【コラム】国連安保理決議から読み解くアルジェリア人質事件の深層~マリ攻勢への協力は #容易い道 との分水嶺となるか~
- tkatsumi06j
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きっかけとなった作業:マリ関連国連決議の精読と要約
※さらに後に@Hideakikooさんがブラッシュアップに協力。感謝!
【マリ情勢】関連する最も重要と思われる2つの国連安保理決議についてWikipedia項目を新規作成しました。とくに武力行使容認決議の2085は長大です。 S/RES/2071 http://t.co/lv0ZetjF S/RES/2085 http://t.co/VGc7U8lm
2013-01-25 12:19:03国連安保理決議2071の概要
国連憲章第7章に基づく行動として、マリ共和国における全ての武装勢力に対して人権侵害及び国際人道法違反行為の即時停止を要求し、多国籍軍の派遣を求めるマリ暫定政府の要請に応え、具体的な施策として、同国が求める西アフリカ諸国経済共同体 (ECOWAS) からの軍事支援について、ECOWAS並びにアフリカ連合 (AU)が共同で行う計画策定プロセスを支援する目的で、国連事務総長に対し、直ちに軍事・治安計画担当による支援を提供するよう要請。
国連安保理決議2085の概要
マリ共和国北部におけるテロリスト集団及び犯罪者集団らの活動が地域及び国際社会全体に対する喫緊の脅威であることを認め、国連憲章第7章に基づく行動として、マリ北部地域奪還のため、AFISMA (アフリカ主導マリ国際支援ミッション)を設置し、AFISMAを介してマリ暫定政府軍を支援することを承認。
国連事務総長に対し、マリ暫定指導部との協議の下、マリ領内に「集学的な国連のプレゼンスを確立すること」 を要請し、AFISMAに対し、欧州連合 (EU) 及びその他の協力国とともに、マリ暫定指導部の自国民を保護する責任を全うするために「必要なあらゆる措置」の使用(=武力行使)を認めた。
具体的な決議事項は以下のとおり全部で24項目に及び、「政治的プロセス」と「治安維持プロセス」に分かれており、後者は6つの分岐項目から構成される。
- 政治的プロセス
- 治安維持プロセス
- マリ政府軍の訓練
- AFISMAの派遣
- 国際支援
- 人権保護
- 資金確保
- 国連のプレゼンスと報告
【マリ情勢】混乱が長期化するような場合は、国連安保理はこれら一連の決議http://t.co/59qYABTC に加えもう一つ、アフガニスタンの国際治安支援部隊(ISAF)の設立決議と同様のものを採択するかもしれません。欧米はこれで西アフリカに軍事拠点を持つことになります。
2013-01-25 12:23:23(参考)常態化しつつある支援ミッション設置→武力行使容認パターン
そこから読み解けることは何か
アルジェリア人質事件の深層:「紛争当事者」となること
民軍連携の「国際」マリ支援ミッションの設置が意味すること
#容易い道 防衛大綱の中期見直し、国防予算の増額、自衛隊要員の増員を閣議決定したようだが、安倍政権よ。マリ情勢ではアフガニスタンのUNAMAよりも更に軍事支援を強化した民軍連携ミッションAFISMA (アフリカ主導マリ国際支援ミッション)が発足した。我が国はこれにどう関わる。
2013-01-25 12:37:37#容易い道 マリ民軍連携ミッションAFISMAでは民生・軍事支援の両方を求めている。武力行使を容認する決議2085を受け仏軍はマリへの攻勢を開始した。同決議により全国連加盟国にこれを支援する義務が生じている。またマリ攻勢の開始に伴いその報復としてアルジェリアの人質事件が発生した。
2013-01-25 12:42:13#容易い道 仏軍のマリ攻勢への反応として起きたアルジェリア人質殺害事件により、関わった国々は否応なしにマリ攻勢のステイクホルダーとなった。安保理の全会一致により承認されたマリ攻勢に我が国日本はどのように関わっていくのか。アフガニスタンと同じように後方支援に止まるのか。
2013-01-25 12:44:25「次の戦場」に指定された西アフリカのマリ
#容易い道 実は、マリ攻勢はまた一つ"容易い道"への道程を示している。またアフガニスタン等の大規模多国籍軍展開を行う余力は財政・人員的にもないが、経済の担い手である産軍複合体に「次の戦場」を求められていた欧米主要国にとっては小規模でも軍事作戦を継続できる新たな拠点が必要である。
2013-01-25 12:47:44#容易い道 こうした大局的な文脈でマリ攻勢を捉えると、一連の安保理決議や欧米主要各国の交渉は全て「次なる戦場探し」の為の地均しであったことが見えてくる。AFISMAは文字通りアフリカ主導の軍事作戦http://t.co/OPvHKjm7 であるが実質先陣を切ったのは仏軍である。
2013-01-25 12:52:39(参考)アフリカ主導の国際支援ミッションの実態
- アフリカ主導マリ国際支援ミッション(AFISMA)の派遣状況
- ECOMOGの総兵力約5,400人に対し仏単独で約2,900人の総兵力を保有 - AFISMAの主力を務める西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)
#容易い道 邦人保護の観点から危機管理体制の強化を図るために日本版NSCの創設という見当違いの箱物行政を推進する安倍政権。およそ国際軍事情勢の大局を見誤った対応しか行えない安倍政権が西アフリカという「次なる戦場」に駆り出され米軍とさらなる一体化を迫られるのは時間の問題であろう。
2013-01-25 13:56:15日本の軍事プレゼンス強化への追い風となったアルジェリア人質事件
#容易い道 日本がアフリカ領域で現在展開している本格的な軍事派遣ミッションはUNAMIS国連ソマリア支援ミッションと連携して展開される米軍のOEF-MIO海上上阻止行動のみである。アフガニスタンに展開する国際治安支援部隊ISAFに対しては草の根支援協力として資金提供を行っている。
2013-01-25 13:04:06#容易い道 他方、アフガニスタンOEF(OEF-A)の給油支援活動については、民主党政権下で同活動の停止とそれに代わるアフガン直接支援の強化が打ち出されたため、自衛隊は国際的軍事プレゼンスを失っている。そこでプレゼンス拡大を図ろうとしている安倍政権に有利な情勢がマリで発生した。
2013-01-25 13:08:55(参考)中東地域における日本の軍事プレゼンス