アイドルたちのWORLD WAR Z（萩原雪歩編）

現場猫教授 @Dr_crowfake

（萩原雪歩上級曹長は日本国籍の元歌手である。ロッキー山脈西部に避難後、資源戦略省により兵士適性を認められ、反攻作戦に日系人兵士として参加した。彼女は白兵戦技量に優れ、個人戦果は4桁に昇る。その勇気と技量を認められ、名誉勲章を授与された。現在は後進育成を行なっている）

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「アメリカ興行中にあの災害に巻き込まれた私たちは、プロデューサーさんの助けを借りて、なんとかロッキー山脈の西側まで避難できました。そこで私たちは、日本がすでに混乱状態になってて帰れないこと、アメリカは市民以外も対ゾンビ戦に協力するなら平等に扱うことを知らされたんです」

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「私はディストレス（資源戦略省）の適性テストで、なぜか兵士向きだって判断されたんです。そこで最初に渡された武器は、鋭く研ぎ澄まされたスコップでした」「スコップ？」「あのころはまだ「ロボトミーくん」が実用化されてなくて、ゾンビ相手の白兵戦武器としてスコップが採用されてたんです」

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「スコップでゾンビの頭をかち割れっていうんですよ？　最初はディストレスが何を考えてるのか、訳がわかりませんでしたし、人間はそこまで追い詰められてるのかって絶望すらしました。だけど、そのスコップを握った時、私はそれが、とても手に馴染むと感じたんです。これなら勝てるな、と」

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「そして貴方は英雄になった」「いいえ、一人前の兵士になるまでには時間がかかりましたし、そこから先、ロッキー山脈を超えて東に向かう間にもいろいろ学ぶべきことはありました。すこしずつ慣れていったんです。慣れれないこともありました」

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「慣れれないこと？」「ゾンビたちの濁った目に見つめられながら、スコップを突き立てるのはつらかったですね。彼らがまるで私を非難しているみたいで。なぜ殺そうとしているのか問いかけてるみたいで。その度に自分に言い聞かせました。死体をあるべき姿に戻してるだけなんだって。今でも夢に見ます」

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「戦場で心に傷を追った兵士たちの問題は今でも深刻です」「そうですね。だけど私は大丈夫です。765プロの皆さんはそれぞれベストを尽くして生き残ったって聞いてます。わたしも春香さんたちとは――ああ、765プロの同僚だったアイドルですけど、連絡をとりあってます。それで救われてるかも」

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「天海春香と如月千早。避難キャンプや戦地へ歌声を届け、人々に希望を与えた歌姫ですね。彼女たちとはお知り合いだったんですか」「はい。春香さんや千早さんは自分の才能を最大限に生かしてみんなの力になったと思います。でも、私も、自分に出来る限りのことをやったと、胸を張って主張できます」

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「インタビュアーさんは私を英雄だといいましたね？　それをいうなら、みんな英雄なんです。あの困難な時期を生き抜き、団結してゾンビに打ち勝った、すべての人々がそうなんです。あなたもそうなんですよ、インタビュアーさん」