シャムロックの軍用機講座#5 「零式艦上戦闘機」

エメリア共和国空軍第8航空団のマーカス・ランパート中尉による航空機のお話であります。 今回は旧日本帝国海軍零式艦上戦闘機を取り上げています。 一般人にとって旧日本軍といえば大和とこれ、みたいな感じですよね。 そのぐらいの知名度のある機体ですが、意外と詳しくは知らない人も多いのでは?
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マーカス・ランパート @Marcus_AC6

さて、それじゃあ今日は軍用機の話を。今回はかの有名な日本海軍の零式艦上戦闘機、通称「零戦」について。現在、所沢航空記念公園に展示されている零戦52型の画像も交えて解説しよう。

2013-02-08 23:22:52
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

零戦、正式名称は零式艦上戦闘機。日本海軍が1940年に制式採用した戦闘機だ。初飛行は1939年、設計開発は現在も航空自衛隊の戦闘機開発や改修、定期修理を請け負う三菱重工だ。

2013-02-08 23:26:41
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

言うまでもなく、零戦は現在に至るも非常に有名な戦闘機だ。徹底的に軽量化された機体が生み出す軽快な運動性、強力な20ミリ機銃、長大な航続距離。これに優秀なパイロットの技量が加わり、出現当初は間違いなく無敵だった。 http://t.co/hXstVI0g

2013-02-08 23:31:04
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マーカス・ランパート @Marcus_AC6

そもそもの零戦の始まりは、1937年に日本海軍が国内の各メーカーに提示した「十二試艦上戦闘機計画要求書」からだ。この要求書に、日本海軍が零戦に求めていた性能が記されていた。

2013-02-08 23:34:02
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

零戦と言えば長大な航続距離を持つことから「戦線が拡大していく中国大陸で、既存の戦闘機では爆撃機に追従出来ないことから長い航続距離が求められた」とよく言われるが、この要求書にはそのような記述はない。

2013-02-08 23:36:26
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

では何が記されていたのか。日本海軍の要求書には零戦は「敵の攻撃機を阻止し、また観測機を撃墜する。優秀な速度と上昇力で敵戦闘機とも有利に戦えて、長い滞空時間を有すること」とある。これは僕の意訳だけどね。

2013-02-08 23:39:28
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

僕が察するに、おそらく零戦は中国大陸での戦闘を意識していたというより、空母から発進して艦隊を敵の攻撃機から守り、また砲撃の弾着を偵察する観測機を撃墜する機体、すなわち太平洋でアメリカとの艦隊決戦に臨むための戦闘機だったんじゃないかな。

2013-02-08 23:42:01
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

とは言え、零戦が実際に初陣が中国大陸での戦闘だったのは揺るぎない事実だ。

2013-02-08 23:43:17
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

さて、要求書を受けた各メーカーだったが、この条件をクリアするのには相当な困難が予測された。結局、最終的に試作を行うのは三菱重工一社のみとなった。

2013-02-08 23:44:54
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

開発を担当することになった三菱は、それまでも高い実績を持っていた堀越技師に零戦の担当を命じた。堀越技師は要求性能に応じるため、まずは徹底的な軽量化と空気抵抗の削減を図った。

2013-02-08 23:46:51
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

零戦と言えばとにかく防弾すら排除しての軽量化というイメージがあるが、実際にはそれだけじゃなかった。リベット一本にまで気を配り、空気抵抗を極力減らした。 http://t.co/00suijkC

2013-02-08 23:49:37
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マーカス・ランパート @Marcus_AC6

他にも普通のアルミ合金よりも頑丈な超ジュラルミン合金のさらに上を行く超々ジュラルミン合金を主翼に使用するなど、様々な努力が行われた。結果、出来上がったのは約千馬力のエンジンで破格の運動性と速度を兼ね揃えた機体だった。

2013-02-08 23:54:47
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

ちなみに、ライバルのグラマンF4Fが約1200馬力で最大時速512キロ。零戦は940馬力のエンジンで最大時速533キロ。航続距離と運動性にはさらに差があり、いかに軽量化の恩恵を受けているかが分かる。

2013-02-08 23:57:10
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

ここで注意したいのは、よく言われる「零戦は防弾すら排除して軽量化された」という話だ。その指摘は確かに間違いではない。ただし、日本海軍はそもそも要求性能に防弾を含めていない。

2013-02-08 23:58:44
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

アメリカのように高出力のエンジンを持てず、それでも要求性能に応えなければならないとなった時、最初に削るべきはどこか。要求性能に入っていない防弾が上げられるのも、やむを得ない話だ。

2013-02-09 00:00:39
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

また、当時の各国軍隊の間では戦闘機の空戦は高速であるから、防弾をして重く鈍い機体になるよりは軽く速い機体の方が良い、という論調があった。零戦はその流れに乗ったに過ぎない、とも言える。

2013-02-09 00:03:54
ハサマリスト@秋例大祭こ23a @ThatZ_orz

@Marcus_AC6 人命軽視と呼ばれてしまった所以ですね、しかしパイロットは運動性を求めていたのが52型で――

2013-02-09 00:05:05
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

零戦を象徴するものと言えば、この20ミリ機銃もそうだ。零戦は型式にもよるが、おおむね7.7ミリ機銃と20ミリ機銃を各2門搭載していた。 http://t.co/UOjmCCtI

2013-02-09 00:06:22
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マーカス・ランパート @Marcus_AC6

@ThatZ_orz 52型が登場した時期にはもう運動性を発揮するような空戦はなくなっていた、と言うけどね。そこはまたこれから話そう。

2013-02-09 00:07:29
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

米軍のF4FやP-40が12.7ミリ機銃のような中口径だったのに対し、零戦の20ミリ機銃というのは大口径で破壊力があった。敵機にとっては間違いなく脅威だっただろう。

2013-02-09 00:10:54
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

ただ一部のパイロットからは「20ミリは当たらない」と不評があった。弾が大きい分、どうしても初速が遅く弾道が山なりになってしまっていたんだ。しかしこれは後に機銃自体が改良されて、弾道特性も改善されている。

2013-02-09 00:13:22
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

かくして軽量化され空気抵抗も洗練された機体による軽快な運動性と航続距離、強力な20ミリ機銃を備えた零戦は戦場に送り出され、その威力を発揮した。中国大陸では完全に無敵で、中国空軍などは零戦が来ればまったく迎撃に出ないことすらあった。

2013-02-09 00:17:04
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

@kei_saunders そうだね、初期はドラム弾倉だったが弾数が少なかった。これは後にベルト給弾に変更されて弾数が増加している。

2013-02-09 00:18:32