正直言うと、患者の訴えだけを聞いていては解けなかった。2回目の治療の時には気付いていたけど、可能性でしかなかった。3回目の治療でほぼ確信。4回目の治療では治療方法を大きく変えた。明日が5回目の治療、もうほとんど治ってるようなもんだけど、患者が満足するまで治療は続くだろう。
2013-02-22 23:46:49思い返せば、ずっと前から僕はその患者と会話して不満を知っていたんだ。今思えば全てが繋がる。1回目で気付けなかったのは腕の未熟さ故か・・・
2013-02-22 23:48:35病態把握ってのは本当に難しいなぁ。特に今回のような3種類の痛みが深く絡み合ったようなものだとなおさら。今回の患者は介護施設利用者だったから知ってる人だったけど、全く知らない同じような人が来た時に気付けるかどうか・・・。難しいと思います。
2013-02-22 23:50:31頭の中に鑑別診断のチャートは入っている。それのどこにも当てはまらない。しかし痛い。検査の所見は陰性だ、しかし訴えと矛盾している。高齢者の場合SLRなどの所見が陽性に出るのは絶対ではないが、今回の患者は矛盾点が多すぎた。素人にはわからないように質問をするとほぼ全てが矛盾していた。
2013-02-22 23:52:08患者の訴えでは坐骨神経痛で膝から下にかけて下腿後面がギャーっとひきつれるように痛いと訴える。痛みがきつすぎて我慢できずに泣きそうな声で「痛い痛い」と叫び続ける。これは異常だ。
2013-02-22 23:53:36神経痛であるならば神経学的異常所見はどうなのか?理学検査をしたところ、神経学的異常所見はなかった。患者の訴えではひきつれるように痛い。これはつまりコムラ返りのような筋の異常収縮によって痛みが出てるのではないかと考えた。
2013-02-22 23:55:22患者が最大限痛いと泣きそうになりながら叫んでる時にさするフリをして筋肉の緊張を確かめる。結果は全く緊張などしていない。しかし心配すればするほど大きくなる叫び声。
2013-02-22 23:56:34Dr.が3回目の治療の時にやっとこレントゲンを撮ってくれた。もちろん年齢的なものもあって脊椎の変形はある。骨粗鬆もある。しかし、あれほど泣き叫ぶように痛いと訴えるレベルではない。検査の所見と患者の訴え。自分がいかに痛いのかを説明してくれるんだが、全てが医学的に矛盾している。
2013-02-22 23:58:15実は3回目までは鍼通電による鎮痛を目的とした治療をしていた。鍼による通電は脳内オピオイドを分泌させて鎮痛系を賦活させる。鍼通電を40分かけ、誘導時間から考えても十分に鎮痛がみられる「はず」だった。しかし、治療前の痛みを10とすると治療直後の痛みは10以上という答えが返ってきた。
2013-02-23 00:06:28治療前は思いっきり泣きそうな声で痛い痛いと言っていたが、ベッドに寝かせると一瞬で楽になる(これは僕がベッドに寝ると腰への負担が減って楽になるはずですって教えているから)。治療を行い、車椅子にまた移乗をする際もしっかり大声で痛いと叫んでいた。
2013-02-23 00:03:344回目の治療に迎えに行くのは13時だと患者は知っていた。そして僕が迎えに行った時にはこれでもかってくらい泣き叫んでいた。介護施設の職員によると「さっきまでは全く何とも無かったのにいきなり。」だそうだ。優しい同情して心配してくれる僕が13時に来るのを知っていたのだ。
2013-02-23 00:00:09さらに、この時にはDr.にる神経ブロック注射も受けている。神経ブロック+鍼通電による鎮痛で痛みがなくならないどころか増していると答えたのだ。
2013-02-23 00:07:38もう大体答えはわかってると思いますが、この患者さんの痛みは、心因性疼痛が大きな割合を占めます。もちろん侵害受容性、神経因性疼痛が無いわけではなく、3種類の痛みが絡み合った疾患と考えていいでしょう。
2013-02-23 00:09:05僕はこの患者さんが前々からDr.がちゃんと自分の腰の痛みを診てくれないことを不満に思ってることを聞いていた。そして、実際に痛みが出た時に痛いと訴えれば周りが心配して同情してくれることに味を占めたのだ。心因性疼痛を甘えだとか思ってるわけではない、この患者の痛みの背景を知りたかった。
2013-02-23 00:10:52それからは他人が心配して声をかけた時だけ痛い痛いと叫ぶようになることがわかった。わかってからそういう視点でみてみると、笑ってしまうくらい面白いように痛みだす。心のケアをしなければいけない。そう思った。
2013-02-23 00:12:31身体の調整や神経の調整は得意だけど、心のケアってどうやってやるんだろうなぁ。とにかく自分のできるところまでは頑張ってやってみる。今のところはDr.への不満を僕が同情して適切な治療をしていることを示して、順調に治っていることを示せば次第に不満は解消されるのではと考えている。
2013-02-23 00:14:09心因性疼痛も立派な症状。鍼灸師やっててこれほどまでに特徴的な患者さんは今までいなかった(経験不足なだけ)。いろんな患者さんがいるなぁと思うと同時に、自分の未熟さを痛感する症例でした。
2013-02-23 00:15:52ちなみにDr.は一発目から同情を買うためのオーバーリアクションであることを見抜いていましたw流石w経験も知識も足元にも及ばないけど、Dr.にはできない(っていうかしようとしない)心のケアを僕がしてみせるぞ。
2013-02-23 00:16:58