速水螺旋人「大砲とスタンプ」作中の電子事務処理装置についての妄想
- Dr_crowfake
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「大砲とスタンプ」兵站軍のパーソナル事務処理端末、パーソナルに見えて、実はでかい処理機械に繋がっててるだけで並列処理すらなく実は優先順位コード付きでの各個処理、しかもデータの備蓄は紙媒体、補給廠より上のレベルでのやり取りはテレタイプでのやり取りだったってネタを思いついた。
2013-01-09 23:12:30「大公国軍補給事務管理機械43型」は実に6万本の真空管と当時としては先進的な水銀遅延管メモリを保有した初期型のチューリングマシンであり、大公国兵站軍の方面軍レベル補給廠が装備すべき最優先装備として生産されたが、実際の運用には大変な困難が伴った」的な。
2013-01-09 23:14:38「確率論的に1時間に1回システムダウンし、そのたびに十分超のメンテナンスが必要とされた。そのたび、兵站軍は書類の処理の手を止めなければならなかった。しかしこれでも驚異的な性能なのである。43型事務管理機械に使われていた真空管はVT信管用の高耐久性真空管であったからだ」
2013-01-09 23:17:54「また、43型事務管理機械は数kbとはいえ独自の記憶装置を持っていることが極めて重要であった。これをキャッシュとしてシステム復元ごとにそれ以前の作業手順を復旧できることは、兵站軍事務処理機械として必須の能力であったからだ」
2013-01-09 23:20:21しかしながら、水銀遅延管メモリに蓄積できるデータ数は限られており、それより多くのメモリは(当時としては先進的なことに!)ある手順に従った形でタイピングされた書類か、さもなくば処理途中のデータとして紙媒体(パンチテープ方式)で保存された。
2013-01-09 23:23:52「また、43式事務管理機械が扱えるデータは原則としてそれが設置された方面軍補給廠単独に限られ、他の補給廠との連絡は通常のテレタイプや郵便に限られていた。このような概念が完成するのは60年代以後であり、当時はそもそも補給廠間の電子ネットワークという概念が存在しなかった」
2013-01-09 23:28:12「このような不便なシステムに対する批判は大きく、旧来のリレー式計算機の大量導入やより原始的かつ確実なアナログ計算機の需要が叫ばれたが、兵站軍はあえてこのような最新鋭電子機器を投入したのである。背景には大戦における電子計算機需要とその操作人員確保の増大があった」
2013-01-09 23:31:28「共和国軍との大戦において、大公国軍の電子計算機需要は飛躍的に増大した。弾道計算からオペレーショナル・リサーチまで、あらゆる分野で「計算」とそれに携わる人員の必要性が増したのである。それを満たすためには、少数の高性能計算機をラインに載せるのでは採算が合わないと大公国軍は考えた」
2013-01-09 23:33:20「そして、それら飛躍的に増大した計算需要を満たすための機械をリーズナブルに生産するのみならず、それをオペレートする人員をも大量に育成せねばならなかったのだ。その「畑」として捉えられたのが兵站軍である。かくして43型事務管理機械は、方面軍補給廠向け事務機械として兵站軍に導入された」
2013-01-09 23:35:05「こんな糞のようなでかいオモチャもらったって何の役にもたちゃしねえよ」というのが、43式事務管理機械に対する兵站軍兵士の一般的な見解であったが、背景にはそのような事情があったのである。そしてオペレータのうち優秀なものは、より実務的かつ戦略的重要性の高い計算資源へと投入された」
2013-01-09 23:36:07「繰り返して言うが、43型事務管理機械は非常に取り扱いに難点のある機械であった。しかし当時としては最先端の性能とインターフェイスを備え、多くのオペレータをそれほど訓練なしに計算事務作業へと投入できる能力を持っていた。それゆえ各地に配備され、戦略計算資源構築の苗床として利用された」
2013-01-09 23:38:24「また、オペレータの背後でメンテナンスに挑む人員の訓練教育にも大なる成果を上げた。大公国軍の最大の計算機械「ヴェリーキー」は43型事務管理機械の数倍の規模を持つ大規模コンピュータシステムであったが、この運用には兵站軍上がりのオペレータや整備員の働きがあったことは知られていない」
2013-01-09 23:40:30「また、43型事務管理機械のような「量産型」コンピュータの大量生産とそこから得たノウハウが「ヴェリーキー」のような大型計算機の開発を可能にしたという側面も無視してはならない。計算需要とコンピュータ市場の量的拡大が、裾野からの計算資源拡大への動きへとつながっていったのだ」
2013-01-09 23:43:43