ライスのアニメ感想:#198 serial experiments lain (完)
- terry_rice88
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serial experiments lain layer:13「Ego」最終話。想像していたものと違い、物凄く穏やかな終わりだった。「自我」と名付けられたラストエピソードは玲音の在りどころを探すものだったように感じた。世界を、そしてそこに寄り添う人間を壊さない為に彼女は消えた。
2012-12-31 07:10:42ワイヤードと現実を曖昧にし、混乱させている存在は「世界改変」の力を得てしまった玲音自身であることを自覚し、常人には耐えられない状況、現象を二度と起こさないように、第一話、いやそれ以前の世界にリセットし、玲音はただ一人の空間に残る事を決意したという風な流れ。ただ彼女も存在はしている
2012-12-31 07:14:10lainという個体は自分の定着すべき所を探し、彷徨うわけだが、彼女はどこにでも存在するし、現実においても同じように存在しうる個体である。彼女という自我はただただ居場所を探し、一人うずくまってしまう。lainの帰るべき家はどこなのか。家族は。友人は。そのどれもが実は架空のものだった
2012-12-31 07:40:04「我思う故に我在り」 デカルトのこの有名な言葉はlainのアンビバレンツな状況を指し示している。自我があるが故に、lainは岩倉玲音である。しかし他方で彼女はワイヤードに古くから存在しえいたデータであり、プログラムである。誰が作ったかはわからない。ただ存在はしていた。
2012-12-31 07:43:13英利はただのプログラムだったlainを発見し、そして肉体を与え、自分の価値を高める為に利用し、行き詰って、破滅した。結局、彼は高潔な自尊心が災いしたのだが、精神と肉体の問題を掲げる存在として、玲音を揺さぶっていた。ヒトにとっての進化とは一体何かというのも背負っていたかな。
2012-12-31 09:20:23前回の感想でも触れたけど、精神と肉体の問題で、精神は肉体という器があればこそ、保っていられるものであり、精神のみだと拡散しすぎて歯止めが利かなくなるというのを英利は実践してしてしまった。おかげであのような末路を迎えるわけだが、結局、人間の限界以上のものは作っても使えないってことか
2012-12-31 09:24:42なかなか難しくはあるけど、それは側にいたありすの反応を見ていると、はやりlainの力さえも、人間には強力すぎて、対応すべき精神が脆弱であるので耐え切れないということなんだろうなあ。ありすのことを考えてしまうと玲音は何もしてやれる事がない。それは多分悲しいことなんだろうと思う。
2012-12-31 10:56:37玲音はありすを自分のいない世界で見守るしかないし、世界に影響の出る範囲で力を使う事が出来ない。出来る事といえば、世界改変の力を持った自身を世界から排除する事。それは唯一にして最善の手段なんだろうな。何も出来ないから、見守る以外ない。力を持っていても何も出来ない、何もすることがない
2012-12-31 10:59:30そして月日は流れ、ありすが進学して卒業して恋人が出来ている、玲音はその精神のまま、体の成長を止めて、「自分のいない世界」でありすと再び邂逅する。ありすは自分を知らないけど、玲音にとっては自分を受け入れてくれた存在なので会えた事は幸せな事でもあり、寂しい事でもある。
2012-12-31 11:09:14lainのいない事で無事に推移する世界の平穏さと呑気さはある意味、重要で平和なんだろうなあ。そのいたるところでlainは見ているし、存在している。神とはいえないだろうけど、常に世界を見守っているはず。世界が大好きでありす、人間が好きだから。lain自身は犠牲になっているけど。
2012-12-31 11:15:34まあ、lainも多分まぼろしの岩倉父ときちんと対話できるようになった事からも、玲音として親子の繋がりが欲しかったということなのかなあ。そう思うとやっぱり子供なんだなとも思わなくもないし、世界がその犠牲の上で成り立っている日常であることも認識できるというか。
2012-12-31 11:24:46穏やかな終わり方だけど、やっぱりほろ苦さが残る切ない終わり方であるとは思った。とはいえ、やっぱり全体的に静かなトーンが支配するお話だったように見えるかな。オルタナ系というかポストロックというか。それこそ、世界の「外部」のお話が展開されている事もまた、特徴になっているか。
2012-12-31 11:27:04全13話。全部見て改めて感じたのは、13話で一つのお話だということ。謎に対して、こまかい謎を処理していくのと全く繋がっていなかったピースがあらぬところで繋がったりする、話の綿密な構造がやっぱりこの作品の特筆すべき所ではあるんだろうなあ。分類としてはハードSFか、一応。
2012-12-31 11:40:14けどやっぱりこれはlainという少女の物語だ。例えそれが仮初めの家族であろうと、自分の実体こそが虚像であろうと、自分を認識して、接してくれる人たちと場所をずっと探していたんだろうなあ。そこに創造主というか親の関係も入り込んできていて、これもまた父性の話なのかもと少し感じた。
2012-12-31 11:48:04はたしてlainという存在はいかなるものであったか。それは万華鏡に写る像の数ほどあるんだろうと。けどlain本人が望んでいたのはありすと一緒に過ごせる生活だったんじゃなかろうか。結局それも叶わず、ただありすの成長を見守る事しか出来なくなってしまったが。
2012-12-31 11:51:47lainの自我は「岩倉玲音」であると見れば、より人間くさい。だがワイヤードに介在するプログラムということを自覚した以上、「岩倉玲音」として動く事は二度となくて、「世界を俯瞰するもの」としてlainはただ存在するって事なんだろうなあ。その平和な世界に佇む事で世界は推移する、みたいな
2012-12-31 12:00:07故にlainは「流動する情報」でもあるという。世界に佇むということが、世界に循環、推移する情報だと考えれば、やはり全てを見られているということなんだろう。それこそ、精霊のお話だなあ。英利は亡霊にしかなりえなかったけど、lainは電脳に漂う精霊になったんだろうな。
2012-12-31 12:03:57面白かったし、DVDで見たけど結構映像が荒くなくてむしろ綺麗だったので、BDだったらもっと綺麗なんだろうなあとw なのでちょっと欲しいですよ? まあ、初の旧作感想でしたけど初視聴だったというのもあって、楽しんで見ることが出来ました。
2012-12-31 12:06:12やっぱり神とかじゃなくて、そこに佇むもの、妖怪とか妖精とか精霊とかそういう感じだよね、lainって。プログラムなのでちょっとロボっぽい所もあるけど。ああ、主演の清水香里さんのデビュー作というのもあって、そういう点でも非常に楽しめた作品でしたね。
2012-12-31 12:08:45あと私事ですがこれでアニメ感想は198回目。lainの感想はこれにて全話視聴終了となりますが、次回以降はどうしようかなと思ってます。200回記念シリーズで年明けから企画しようとしてる事もあるので、そこら辺はお楽しみにという感じで。そんな感じで、2012年の感想は以上です。
2012-12-31 12:11:08では皆さんも良いお年を。では来年また会いましょう。ありがとうございました。来年一発目は劇場アニメ作品の予定です、どうぞよろしくお願いします。
2012-12-31 12:13:01