バニーちゃんがおじさんのPDAを気にするお話(途中)

何故おじさんは一人だけPDAを右手につけているのか?からの兎虎(予定) 続き書きます…
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はにぃ。@シュテ市民兼ウルク民な審神者 @honey_boogie_TB

不思議だった。どうして、あの人だけ左手にPDAを着けているのか。 PDAは基本的に左手に着用するようにできている。左利きならまだわかるが、あの人がそうでないのは隣に居ればすぐわかった。ワイヤーギミック入りの時計をしているためかとも考えたけど、むしろ利き腕でない腕に精密さが→

2012-10-19 15:32:22
はにぃ。@シュテ市民兼ウルク民な審神者 @honey_boogie_TB

求められるギミックを仕込む理由の方がわからない。 なぜ、どうして。一度でもそう思ってしまったらもうだめだ。僕は気付けば、虎徹さんの手首を見つめている時間が増えた。そんなことを気にしてどうするんだと理性が言うのに、謎を謎のままにしておけないのが僕の性分だ。「虎徹さん」→

2012-10-19 15:43:55
はにぃ。@シュテ市民兼ウルク民な審神者 @honey_boogie_TB

ある日ついに、耐えきれなくなった僕は虎徹さんに直接問いかけてしまった。「どうして虎徹さんだけ右手なんですか?」「へ?」「その、PDAですよ」潰したバーガーを口まで運ぶ途中で動きを止めた虎徹さんは、たっぷり10秒は固まって、……バーガーから滑り落ちたトマトを慌ててキャッチした。→

2012-10-19 15:50:36
はにぃ。@シュテ市民兼ウルク民な審神者 @honey_boogie_TB

つまみ上げたトマトを一口で頬張った虎徹さんの目は、困ったように泳いでいて。誤魔化す気なんだと、瞬時に理解してしまった。「……別に、特別意味なんてないんだけどな」トマトを飲み込んだ虎徹さんは、微妙に視線を逸らしたまま呟いた。「なんとなく?癖っていうか」→

2012-10-19 20:30:42
はにぃ。@シュテ市民兼ウルク民な審神者 @honey_boogie_TB

「癖って、あえて不便な方に付けるのが?」「別に不便とかじゃねぇよ、もうとっくに慣れたし」慣れた、という言い回しがあえてそうしたんだと告げているのと同じだということに、虎徹さんは気づいていないみたいだった。「っあ、そういや今日までの報告書残ってるんだった!」わざとらしく叫んで、→

2012-10-19 20:36:37
はにぃ。@シュテ市民兼ウルク民な審神者 @honey_boogie_TB

虎徹さんは大口をあけてバーガーに噛り付くと、たったの3口で食べきってしまった。「じゃ、バニーちゃんはごゆっくり!」「ちょっ……!」脱兎のごとくカフェテリアから逃げ出す虎徹さんは、引き止める暇もくれなかった。どっちが兎だ。虎徹さんに急ぎの仕事がないことくらい知っている。→

2012-10-19 20:44:33
はにぃ。@シュテ市民兼ウルク民な審神者 @honey_boogie_TB

昨日、僕が手伝って全部終わらせたんだから。そんなわかりやすい嘘をついてまで隠したいのかと思うと、余計に知りたくなるのが人の心だ。僕は決意した。絶対に秘密を暴いてやる、と。 けれど僕は、虎徹さんを甘く見ていた。あの人はうまいこと逃げ回り、巧妙に僕の質問を遮った。思わず唸る程、→

2012-10-19 20:54:26
はにぃ。@シュテ市民兼ウルク民な審神者 @honey_boogie_TB

鮮やかな手並みだ。しばらく逃げ回るうちに僕が忘れる事を狙ってるんだろうが、そうはいかない。僕はそれまで以上に、虎徹さんを観察することにした。気づかれない程度に、けれど大胆に、僕は虎徹さんを、虎徹さんの手元を観察した。右手にあって左手にないもの、左手にあって右手にないもの。→

2012-10-19 21:00:56
はにぃ。@シュテ市民兼ウルク民な審神者 @honey_boogie_TB

気付いたのは、虎徹さんの指がパンチを得意としているにしては、おそろしく綺麗なこと。それなのに深爪気味の指先はいつも少しささくれていること。案外器用で、レシートの切れ端でオリヅルや手裏剣や、他にもいろいろなものが作れること。懸垂のしすぎでタコができた掌。その掌がとても暖かいこと。→

2012-10-19 21:09:45
はにぃ。@シュテ市民兼ウルク民な審神者 @honey_boogie_TB

スーツを着ている時はどこかコミカルな動きをするその腕は、スーツを脱ぐと鍛え抜かれた筋肉が優美な流線を描いて。頬杖をついて尖らせた唇が案外可愛らしいという事に気付いた時、僕は自分が危険な領域に踏み込んだ事を悟った。……あの人は子持ちやもめのおじさんだ。誰よりも信頼するバディだ。→

2012-10-19 23:14:54