WHOの2013年福島レポートとDDREF
- MasakiOshikawa
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DDREFとは?
Dose and Dose Rate Effectiveness Factor(線量・線量率効果係数)
低線量あるいは低線量率の被曝による影響は生体の修復機能によって、高線量あるいは高線量率の被曝による影響に比べて小さくなると言う考え方があり、ある種の効果については動物実験で認められている。人体における発がん等の晩発的影響についてもそのような効果があるとされて来て、たとえばICRPはDDREF=2を採用している。(低線量あるいは低線量率の被曝は、高線量・高線量率の被曝に比べ線量あたりの過剰発がん率が1/2になるという意味。)一方、疫学研究の最近の結果は、むしろDDREF=1(線量あたりの過剰発がん率は、低線量・低線量率でも同じ)を支持する傾向にある。被曝による過剰発がん率の推定は、これまで主に高線量率の広島被爆者追跡調査(LSS)がベースになっていた。もしDDREFを2に代えて1とする場合、低線量・低線量率の被曝による発がんリスクはこれまでの標準的なモデルの2倍となる。
もしICRPもリスクモデルに関して同様の変更を行った場合、論理的には、ICRP勧告中の線量限度や参考レベル等の数値も半分にする必要があることになる。
注: みーゆさんのツイート中「DDREFを使わない」というのは、低線量・低線量率でも線量あたりの過剰発がん率は高線量・高線量率の場合と変わらないものとする、ということで、DDREF=1を仮定することと同じです。
参考: みーゆさんによる低線量被曝とDDREF、チェルノブイリの健康被害に関する考察
WHO の福島レポート 2013年 http://t.co/BSpFrcJKjz では DDREF は使われていない(p. 32)。これは賢明な判断だと思われる。
2013-03-03 17:02:19WHO レポートで DDREF が使われなかった理由は、固形癌 http://t.co/JjaVhUaLJB と白血病 http://t.co/DOKbgZnu9L の統合解析で、慢性被ばくの癌リスクは急性被ばくと同等という結果が出ているから。 @miakiza20100906
2013-03-03 17:03:42やはりもう、ICRP も DDREF = 2 を撤回せざるをえないだろう。WHO レポートの Contributors には ICRP 委員もいる http://t.co/WLzSAIdfl7 @miakiza20100906
2013-03-03 17:12:50ICRP が DDREF = 2 を撤回したなら、発がんに関する様々な線量限度もすべて半減されるだろう。参考レベルの2つの上限 100 mSvと 20 mSvも、それぞれ 50 mSvと 10 mSvにされるはず。これが震災前に実現していれば、日本の避難基準すら違っていたはず。
2013-03-06 18:49:01日本からの2名の委員のみ、DDREF=1に異論
ただし、レポートの Contributors http://t.co/WLzSAIdfl7 のうち、2人がこの判断に反対したらしい。その2人は何故か両方とも日本人で、明石真言氏と丹羽太貫氏 http://t.co/hE75OR6mVk @miakiza20100906
2013-03-03 17:05:42やはり、当事国の人間には 遠慮 のようなものが出てしまうんだろうか?? @miakiza20100906
2013-03-03 17:08:09「当事国の人間には遠慮のようなものが出てしまう」
と言うより、構造的な問題では?
参考:
島薗進・宗教学とその周辺
日本の放射線影響・防護専門家がICRP以上の安全論に傾いてきた経緯(1) ――ICRPの低線量被ばく基準を緩和しようという動きの担い手は誰か?――
http://mys1.sakura.ne.jp/shimazono/?p=267
島薗進 著
つくられた放射線「安全」論 ---科学が道を踏みはずすとき
http://www.amazon.co.jp/dp/4309246133
(河出書房新社)
しかし、明石真言・丹羽太貫両氏が DDREF = 1 とすることに反対した理由は何なんだろう。まさか、「防護指針に重大な変更を行う場合には UNSCEAR による審議を経るべきだ」なんて言ったわけではないよね… http://t.co/yZEypkF7sr
2013-03-06 19:07:54反響、感想など
.@MasakiOshikawa さんの「WHOの2013年福島レポートとDDREF」をお気に入りに。丁寧な解説がありがたいです。 http://t.co/j2KYL6nwQu
2013-03-06 00:49:40うーん、なかなか難しいところ…今後に注目かな。.@MasakiOshikawa さんの「WHOの2013年福島レポートとDDREF」をお気に入りにしました。 http://t.co/vRZa2sBeXC
2013-03-06 19:20:33『委員のうち日本からの2名のみがDDREF=1採用に反対した』>WHOの2013年福島レポートとDDREF http://t.co/VOjY94wkxe
2013-03-05 23:16:11.@MasakiOshikawa さんの「WHOの2013年福島レポートとDDREF」をお気に入りにしました。 この2人が日本代表で入る構造に問題がある。 http://t.co/0FNq4tkq52
2013-03-06 00:34:09【WHOの2013年福島レポートとDDREF】 http://t.co/4Ky7kOCqHF 「WHO報告で DDREF=1 になぜか反対した日本人2名(明石真言氏と丹羽太貫氏)」の件。押川さんまとめ。あちこち資料を読むと色々見えてきて段々背筋が冷えてくる。 @minadukiG
2013-03-05 23:41:53ドイツ放射線防護委員会(政府機関)の勧告
同委員会はDDREF=1を勧告しているようです。(が、ドイツ国内規制には国際条約の関係もあり未だ取り入れられていない?)
そういえば、Jacob,Walsh,Zeeb らもドイツだった → “Is cancer risk of radiation workers larger than expected?” http://t.co/JjaVhUaLJB
2013-03-21 19:47:01この Jacob,Walsh,Zeeb は、3人とも WHO の福島レポートに参加 http://t.co/WLzSAIdfl7 @miakiza20100906
2013-03-21 20:05:19ドイツ放射線防護委員会(ドイツの政府機関)2007年勧告→ http://t.co/IBF3xqPqA6 低線量率被曝に関してDDREF=2の不使用を明確に勧告しているようです。 (ドイツ語読めないので詳細不明ですが)その帰結も知りたいですね。 @miakiza20100906
2013-03-21 19:17:44ドイツが加盟するEURATOM内で放射線防護の基準は一様にするらしく→ http://t.co/LinOOHjthg (Directive adopted 30 May 2012) ICRP勧告が変わらないとEURATOMを通じてドイツ国内の線量限度等も変わらないということか?
2013-03-21 19:54:14Proposal for a Council Directive laying down basic safety standards for protection…from…ionising radiation http://t.co/rWMn3Fwzuw
2013-03-21 20:12:47wikipediaですが、ドイツではEuratomにしたがって一般公衆は1mSv/yと書いてありました。 http://t.co/2t1e32W0Xo @MasakiOshikawa @miakiza20100906
2013-03-21 20:20:07