エーリッヒ・フロムの「消費人(Homo consumens)」論

フロム、エーリッヒ 「マルクス理論に対するヒューマニスティックな精神分析の適用」(フロム編『社会主義ヒューマニズム』城塚登監訳、紀伊国屋出版、一九六七年、 上巻二六七〜二八五頁)より。
12
安冨歩(やすとみ あゆみ) @anmintei

【E.フロム】①消費人(homo consumens)は、必ずしも第一に物を所有することを目標とはせず、ますます消費すること、したがって彼の内的空虚・受動性・孤独・不安の代償を主目標とする人間である。

2012-12-09 12:20:11
安冨歩(やすとみ あゆみ) @anmintei

【E.フロム】②巨大企業、巨大産業や政治機構や労働の官僚制によって特徴づけられる社会では、自分の労働環境をコントロールできない個人は、無能力・孤独・退屈・不安を感じる。

2012-12-09 12:20:36
安冨歩(やすとみ あゆみ) @anmintei

【E.フロム】③同時に、大消費産業の求める利潤への欲求は、広告という媒体を通して、個人を、大食家に、ますます消費することを欲する永遠の乳児に変えてしまう。

2012-12-09 12:20:47
安冨歩(やすとみ あゆみ) @anmintei

【E.フロム】④彼にとっては、すべてのものが消費の対象となる。すなわちタバコ・酒類・セックス・映画・テレビジョン・旅行、そして教育・書籍・講演でさえも消費の対象となる。新しい人為的な欲求が創造され、ひとびとの趣味が操作される。

2012-12-09 12:21:06
安冨歩(やすとみ あゆみ) @anmintei

【E.フロム】⑤(消費人の性格は、その最も極端なかたちとしては、よく知られた精神病理学的現象である。それは隠された抑圧と不安の代償として、過食・買い過ぎ・アルコール中毒へ逃避する抑圧された、あるいは不安な人間の多くの場合にみられる)。

2012-12-09 12:21:37
安冨歩(やすとみ あゆみ) @anmintei

【E.フロム】⑥消費欲(フロイトが「口唇―受容的性格」とよんだ極端な形態)は、現代の産業化された社会における、支配的な精神的力となる。消費人は、無意識のうちでは自分の退屈さと受動性に悩んでいるのに、幸福であるかのような幻想をもっている。

2012-12-09 12:21:59
安冨歩(やすとみ あゆみ) @anmintei

【E.フロム】⑦彼が機械に対してより大きな力を持てば持つほど、人間存在としては彼がますます無力となる。より多く消費すればするほど、産業組織がつくりだして操作するたえず増大する欲求の奴隷となる。

2012-12-09 12:22:17
安冨歩(やすとみ あゆみ) @anmintei

【E.フロム】⑧彼は、スリルや興奮を喜びや幸福と取り違え、物質的安楽を生きがいと取り違える。貪欲を満足させることが人生の意義となり、それを求めることが一つの新しい宗教となる。消費する自由が、人間の自由の本質となってしまう。(フロム 一九六七、二七五〜六頁)

2012-12-09 12:22:50
安冨歩(やすとみ あゆみ) @anmintei

@novinovi125 この本は入手困難なので、『悪について』あたりをおすすめします。http://t.co/BhMgiYG7

2012-12-09 21:51:43