攘夷から開国に豹変した明治維新
- ShinShinohara
- 7344
- 1
- 1
- 3
江戸幕府は鎖国、明治維新は開国、そんな風な誤解は結構ある。しかし歴史の教科書にもあるように、幕府は世界の趨勢を知って開国を目指していたのに対し、維新側は攘夷(外国排除、鎖国)原理主義だった。話がねじれているのだ。実際、中学生の頃は私も混乱していた。
2013-02-16 12:26:18実は当時の人たちにとってもこれは意外なことであった。福沢諭吉などは、「世界情勢も知らぬ大馬鹿者の攘夷派どもが実権を握ってしまった」明治維新に深く失望し、しばらく引きこもっていたほどだ。何年か経って、維新政府が開国を目指していることを知り、ようやく協力するようになったのである。
2013-02-16 12:31:58つまり薩長はよく言えば戦略的、悪くいえば狡猾に国民受けのよい「攘夷」派を装い、政権を奪ってから逆転して開国を目指すようになったのである。福沢諭吉はむしろこのことを歓迎したが、国民の多くは「だまされた」。毅然と攘夷をしてくれるものと思い応援したのに、裏切られたのだ。
2013-02-16 12:39:03維新政府が攘夷を実行してくれると信じていた人たちは、当然激高した。ところが維新政府はかつての同志を容赦なく弾圧し、攘夷とは逆の開国を目指した。以上を考えると、開国すべしという開明的な人間からは実権を奪い、共に攘夷をしようと応援してくれた人を弾圧するという、随分なことをしている。
2013-02-16 12:49:19明治維新の男たちは、当時の時代人から見れば見下げ果てた者たちに見えたことだろう。維新後も西郷隆盛を殺そうとした人間が大勢いたのも、そのためだ。ただ、維新政府の男たちはこのことを自覚してもいた。大久保利道はろくに護衛もつけずに暗殺された。殺されても仕方ないと思っていたのだろう。
2013-02-16 12:53:52つまり明治維新を担った男たちは、とても褒められたものではないことをやっているという自覚があった。先見の明があった開国派から実権を奪うためだけに攘夷を装い、応援してくれた攘夷派をもはや邪魔だと徹底して弾圧する。これでは権力にすがりつく亡者に見られても仕方ないと覚悟していただろう。
2013-02-16 13:00:15維新の中心にいた男たちは早死にしている。西郷、大久保、竜馬。彼らは憎まれ、ののしられ、軽蔑されてもやむを得ないと腹をくくっていた。自分がひどいことをしているという自覚があった。ろくに命を守ろうとしなかったのは、せめて命を捨てることで身の証を立てようと考えていたのかもしれない。
2013-02-16 13:06:29さて、今の日本にも維新を名乗る政党がある。国民受けする政策を矢継ぎ早に打ち出し、支持を得ている。彼らは明治維新の男たちを忠実に真似ようとしているのだろうか。だとしたら、実権を握った後に、これまで口にしていたこととは逆のことをしようという思い(覚悟)もあるのだろうか。果たして?
2013-02-16 13:14:19明治維新と今の違いは、民主主義か否かということだ。江戸時代以来、庶民は政治を考えなくて済んだ。農民は政治を武士にアウトソーシングしていたともいえる。しかし今は曲がりなりにも民主主義。後で裏切るとこっぴどい目に遭うのは、政党の方だというのは、民主党でもみてとれる。裏切りはしにくい。
2013-02-16 13:19:15