「スパイ防止法案」をめぐって(1)――戦後治安政策史の一断面
[book] 今日はこのへんからひとつ。/ 渡辺洋三(1988)『法と社会の昭和史』 http://t.co/NPSc52yM
2013-02-09 01:04:39[quote] スパイ防止法について. / 「スパイ防止法の方は、突如として、二、三年くらい前から政治の表舞台に登場して、国会に法案も提出され、ホットな問題になっております」(渡辺洋三(1988:341))
2013-02-09 01:08:35[quote] 「。もちろん、スパイ防止法制定の促進派たちは前から運動を進め、気勢をあげていました。刑法改正案の議論の中でも、この問題は取りあげられ、刑法の中には入れず特別の法律にまかせるとなったいきさつもあります」(渡辺洋三(1988:341))
2013-02-09 01:09:21[quote] 「そういう意味では『突如』でなく、一○年も前から着々と準備はされてきたのですが、国会への提出のしかたは、議員提案立法という形で、にわかに浮かびあがったという印象をぬぐいえません」(渡辺洋三(1988:341))
2013-02-09 01:10:06[quote] 「 この背後には、アメリカの側からSDI戦略がらみで強い要望があり、貿易摩擦の苦境への対策もあり、かなりごういんに法案提出を強行したものと考えられます」(渡辺洋三(1988:341))
2013-02-09 01:10:54[quote] 「もともと、アメリカの防衛秘密それ自体は、すでに現行の『日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法』によって手当てされているのです。しかし、最近の日米共同軍事演習の拡大やSDI計画開発の推進という状況の中で」(渡辺洋三(1988:341))
2013-02-09 01:11:52[quote] 「米軍の防衛秘密は同時に日本の防衛秘密と一体となっておりますから、日本の防衛秘密をしっかりとして貰わないと米軍の秘密も守れないという、アメリカ側の要請がいっそう強くなっているのです」(渡辺洋三(1988:341f))
2013-02-09 01:12:23[quote] 「ですから、国家秘密法といっても、実のところ、それは日本国の秘密ではなく、アメリカの軍事情報の秘密を守るというところに本当の狙いがあるのでしょう。ガイド・ラインで、軍事情報の緊密な連絡がうたわれていることを今一度おもい起こして下さい」(渡辺洋三(1988:342)
2013-02-09 01:13:08[quote] 「〔このスパイ防止法は〕当初は、いきなり死刑という極刑を入れた法案を出したので大騒ぎとなり、反対運動が拡がりました。そこで次には、その反対にこたえるという形をとり、死刑をやめるという一見ソフトな形に修正しました」(渡辺洋三(1988:342))
2013-02-09 01:15:04[quote] 「また最初の案では、マスコミが報道の自由をおびやかすおそれがあるといって反対の論陣をはり、それが世論に影響を与えましたので、今度の案では、報道の業務に従事する者に対して処罰しないという規定を入れて、マスコミ対策をはかっております」(渡辺洋三(1988:342))
2013-02-09 01:15:34[quote] 「最初はひどい案でおどかし、次には、それを多少やわらげるというやり方は、立法者がよく使うテクニックです。*『まだましだ』という印象を与えて、反対運動を押えるのに効果的だからです。実際に、今回は、前回にくらべてマスコミの論説もにぶっているようです」(ibid.)
2013-02-09 01:17:08[quote] 「しかし、多少の修正にかかわらず、法案の根本的骨組みや趣旨は同じでありますから、国家秘密法が現行憲法の平和主義に反し、国民の知る権利や言論の自由を侵害し、刑法上の罪刑法定主義などの基本原理を無視する稀代の悪法であることには変わりないのです」(ibid.)
2013-02-09 01:17:49[quote] 「記者の免責規定にしても、『専ら公益を図る目的』とか『正当な方法』とかのきびしい制限を設けておりますので、この案だと、かえって、あの有名な西山記者事件に関する最高裁の決定よりも不利だと専門家は指摘しています」(渡辺洋三(1988:343))
2013-02-09 01:18:32[quote] 「このような法律ができて、国民のすべてがスパイではないかと疑われ、うっかり口もきけないというような、あの暗い時代の悪夢が再現する時代には、絶対になってほしくはないと切にのぞみます」(渡辺洋三(1988:343)) http://t.co/NPSc52yM
2013-02-09 01:19:26