ミストルティン編 ■■ローグ ~「■■する破界者~■■ー■ー・スルー・ジ・■ン■」~

エバー・ラスティング・アロー・ミストルティン編まとめ http://togetter.com/li/439782 ⇔人物目録⇔ http://togetter.com/li/446022
0
Astal_jukebox @astral_jukebox

エバー・ラスティング・アロー ミストルティン編 ■■ローグ

2013-01-02 00:06:11
Astal_jukebox @astral_jukebox

―20■■年■■月末日、深夜―

2013-01-02 00:07:01
Astal_jukebox @astral_jukebox

町の上空が闇に包まれていた。深夜ゆえの宵闇では無い。10日ほど前の豪雨から快晴が続いており、雲は僅かしか無い。その薄雲の向こうに闇。…星ばかりか月すらも見えない全くの、闇。

2013-01-02 00:07:22
Astal_jukebox @astral_jukebox

月齢は26.1、つまり新月では無い。本来なら三日月と真逆に近い形の月が見える筈だ。薄雲も月を隠せる程度では無い。その雲の上、星空との間に、町の上空全てを覆う、巨大な、黒いなにかがあるのだ。………………いや、そうでは無い。『いる』のだ。 2

2013-01-02 00:08:34
Astal_jukebox @astral_jukebox

数秒前、突如上空に出現した『ソレ』に町では僅かながら混乱が生じ始めていた。今この時点においては、それは巨大さが原因では無い。出現した瞬間は、七等星にすら劣る極小の黒い点でしか無かったソレは数秒でここまで膨張した。その速度ゆえに多くの市民には、その過程は認識出来ていない。 3

2013-01-02 00:09:18
Astal_jukebox @astral_jukebox

範囲が広過ぎるゆえに、自分の真上の辺りだけに、急に、かつ偶然に雲が来ただけとしか認識出来ないのだ。混乱と言っても「急に暗くなった」程度の僅かなざわめきでしかない。だが、それが町の全域で一斉に起きている為、遠方からでも混乱と分かるのだ。それを町の北西の丘から見つめる者達がいた。 4

2013-01-02 00:09:51
Astal_jukebox @astral_jukebox

その混乱と元凶を正しく観測出来たのは、彼等の様に町と上空全体が見える、高く開けた場所で空を眺めていた者達位だろう。彼等にも、数キロ先の別の丘やビルの屋上で幾人かの天体観測者達が腰を抜かしたり、立ち尽くしているのが肉眼で良く見えていた。だが彼等自身には動揺はあっても混乱は無い。 5

2013-01-02 00:10:03
Astal_jukebox @astral_jukebox

「アレで…まだ幼虫みたいなものなのね?」「いえ、卵でしょう」一段の中心にいる長身の金髪女性の問いに、傍らの少女が答える。「あの状態で10分程は殆ど動かない筈です…でもいくら小さく削っても、あそこまではすぐに回復します。今くらいの速度で」「…」女性の視線が空に戻る。 6

2013-01-02 00:11:40
Astal_jukebox @astral_jukebox

彼女はこの集団の指揮官である。外見は二十代半ば程に見えるが、年齢はその通りでは無く、千歳を超えている。彼女は■■■■■■、それも最上級のロードと呼ばれる存在の中でも最強にして、指揮官としても最高と言う規格外の存在である。あの『邪神』との戦いの指揮を執るに相応しいと言える。 7

2013-01-02 00:12:54
Astal_jukebox @astral_jukebox

丘の上にいる数十名ほどのうち、大半は彼女の同族であり、他は人間の魔術師組織の連合、『セフィロト』から派遣されたメンバーが数名、そして『一般人』が3名。この3人は他の者、特に連合の者から距離を置いた、指揮官の側に配置されている。 8

2013-01-02 00:13:37
Astal_jukebox @astral_jukebox

この丘以外にも連合のメンバーは千人以上来ており、町の各所や周囲を包囲する様に展開している。その半数以上は直接の戦闘要員では無い。ここでやり合えば勝利しても数十万の犠牲者が出る上、『魔術』の存在が表沙汰になる。彼等はそれを避ける為の隠蔽と『転送』の要因だ。 9

2013-01-02 00:15:59
Astal_jukebox @astral_jukebox

事前に準備された術式により、邪神を数百人の戦闘メンバーごと異空間、他の宇宙に転送するのだ。邪神だけ送り飛ばせればベストだが、先に弱らせなければ直ぐに戻ってくる可能性が高い。その為の諸共の転送だ。無論、封印や放逐の類は奥の手であり、戦闘員達は邪神を殲滅するつもりでいる。 10

2013-01-02 00:16:39
Astal_jukebox @astral_jukebox

魔術連合の所属者達は能力を、『E~A、S、SS、SSS』のランクで評価する。総合Bで一人前、Aで優秀とされる。ここには総合S級以上の者達か、部隊単位でS級の者達、条件付きでS並の個人が派遣されてきている。限られた時間で集めた人数としては充分過ぎると思われた。 11

2013-01-02 00:17:11
Astal_jukebox @astral_jukebox

「…それで、暫く経つと…一気に」『ズドオオオン!と暴走して、一気に地球が大惨事大戦だろ?』「!?…ええ」背後の黒髪の女性、その携帯端末から聞こえてきた声に少女は答える。「時間は無いわよ」端末を黒髪女から奪って金髪の女性が告げる。パララララララ。上空から音。近付いてくる。 12

2013-01-02 00:18:03
Astal_jukebox @astral_jukebox

二つの回転翼を持つ軍用兵員輸送ヘリコプター。「「!?」」数百人の魔術師達が動揺する。スクランブルが速過ぎる!『表』に魔術の存在は知られてはならない。自衛隊の展開前にどうにかするつもりだったのに!…だがその上に白衣の男が立っているのが確認されると驚愕は呆れと怒りに変わった。 13

2013-01-02 00:43:06
Astal_jukebox @astral_jukebox

男が立っているのは、ヘリの直上では無く、その上に無理矢理増設された……ミサイルの上だ。「………馬鹿!」それに気付いた女が思わず呟き、彼を制止しようとするが、体に圧力がかかり動かない。「頑張って―!」と無邪気に叫ぶ黒髪女の仕業だ。その胸は豊満である。 14

2013-01-02 00:44:17
Astal_jukebox @astral_jukebox

その隙にミサイルが……射出される!兵員輸送ヘリは当然このような暴挙に耐える設計では無い為、衝撃とバックファイアで粉砕され、何度も反転し、後方へと吹っ飛ぶ!だが、仕込まれた爆薬により小爆発が繰り返され、テスト用老朽ヘリは、自動操縦のまま、無人の丘へと四散していく。 15

2013-01-02 00:46:21
Astal_jukebox @astral_jukebox

そしてミサイルは白衣の男がしがみ付いたまま、邪神に向けて突撃!『ヒィーーーッ!』端末から聞こえるのは涙声。「怖いんならやるなよ!降りろよ!」少女の近くにいたサイバーな鎧の少年が、端末を借りて叫ぶ。それを受けてかどうか『飛び降りろ!』衝突直前に自分で自分に指示を出した。 16

2013-01-02 00:48:02
Astal_jukebox @astral_jukebox

『イイイイイィイヤッーーーー!』飛び降りると同時、後ろ回し蹴りでミサイルの後方にダメ押しの加速を与えつつ、男は彼等のいる丘へと頭から墜落してきた。丘に深度数メートルの漫画じみた穴が開く。『『全身グワーッ!』』肉声でない、合成音による悲鳴が彼と端末の両方から響いた。その後方。 17

2013-01-02 00:48:35
Astal_jukebox @astral_jukebox

――――――――――――――――――――――――――――――――!!!……上空数キロ、邪神の真上。凄まじい爆音と共に、『水素爆弾』が爆発した。 18

2013-01-02 00:49:53
Astal_jukebox @astral_jukebox

金髪女性や、少女、鎧の少年達の他、多くの者達が或いは絶句し、或いは額を抑えた。最早、表社会への隠蔽は取り返し難い。隠蔽担当者は何人か発狂、あるいはその寸前までいった。そんな中、漫画穴からその元凶が回転ジャンプで飛び出し、4人のいるあたりに着地した。 19

2013-01-02 00:50:32
Astal_jukebox @astral_jukebox

そして、右拳を叩き割る勢いで自分の左手に合わせる。更に頭を30℃の角度で軽く下げつつ、白衣を右にはためかせながら、腕を横にやると会釈の様な動作をした。『ドーモ、■ゥゥ■■■■!のゴミ=サン、ホワイトナイト!ですっ!お前の死因はあの時私を殺せなかったことだぁっ!』 20

2013-01-02 00:52:04
Astal_jukebox @astral_jukebox

ビシッ!と挑戦的に右指鉄砲を閃光の中の邪神に向ける。「……」遠巻きに見守る者達が絶句するが、4人は違った。「ダーリンかっこいい!」黒髪女性がその背に抱きつき、薄布一枚越しに胸を何度も擦り付ける。「馬鹿!!」一方、金髪女性は戦闘に『これ以上』支障が出ない程度に平手を見舞った。 21

2013-01-02 00:52:57
Astal_jukebox @astral_jukebox

『頬グワーッ!?』彼女にとっては手加減と叱咤の狭間で、それでも最大限抑えた威力のつもりだったが、怒りが勝ち過ぎていたのか『ホワイト』は軽く5メートルは吹っ飛んだ。『やめろ!戦闘前に殺す気か!』「戦闘前になんで勝手をするのか答えなさい!」『……』 22

2013-01-02 00:53:30
1 ・・ 5 次へ