茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第803回「北朝鮮はなぜ、ミサイルを発射してはいけないのか」

脳科学者・茂木健一郎さんの12月13日の連続ツイート。 本日は、分析系ツイートです。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

しゅりんくっ! ぷれいりーどっぐくん、おはよう!

2012-12-13 06:58:09
茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第803回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、分析系ツイートです。

2012-12-13 07:56:24
茂木健一郎 @kenichiromogi

きみ(1)昨日、外国特派員協会にて、小沢一郎さんとお話した際、部屋に入る直前、携帯電話が震えた。ニュース速報のメールだった。北朝鮮がミサイルを発射したという。技術的不具合が伝えられていただけに、意外だった。小沢さんを始め、部屋にいる方々にお話すると、みなさん驚かれていた。

2012-12-13 07:58:08
茂木健一郎 @kenichiromogi

きみ(2)この発射の成功により、北朝鮮は、核兵器、及び韓国や日本はもちろん、北米も射程圏内とする運搬手段を持つこととなった。世界の平和や安定に対する脅威。独裁体制の下、国民が食料が手に入りにくい状況にあえいでいる中で、軍事開発だけに力を入れる異形の国。今後が懸念される。

2012-12-13 08:00:21
茂木健一郎 @kenichiromogi

きみ(3)ところで、北朝鮮はなぜ、ミサイル開発をしてはいけないのか。原理原則に戻って考えると、案外その説明は難しい。今回のミサイル発射は国連の安全保障理事会の決意に明確に違反するという。国際社会は、そのことを根拠に北朝鮮への制裁に走るだろう。それは、どのような原理に基づくか。

2012-12-13 08:01:59
茂木健一郎 @kenichiromogi

きみ(4)もともと、安全保障理事会の常任理事国は、第二次世界大戦における戦勝国である。そして、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国は、すべて核兵器とその運搬手段(大陸間弾道ミサイル)を保有している。冷戦期には、「相互確証破壊」(MAD)が、抑止力として議論された。

2012-12-13 08:03:30
茂木健一郎 @kenichiromogi

きみ(5)相手が攻撃してきたら攻撃仕返し、お互いに破壊し尽くすことを保証する。人類が何度も絶滅するくらいの核兵器の蓄積の下で生まれた「相互確証破壊」(MAD)のドクトリンは、現在でも消えているわけではない。核の平和は、ダモクレスの剣の下で保たれている。

2012-12-13 08:06:43
茂木健一郎 @kenichiromogi

きみ(6)そもそも、国家の主権(sovereignty)には、制約がない。だから、他国に戦争をしかけて破壊、殺戮することも行われてきた。近年に至り、「人権」などの普遍的価値から、内政干渉も正当化されるが、国家が現代における唯一の「リヴァイアサン」として存在しているのは事実である。

2012-12-13 08:08:46
茂木健一郎 @kenichiromogi

きみ(7)北朝鮮の国としてのあり方が、きわめていびつなものであることは事実である。一方、ミサイル発射について、「アメリカもロシアも中国も持っているではないか」「国家の主権の範囲内である」と反論されたら、果たしてアメリカがどのような理論構成ができるのか、すぐには明確ではない。

2012-12-13 08:10:11
茂木健一郎 @kenichiromogi

きみ(8)日本は世界で唯一の被爆国であり、今後も核兵器を持つ可能性は低い。そして、その日本は、アメリカの核の傘の下で、「相互確証破壊」(MAD)に基づく平和を享受している。今回の北朝鮮のミサイル発射は当然非難されるべきだし、制裁もなされるだろう。一方で原理的思考も必要。

2012-12-13 08:12:02
茂木健一郎 @kenichiromogi

きみ(9)世界を、いかに平和で安定した場所に導くか。北朝鮮の現在の政体が、核兵器とその運搬手段を持つことが、脅威の増大につながることだけは間違いない。一方で、偽善の自覚は非難する者の道徳的正当性をおとしめる。核兵器を持たない日本だからこそできる国際政治の可能性に注目したい。

2012-12-13 08:13:59
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第803回「北朝鮮はなぜ、ミサイルを発射してはいけないのか」でした。

2012-12-13 08:14:36