である点全体の集合も一本の直線になっていますが、この直線上の点をいっせいに無視するのはおおごとです。ほかの点たちと同じように、一直線上にならんでいるのですから、「y÷xが定義できない点」として、仲間になったらいいのではないでしょうか。

2012-12-02 16:30:06
四一郎 @yon_ichiro

(17)たとえば、y÷x=3となる点((6,2)とか(9兆,3兆)とか)全体の集合(地図上だったら町内会みたいなもんかな。そんな不便な町内会の決め方しないけど)を、仮に、『チーム3』と呼ぶことにしましょうか。ほかにも『チーム‐8』とか『チーム0』(札幌だと大通り!)とかあるわけ。

2012-12-02 16:34:01
四一郎 @yon_ichiro

(18)で、平面上のほとんどの点が何らかの『チーム』に属するわけですが、ではx=0である点(x,y)たちはどうしましょうか。(0,0)を通る直線であることは間違いないし、なんらかの『チーム』を作ってもいいでしょうが、問題はネーミングです。数で名前を付ける限り、絶対に

2012-12-02 16:36:11
四一郎 @yon_ichiro

(19)先行しているどこかのチームとバッティングします。どんな数aについても、『チームa』は既存で、創成川チームが名乗れる名前ではありません。ではどうしましょう。『チーム・y÷xが定義できない』……いや、これで間違っていないですよ。ですけど、これ売れないよね。売らなく定員だけど。

2012-12-02 16:39:18