「青空文庫」はアブナイ?

「「青空文庫」はアブナイ」と題した記事を、twitter経由で知った。ファイル作成上の問題点を指摘するウェッブ上の記述にリンクしてあり、自身で確認した誤りの例として、「坊っちゃん」における送り仮名が上げてあった。名詞の「話」には「し」を送らない。漱石は、正しい用法を守っている。1917年から刊行された岩波版『漱石全集』でも、「し」は送っていない。にもかかわらず、青空文庫のファイルには、「し」が数多く送られている。「こんな杜撰な不正確なテキストで漱石作品が広まることを、とても悲しく思います。」と。疑問に思った点を筆者にお尋ねし、重ねてのご指摘があったので、まとめを作成した。
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富田倫生 @aobeka

①青空文庫呼びかけ人グループ、富田倫生と申します。ご指摘を拝読し、教えていただきたい点があったので、声をかけさせていただきました。RT @pinokojack: 「青空文庫」は恐ろしい http://t.co/6WwhylSC

2012-12-22 17:52:51
富田倫生 @aobeka

【青空文庫便り】② http://t.co/6WwhylSC に青空文庫の、夏目漱石ファイルに目を通した印象として、次のように書いておられます。「ひとつひとつ指摘するよりも、マトモな常識的な人が一から打ち直したほうがはやいのではないか、と思った。… @pinokojack

2012-12-22 17:53:31
富田倫生 @aobeka

【青空文庫便り】③…ちょっと目を疑うような、ふつうならあり得ない、送り仮名フリガナの間違いが多すぎるのですよ。こんな杜撰な不正確なテキストで漱石作品が広まることを、とても悲しく思います。」と。 http://t.co/6WwhylSC @pinokojack

2012-12-22 17:53:53
富田倫生 @aobeka

【青空文庫便り】④青空文庫のファイルには、確かに間違いがあります。ご指摘を受けて誤りと分かれば、直して改善したいと思います。 @pinokojack さんご自身で確かめられた夏目の間違いは、どの作品のどこにありましたか? 確認し、修正したいと思い、おたずねする次第です。

2012-12-22 17:54:50
富田倫生 @aobeka

「夏目漱石全集1」ちくま文庫、筑摩書房を底本とした、これでしょうか? http://t.co/yJxO4yxh RT @pinokojack @aobeka ひとつ前のエントリーで書きましたが、「吾輩は猫である」中、「話」を「話し」と表記しているところだけで数十箇所あります。…

2012-12-22 18:41:56
富田倫生 @aobeka

当該底本では、名詞はすべて「し」の送りのない「話」になっている。なのに、ファイルには「し」を送ったものが数十箇所あるということですか? RT @pinokojack @aobeka 「吾輩は猫である」はそれしか見当たりませんが。

2012-12-22 18:58:16
富田倫生 @aobeka

なぜおたずねするかは、「ちょっと目を疑うような、ふつうならあり得ない、送り仮名フリガナの間違いが多すぎるのですよ。」と書いておられるからです。具体的に、どの箇所が底本と食い違っていますか? RT @pinokojack 「すべて」とはまた喧嘩腰ですね。なぜそれを私にききますか?…

2012-12-22 19:18:54
富田倫生 @aobeka

すべてなどとは言いません。確認された数十箇所のうち、いくらかでも教えてもらえませんか?RT @pinokojack @aobeka 話通じていませんね。私に「すべて」確認する義務はないでしょう。私のエントリーを読んだ個人が自分で調べて確認できる情報は書きました。

2012-12-22 19:43:13
富田倫生 @aobeka

なぜでしょう? 「漱石は、名詞の「話」に「し」は送らなかった。刊本でもほぼそれが踏襲されている」と言いうるなら、「ママ」も考えられます。でもそうでしょうか? RT @pinokojack …ちくま版で「し」を送っていてその通りに入力しているならば、「ママ」表記が必要です。

2012-12-22 21:49:48
富田倫生 @aobeka

漱石の手書きで、今すぐに確認できるのは、『直筆で読む「坊っちやん」』(集英社)です。隣り合う「内所話(し)」がばらついています。同作品の青空文庫ファイルは、原稿をなぞった底本に忠実に、この形を写しています。 @pinokojack http://t.co/9BoWDreQ

2012-12-22 21:57:22
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富田倫生 @aobeka

「本文の生態学―漱石・鷗外・芥川―」(日本エディタースクール出版部)は、書籍の本文を誰がどう変えていったかを、詳細に検証しています。著者の山下浩は、大正六年から刊行される岩波版『漱石全集』について、以下のように述べています。 @pinokojack

2012-12-22 21:59:57
富田倫生 @aobeka

「…無数の「改良」(実態は「改竄」)を施した大正六年に始まる全集本文を、小宮豊隆や長田幹雄らの尽力によって、当時見られるかぎりの自筆原稿に当たり、「原稿のまま」になるよう是正に努めたものである。…」44頁。根拠として上げておられるのは、これですね。 @pinokojack

2012-12-22 22:01:17
富田倫生 @aobeka

ご指摘の通りと思います。RT @koikekaisho @aobeka @pinokojack 横から失礼。底本を明記し、その通り入力されてるなら、底本の誤植が明らかな場合以外はママ注記は不要です。送りについては底本通りならそれで構いません(底本の選定の是非は別として

2012-12-22 22:09:15
富田倫生 @aobeka

【青空文庫便り】皆さん。青空文庫のファイルには、誤りがあります。具体的に、どこと指定していただければ、確認し、直せます。先立って、底本と照合していただけると助かります。どうぞ、ご指摘を。改善は、私たちの心からの願いです。

2012-12-22 22:16:20
富田倫生 @aobeka

「「青空文庫」はアブナイ」に、重ねての指摘。「吾輩は猫である」底本では、ルビの拗促音の小書きなし。一方、それを元にしたファイルは、小書きを用いている。「約1276ヶ所、どこの誰とも分からないボランティアが書き換えてますよ、これ。」と。 http://t.co/cBlpEJC2

2013-01-05 16:17:27
富田倫生 @aobeka

【青空文庫便り】①今回新たに指摘された、ルビ拗促音の小書きには、前回の私からのおたずねでは触れていない。「…アブナイ」からリンクされた、その他の問題点にも、言及しなかった。尺のいる、twitterには不向きな話題とも思うが、別の立場からの見方を紹介してみたい。

2013-01-05 16:18:09
富田倫生 @aobeka

【青空文庫便り】②印刷物では、伝統的にルビの拗促音が小書きされてこなかった。それをテキスト化するにあたって、小書きなしをなぞるか、初期に議論した。なしでは情報量が減る。音声変換の足を引っ張る。採用しようと決め、マニュアルに記載した。 http://t.co/NRmaBfrB

2013-01-05 16:18:36
富田倫生 @aobeka

【青空文庫便り】③「…アブナイ」からは、行頭の括弧の字下げを、底本の組みに関わらず、アキなしで処理する方針への疑問にもリンクしてある。 http://t.co/3RXU8jXI 今の方針で良いとする立場から、考えをまとめてみた。 http://t.co/UBa82yfp

2013-01-05 16:19:05
富田倫生 @aobeka

【青空文庫便り】④コ、カ、ガと読む、「ケ」のような文字の扱いへの批判にも、リンクがはってある。作業方針はこうだ。 http://t.co/LCv5zje4 はじめて方針を知った方には、「見えた通り、底本で大きければケ、小さければヶでいいじゃないか」と思われる方が多いのでは。

2013-01-05 16:19:40
富田倫生 @aobeka

【青空文庫便り】⑤テキスト化を始めた当初は、私たちの誰一人として、見たままの入力を疑わなかった。ところが大小の判別がつかないものはどう扱うのかという疑問から始まり、数年、関連する話題をメーリングリストで取り上げているうちに、それではすまないことがあると気付いた。

2013-01-05 16:20:13
富田倫生 @aobeka

【青空文庫便り】⑥テキスト化に使っている文字コードには、「AΑА」という三つの文字がある。紙面のものを、どれで入力すればいいか、見ただけではわからない。文章の流れから、底本の文字は何なのかを読み取り、ラテン文字ならA、ギリシア文字ならΑ、キリル文字ならАとせざるを得ない。

2013-01-05 16:20:34
富田倫生 @aobeka

【青空文庫便り】⑦では「ケ」と見えるけれど、コ、カ、ガと読み分けるものが、表音文字のカタカナか? 辞書にも、漢字とする記述があった。1997改正の規格票を丹念に読むと、本来漢字のそれは5-86(ヶ)とある。規格に従うのなら、見かけの大小に関わらず、これで入力するのではとなった。

2013-01-05 16:21:01
富田倫生 @aobeka

【青空文庫便り】⑧仲間には、納得しない人も。方針を支持する立場から、私なりにメモを作った。 http://t.co/8GN9UQLL なお反対する人から、規格を作った委員長に直接見解を聞きたいとの求めが。それで、この講演会を開いた。 http://t.co/viUDC7QP

2013-01-05 16:21:27
富田倫生 @aobeka

【青空文庫便り】⑨「青空文庫」はアブナイ」で、繰り返し指摘を受けたのを機に、問題とされた点への、別の視点からの意見を紹介した。この間の経緯のまとめ http://t.co/sKVMihM8 にも、今回tweetした分を追加しておく。

2013-01-05 16:21:52