ドキュメント的解釈法に関するメモ by @kaerusan

私のものおぼえのためのまとめ。 そして身体的解釈法へ…
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細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

ドキュメント的解釈法のメモを書こうと思っていたのだが、非常にやりにくいな。

2013-03-05 23:49:06
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

まいっか。とにかく最近あまりに忘れっぽいので、ツイートでもしておかないとHDの肥やしになってしまう。

2013-03-05 23:50:04
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

1) 人は物理的環境にあって、他者や他者の行為に強く惹きつけられる。ヒューリスティックは他者にまとわりつく。カーネマンやトヴェルスキーの出す設問の、構造だけでなく、そのことばに、語り方のもたらす状況によって、ヒューリスティックは立ち上がる。

2013-03-05 23:51:12
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

2) 他者の行為に対して、相手が持っているであろう知識モデル(それは一種のヒューリスティックだ)を当てはめようとしたり、相手のことばを解釈する枠組み(それもヒューリスティックだ)を我知らずとってしてしまう。

2013-03-05 23:52:43
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

3) ガーフィンケルの「ドキュメント的解釈法」は(ヒューリスティックという概念より前に提案されたが)、わたしたちが他者に投げかけるヒューリスティックと見ることができるのではないか。ただし、それは意思決定論でしばしば扱われる、設問一発で顕わになる単独の認知バイアスのことではない。

2013-03-05 23:54:48
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

4) ドキュメント的解釈法は、相手の行為によって刻々と枠組みを変え、過去の認知を未来から書き換える過程だ。だから、ガーフィンケルは、知覚される(相手の行為の)標準的価値は、ただ(行為に)「割り当てられる assigned」のではなく「管理される managed」のだ、と書いた。

2013-03-05 23:55:47
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

5) カーネマンやトヴェルスキーが問いかける、その設問のあり方にさえ、読み手は「む、これはクイズだな?」「この数値はなんだ?」「なぜパーセントなのだ?」「この数字を比べて考えろということか?」などと微細に認知を変化させる。認知は、比較を促すことばの構造によって揺らされている。

2013-03-05 23:57:23
ikeken @ikekenzzz

今年の卒論に、彼らの研究を%でなく言語表現に代えたのが出ました。するとプロスペクト理論はあやしくなる。@kaerusan カーネマンやトヴェルスキーが問いかける、その設問のあり方にさえ、読み手は・・「なぜパーセントなのだ?」「この数字を比べて・・?」などと微細に認知を変化させる。

2013-03-06 01:15:38
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

@ikekenzzz わあ、それはおもしろいですね。母数に対する認知が揺らぐのでしょうか。

2013-03-06 01:28:34
ikeken @ikekenzzz

卒論生の「理論」は、人間、進化の過程で確率でもの考えたことはない、言語表現で確率を表した方が事態を正確に把握できるはず、と。発想はいい。検証には達してないですが。RT @kaerusan: @ikekenzzz わあ、それはおもしろいですね。母数に対する認知が揺らぐのでしょうか。

2013-03-06 01:38:53
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

全体と部分を並置するような発話なんでしょうか。ジェスチャーだと、ぱっと手を広げて狭める、なんて表現も思い浮かびます。 RT @ikekenzzz: 卒論生の「理論」は、人間、進化の過程で確率でもの考えたことはない、言語表現で確率を表した方が事態を正確に把握できるはず、と。(後略)

2013-03-06 01:59:00
ikeken @ikekenzzz

というのではなく、70%というより「おそらく」の表現の方が事態を正確に認知できる、と。RT @kaerusan: 全体と部分を並置するような発話なんでしょうか。 RT @ikekenzzz: 卒論生の「理論」は人間、進化の過程で・・言語表現で確率を表した方が事態を正確に把握はず

2013-03-06 10:31:18
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

6) 他者とのことばのやりとりによって、こちらのヒューリスティックが刻々と変化するのだとしたら、それらのことばにはどんな装置が埋め込まれて、ヒューリスティックをナヴィゲートし、安定させ、再び揺らすのか。会話分析を、このような問いに答える分析として捉え直してみるのはどうか。

2013-03-05 23:59:54
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

7) Heritageが最近盛んに書いている「知識のエンジン」も、ただ既存の知識の勾配をバランスする話だと見るとおもしろくない。そもそも、知識の勾配があるかどうかは、語ってみなければわからないし、相手が問い、オゥと言わねばわからない。

2013-03-06 00:02:45
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

8) 逆に、相手の真意がどうであろうと、問いがあって、こちらが応えて、相手がオゥそうですか、と言えば、知識の勾配が顕れて、それが埋められたかのように見える。もちろん、事前に相手に何らかの知識状態を仮定して臨むのだが、あとでその仮定が違うことが発覚してもよい。

2013-03-06 00:06:41
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

9) わたしたちはお互いの知識状態に惹きつけられる。相手の真の知識状態は何か、を知るかわりに、こちらの仮定しているお互いの知識状態にどんな変化があるかに注意し、お互いの仮定している知識状態を「管理していく manage」。これはドキュメンタリ的解釈法の一過程でもある。

2013-03-06 00:10:56
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

10) 「これなあに?」「ペン」といった目に見える問い/答えとは別に、わたしたちは「問われていない質問に答える」ように、自分の解釈を産み出している。これをペンだとわからないなんてバカじゃないの?いや、もしかしてこのペンはそれほど奇矯な形をしているのだろうか、などなど。

2013-03-06 00:19:17
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

ドキュメンタリ、ドキュメンティング、ドキュメント、ドキュメンテイション、といった面倒な言い回しを耳障りよくするために、どきゅめく、という動詞を導入したいと思います。

2013-03-06 00:29:50
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

どきゅめ(ドキュメント) どきゅめき(ドキュメンタリ) どきゅめかせる(ドキュメンティング) どきゅめきメモリアル(ドキュメンタリ的解釈法)

2013-03-06 00:32:11
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

どきゅめかせる作業とは、すなわちパターンを探し決定し、相手の応えを意図によって動機づけられた質問として扱い、仮定された意図が正しいか見極めるべくさらなる答えを待ち、問われていない質問に答えることですが(ガーフィンケル)

2013-03-06 00:39:02
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

どきゅめきメモリアルを、科学体系の中に叙述たちを位置づける単一の過程と考えるのはミスリーディングです。むしろ、どきゅめきメモリアルは、相手のことばを位置づけ直し続けていく不断の営みと見るべきでありましょう。

2013-03-06 00:46:02
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

文中、「ドキュメンタリ的」「ドキュメント的」とぶれてますが、「ドキュメント的解釈法」に統一して読んで下さい。つまり、どきゅめき=どきゅめ的、ってことです。ちなみに『エスノメソドロジー(ワードマップ)』.. http://t.co/TxTGAKjLCx

2013-03-06 10:30:57
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

ガーフィンケルのドキュメント的解釈法については、Common sense knowledge of social structures: the documentary method of inter.. http://t.co/0bGYf4wYkS

2013-03-06 10:33:18
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

1) 昨日書いたドキュメント的解釈法(どきゅめきメモリアル)は、実は人工知能やロボットの問題にも開かれている。ガーフィンケルは、人々が日常でドキュメント的解釈法を用いて相互行為を行っていることを示すべく、ある実験をした。

2013-03-06 12:13:38
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

2) 学部生を集めて、これからカウンセラーの卵の学生を相手に、音声で相談事をしてくれと頼む。ただし、カウンセラーの卵は「イエス」「ノー」の二通りの答えしか言わない。そして、学部生には教えないが、実は「イエス」「ノー」の順番はでたらめで、学生の相談内容とは関係がない。

2013-03-06 12:16:13