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  • 問題は、欲望できるようになるための根本的な動因としてラカンが「想像的ファルス」と名づけるものである。これはなぜ、ファルスつまりベニス由来のイメージでなければならないのか。それはとてもとても疑問なのだが、分析家によって解釈が揺らいでいる。

    masayachiba
    2010-01-31 02:34:22
  • ラカン派によるエディプス・コンプレクスの「精神現象学」的解釈は、だいたい以下のようなものだ。まず、ひとりでは生きられない幼児は、みずからを保護し養ってくれる他者1を必要とする。これは通常「母」だが、必ずしも母でなくともよい。

    masayachiba
    2010-01-31 02:36:23
  • この他者1は、しかしつねに自分を抱いていてくれるわけではなく、余所に行ってしまうことがある。すると、幼児は泣きわめいて、他者1を呼び寄せる。この反復において、他者1が、なにかよく分からないxを欲望しており、それゆえに余所に行ってしまうのではないかと思うようになる。

    masayachiba
    2010-01-31 02:37:49
  • そこで幼児は、みずからが他者1の欲望するx「である」ことを欲望するようになる。だが、それは達成されない。他者1は、あいかわらず余所に行ってしまうことがあるのであり、xとはどうやら途方もないもので、自分には担いきれないものだと気づき始めるのである。

    masayachiba
    2010-01-31 02:39:40
  • そしてxの途方もなさ、それは、一定の対象の望ましさを超える動的なものであることが明らかになってくる。他者1は、実のところ、それとは別の他者2が欲望することを容貌しているのであり、この自分から切り離された他者2(の欲望)の登場が、決定的な局面をなす。

    masayachiba
    2010-01-31 02:46:16
  • もはや、他者1にとって対象xであることは課題ではなくなり、他者1が欲望する他者2の欲望が途方もなく最大化することを欲望することになる。できれば、他者2の欲望は永続してほしい(とすればそれによって他者1は充たされるだろうから)。

    masayachiba
    2010-01-31 02:48:37
  • しかし、他者2の欲望は、現実的には有限であり、そのことに失望せざるをえなくなる。そこで、他者2をいろいろと刺激して、欲望しつづけることを欲望することになる。しかしそれは挫折する。そして、自分が他者2に対して向けた欲望も、他者2の欲望と同様に有限であると気づく。

    masayachiba
    2010-01-31 02:51:02
  • そして、他者2の欲望を永続させられなかったことを罪責感として引き受けつつ、自らの欲望の有限性を認めることになる。これが、ラカンがいう「去勢」である。フロイトよりもはるかに洗練された、弁証法的な理解であると言えるだろう。

    masayachiba
    2010-01-31 02:53:08
  • 以上は、原和之による解釈を参照している。かつ、ふつうは母、父と呼ばれるものを、他者1、他者2というふうに抽象化した。さて問題は、以上のx、これが「想像的ファルス」と呼ばれること。それは、幼児にとって大切な他者の欲望の対象だが、それがなぜペニス由来のイメージでなければならないのか。

    masayachiba
    2010-01-31 02:56:20
  • 原は、ラカンの考えとして、勃起するペニスは子供の成長を隠喩しているという解釈があること、そして、身体の諸部分において、分離せずに「脱落」することつまり萎えることができる特別な器官であるからだという解釈があることを示している。

    masayachiba
    2010-01-31 03:03:26
  • これに十分説得力があるだろうか。先ほどの精神現象学的な解釈に、生殖器との関係を持ち込む必然性があるのか。向井雅明は、「子供は肉体上の男と女の差異をすばやく感知し、母親に欠けているものxはベニスであると考えるようになる」と言うが、これは必然性のあることだろうか。

    masayachiba
    2010-01-31 03:03:41
  • 「脱落」=萎えるはやや強引? RT @masayachiba: 原は、ラカンの考えとして、勃起するペニスは子供の成長を隠喩しているという解釈があること、そして、身体の諸部分において、分離せずに「脱落」することつまり萎えることができる特別な器官であるからだという解釈がある

    pikarrr
    2010-01-31 03:08:13
  • 多くの解釈は、他者1(母)の在/不在の入れ替わり(によって想定される他者1の欲望するx)が、ペニスの在/不在として把握されると考えている。他者1=母が欲しているものは、そこに欠けているペニスだ、というわけである。

    masayachiba
    2010-01-31 03:10:58
  • なぜペニスが特権的に、在/不在のスイッチの要なのか。J-D・ナシオはおもしろい解釈をしている。

    masayachiba
    2010-01-31 03:13:49
  • ペニスという「身体的突起物」は、「触覚的にも視覚的にも明確なプレグナンツをもたらす」のであり、「まさにペニスのこの「良い形」が子供の心に刻みつけられ、この身体部分が「ある」か「ない」かという二者択一的な知覚をつくりだす」。(『精神分析の7つのキーワード』)

    masayachiba
    2010-01-31 03:14:17
  • しかし、突起物のプレグナンツが、ある/なしの存在論的二元性にならないケースを、考えられないか。そこで、両性のどちらにおいても明確なプレグナンツをなして「ある」ものとしての鼻について考えたくなってくるのである。

    masayachiba
    2010-01-31 03:16:37
  • むしろ鼻の盛り上がっているという特性から立つ=発つことで、勃つファルスを相対化し、ペニスの端的な佇まいをむしろ鼻的非生殖的盛り上がりとして解釈し、かつヴァギナについてもまた、鼻が盛り上がりつつ顔面に盛り下がってもいることから、起伏をもつ鼻の襞性を誇張した地形として解釈できないか。

    masayachiba
    2010-01-31 03:21:45
  • というわけで、僕としては、他者1と他者2の対ではなく、複数の他者のほうへ鼻から立つ=発つ、という精神分析批判をしてみたい。この鼻の盛り上がりは、女性の乳房への欲望、および男性の胸板への欲望を、並べて、非生殖的盛り上がりへの欲望として肯定することを可能にすると思う。

    masayachiba
    2010-01-31 03:25:37
  • とにかく言いたいのは、「非ファルス的にもっこりするもの」を肯定することです。

    masayachiba
    2010-01-31 03:32:52
  • @masayachiba 面白く拝見しています。しかし、ペニスや乳房、男性の胸板への欲望は分かるのですが、鼻は欲望されるものなのでしょうか?

    katatemaru
    2010-01-31 03:33:20
  • @katatemaru 鼻への関係において問われるのは欲望のゼロ度ではないかと思っています。鼻的なもっこりとしての身体のあらゆる起伏へのゼロ度における性的関係。それは一見したところまったく興奮しないようでありながら、過剰な興奮、というか「盛り上がり」を誘うものでないでしょうか。

    masayachiba
    2010-01-31 03:41:38
  • 鼻とは他者の痕跡を嗅ぐ器官であり、呼吸を促す生命の必須器官であり、複雑な稜線をもってその形成の履歴に想いを馳せさせる可塑的な器官であります……。

    masayachiba
    2010-01-31 03:44:28
  • でもファルスそのものがメタファーなわけで。鼻はまさに性器のメタファー RT @masayachiba: とにかく言いたいのは、「非ファルス的にもっこりするもの」を肯定することです。

    pikarrr
    2010-01-31 03:45:47
  • とまあ、それくらいの気合いを持って森村さんの「大きい鼻」について解釈している、というわけです。いったんラカン的に解釈してみせるふり(森村の鼻は「対象a」である)をしてから、それを裏切っていくので、作業量が二倍になり、苦心。

    masayachiba
    2010-01-31 03:47:13
  • @pikarrr いいえ、ファルスがそもそもメタファーであることによって鼻(やそのほか目に付く対象)を代理することを拒否できると信じてみるのです。そもそも、欲望の弁証法がファルスによって統御されているという考えは、人間は生殖する存在であるということへの「たんなる信」にすぎません。

    masayachiba
    2010-01-31 03:52:25
  • @masayachiba 性愛の場面で鼻の穴に何かを挿入するというのが(少なくとも僕の知る限り)無いのは、どうしてなのでしょうね。欲望のゼロ度というのと関わっているのでしょうか。

    katatemaru
    2010-01-31 03:56:40
  • .@masayachiba ファルスは、フロイトの幼児の性理論(男根期)から来ているので、生殖とは関係はない、というか「性関係は存在しない」のだから生殖とつなげるとダメでしょ。「デカ鼻はデカチン」のように鼻はまさにファルスです。

    pikarrr
    2010-01-31 03:59:56
  • @pikarrr ファルスは欲望が極大的に充満したものの「表象」で、精神分析理論においては、生殖器としてのペニスそのもではありませんが、それでもそれが生殖器としてのペニスに由来することは自明です。精神分析の大前提には、やはり生殖がある。僕は、それに対して批判的なんです。

    masayachiba
    2010-01-31 04:04:51
  • @pikarrr ラカンがいう性関係は存在しないというテーゼは、両性がまったく異なった欲望の機序をもっているために、出会い損ねによって出会うということを意味しており、その出会い損ねの出会いの結果、ときに生殖に至るということです。生殖を否定するテーゼではないと想います。

    masayachiba
    2010-01-31 04:07:20
  • 生殖器が生殖のためのものではない。これが精神分析の確信ですね。だから鼻も、ビルもファルスたりえる。 RT @masayachiba: @pikarrr 生殖器としてのペニスに由来することは自明です。精神分析の大前提には、やはり生殖がある。僕は、それに対して批判的なんです。

    pikarrr
    2010-01-31 04:10:47
  • @pikarrr 生殖器は生殖のためではないが、その非生殖的な性器使用の気まぐれをつづけているうちに、ときに生殖にいたることもある。これが精神分析の確信です。積極的に生殖と無縁の性器および身体部分の用法を考えることが可能だとすると、精神分析を逸脱します。

    masayachiba
    2010-01-31 04:16:59
  • @pikarrr 精神分析によれば、我々にとってもっとも理解不可能な「現実的なもの」とは生殖です。それゆえ、非生殖的な行為は、基本的に、その現実性の途方もなさを隠蔽するものとして解釈される。しかし、非生殖的なことをそれ自体として「現実的に」肯定する可能性があると考えたいわけです。

    masayachiba
    2010-01-31 04:19:48
  • .@masayachiba 再度言えば、生殖器が生殖のためのものではない。これが精神分析の確信ですね。だから生殖は現実界。非生殖的なことを「現実的に」肯定するという意味がわかりませんね。そこにはまると乗り越えはほぼ無理かと・・・

    pikarrr
    2010-01-31 04:25:58
  • ともかくも、今日いろいろと文献を読んでわかったことは、生殖器としてのペニスと、それと同じではない想像的/象徴的なものとしてのファルスという区別が、ラカンにおいてもほかの分析家においても、かなり曖昧であるということです。

    masayachiba
    2010-01-31 04:26:05
  • .@masayachiba 言葉で乗り越えようとするとほぼ無理ですね。実際にエッチすれば子供ができる。それだけのことですよ。

    pikarrr
    2010-01-31 04:28:15
  • @pikarrr 非生殖的なことを現実的に肯定するということの意味は、精神分析に依拠される限りまったく意味不明でしょう。それを考えてみるのが哲学の自由です。ですから、精神分析の確信を乗り越えるのではなく、その「傍らに超える」こと(「para-」という接頭辞の意味)をしたいのです。

    masayachiba
    2010-01-31 04:31:38
  • .@masayachiba ラカンのわかりにくいのは、シニフィアンの構造があって、突然それが性化してファルスになる。フロイトへの回帰と言い張るでしょうが、明らかにここに飛躍がありますね。現に対象aとファルスの近いわけが曖昧になる。

    pikarrr
    2010-01-31 04:33:41
  • @pikarrr @pikarrr 女同士でエッチすれば、男同士でエッチすれば、子供ができない。それだけのことです。現実です。それを断固として、ヘテロ規範性からの倒錯と見なさないこと。

    masayachiba
    2010-01-31 04:36:36
  • ラカンの乗り越えは誰もが一度は試みる登頂ですね。東先生も玉砕されましたし。本人は登頂したと言い張るでしょうけど・・・ RT @masayachiba: 精神分析の確信を乗り越えるのではなく、その「傍らに超える」こと(「para-」という接頭辞の意味)をしたいのです。

    pikarrr
    2010-01-31 04:36:36
  • 現に子供はうまれつづけ人類は滅びずにみごとに経済成長している。それだけのことです。 RT @masayachiba: @pikarrr @pikarrr 女同士でエッチすれば、男同士でエッチすれば、子供ができない。それだけのことです。現実です。それを断固として、ヘテロ規範性から

    pikarrr
    2010-01-31 04:38:18
  • .@masayachiba いまだかつてラカンを乗り越えた人を見たことないです。がんばってください。ラカンを知らない人はみんな普通に乗り越えてるのですが・・・

    pikarrr
    2010-01-31 04:44:35
  • @pikarrr そういう表立った歴史もあれば、それに寄生しつつ抵抗するそうではない歴史もあるということです。この話はこれくらいにしましょう。ありがとうございました!そろそろ眠くなってしましたから。

    masayachiba
    2010-01-31 04:45:43
  • @pikarrr いや、まあ、ラカンを乗り越えるなんて、基本的には簡単だと想うんですけどね、要するに男根中心主義を捨てればいいんですから。それを「実存的」にきちんとやるのは難しいのかもしれませんけれど。ともかくも、対話をしていただいて、いろいろと考えさせられました。

    masayachiba
    2010-01-31 04:47:56
  • ラカンが男根中心主義かはかなり微妙ですよ。がんばってください。 RT @masayachiba: @pikarrr いや、まあ、ラカンを乗り越えるなんて、基本的には簡単だと想うんですけどね、要するに男根中心主義を捨てればいいんですから。

    pikarrr
    2010-01-31 04:52:01

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2010-01-31 09:13:24 bacteriasleep さんが作成しました。
2010-01-31 09:25:39 bacteriasleep さんが更新しました。
2010-02-02 03:27:20 bacteriasleep さんが更新しました。

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