チーフテン開発時の話

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下呂子(げろこ) aka でゅらちん @Geroko

1967年、イスラエルで試験中のチーフテンMk2。右側に立っているのはオールタンクドクトリンやメルカバの生みの親ことイスラエル・タル http://t.co/07Jk8Q3nrq

2013-03-10 19:51:36
下呂子(げろこ) aka でゅらちん @Geroko

一応、チーフテン開発のコンセプトとしては、(巡航戦車と歩兵戦車を統合した)ユニバーサル・タンクであるセンチュリオンのコンセプトをさらに推し進め、今度は重戦車(コンカラー)とも統合した、真のMBTを作るということになっています。

2013-03-10 19:55:18
下呂子(げろこ) aka でゅらちん @Geroko

よく、チャレンジャーでdisられる「分離装薬(笑)」については、チーフテンからの採用です(まあ主砲も一緒だし)。

2013-03-10 19:56:33
下呂子(げろこ) aka でゅらちん @Geroko

これはレンドリースしてもらったシャーマンが被弾即炎上で乗員を失うという、血を流して得た戦訓、「もっとも被弾する率の高い砲塔の内部に爆発するもの(手っ取り早い話、弾薬)を置いてはいけない」を突き詰めたものです。この考えはセンチュリオンから採用され、朝鮮や中東で結果を残しています。

2013-03-10 19:59:51
下呂子(げろこ) aka でゅらちん @Geroko

さすがに120mm砲だと砲弾もでかいし、このコンセプト(砲塔リングから上に爆発物を置かない)は無理かなーということ、あと薬莢式の砲弾だとでかくてどもならんということで分離装薬になっています。液体装薬も研究されていた、なんて話があったりして、こういうところは英国面全開です。

2013-03-10 20:02:16
下呂子(げろこ) aka でゅらちん @Geroko

なお、この分離装薬については、海軍の軍艦のコンセプトを大いに参考にしたといわれています。装薬の写真どぞー(DRILLと書いてあるので訓練用かな) 榴弾と徹甲弾で装薬がちがうっぽい http://t.co/NA4gZTYjo6

2013-03-10 20:05:05
下呂子(げろこ) aka でゅらちん @Geroko

なお、この装薬そのものは車体内部の湿式弾庫(装薬を収めているケースの中に、グリセリンを混ぜた水を満たしてある。弾庫が貫徹されると装薬が水浸し)に収められています。

2013-03-10 20:06:32
下呂子(げろこ) aka でゅらちん @Geroko

そして、分離装薬化した最大のメリットは、なんといっても携行弾数が稼げたことで、チーフテンは64発携行できます(レオ2で42発だっけ)。これは「爆発するものを砲塔に置かない→爆発しない徹甲弾なら砲塔内に置ける」をうまく利用しています。

2013-03-10 20:11:28
下呂子(げろこ) aka でゅらちん @Geroko

あと、分離装薬(笑)→2挙動装填(笑)→発射速度おそい(笑)なんてdisりもありますが、要求仕様の6発/分は十分に満たされるとされています。

2013-03-10 20:15:09
下呂子(げろこ) aka でゅらちん @Geroko

あと、HESH採用に関してはHEATとほぼ同じような感じ、距離を問わず同じ撃破力がうんたらかんたらでよいかもです。

2013-03-10 20:16:29
下呂子(げろこ) aka でゅらちん @Geroko

さて、十分すぎるほどの防御力と当時のMBTから頭一つ抜けた攻撃力を備えたチーフテンは、「ソ連が最も恐れた戦車」として知られ、うおおおカッコいいぜ英国最高だな!なんてうっかり思ってしまいますが…それで終わらないのが。こいつの英国面は駆動系にあります。

2013-03-10 20:20:37
下呂子(げろこ) aka でゅらちん @Geroko

英国がセンチュリオンで出来なかったこと、それは「エンジンのディーゼル化」です。これを実現すべく、英国は満を持して「対向ピストンディーゼルエンジン」、レイランドL60を開発してチーフテンのメインユニットに据えます。これが悲劇の始まり http://t.co/38LFIjhG4q

2013-03-10 20:24:17
下呂子(げろこ) aka でゅらちん @Geroko

(ちなみに、英国ではハイオクガソリンの割り当て=空軍優先、軽油の割り当て=海軍優先というのがあったらしく、センチュリオンはそのおかげでガソリンなミーティアエンジンで行くことになりました。シャーマンでも、M4A2が海兵隊とソ連に割り振られたのも同様の理由とされています。余談)

2013-03-10 20:27:29
下呂子(げろこ) aka でゅらちん @Geroko

対向ピストンディーゼルエンジンといえば、ヒコーキ詳しい人だとJumo205(レイランドL60はJumo205を参考にしたとか何とか)、ソ連戦車だと5TD(T-64)、バス好きな人だとUDエンジンだっけ?

2013-03-10 20:30:28
下呂子(げろこ) aka でゅらちん @Geroko

対抗ピストンディーゼルのメリットは「圧縮比が稼げて小排気量でもパワーが得られる」なのですが…縦置き配置にしちゃったので問題が(;´Д`) アッパークランクのオイルが落ちて潤滑不十分、エンジンブローに悩まされまくることになります http://t.co/Fzq0qwwi75

2013-03-10 20:33:12
下呂子(げろこ) aka でゅらちん @Geroko

あと、小排気量でコンパクトなユニットになるはずがそうもいかず、車体後部を延長する羽目になり、これがチーフテンの重量増の一因になったとかなんとか…(これは細かく調べてないので、余談として流してください)

2013-03-10 20:34:56
下呂子(げろこ) aka でゅらちん @Geroko

他にもギヤボックストラブルなどの慢性的なトラブルを抱えてしまい、60~70年代のチーフテンの稼働率は超絶ボロボロ、抑止力として重点配備されたBAOR(英国ライン軍団)でも「これホントに抑止力になるのかよ!足引っ張ってんじゃねーのかよ!」となり…

2013-03-10 20:38:59
下呂子(げろこ) aka でゅらちん @Geroko

ブチ切れた政府により、"The Chieftain Tank Engine"という調査報告書が1978年に出されてしまうという、ありえねー状況になってしまいます。その報告書では「主砲とレンジファインダーの能力は一級品だが、とにもかくにもエンジンがだな…」となっているそうな

2013-03-10 20:41:41
下呂子(げろこ) aka でゅらちん @Geroko

本来、レイランドL60は4000マイルの耐久力があるとされていましたが…まあその。あと、「エンジンは甲高い音を立て、白煙を濛々とあげ、秘匿性に問題がある」とされました。 その状況を動画でご覧下さい。 http://t.co/UW9wuPeGol

2013-03-10 20:47:54
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下呂子(げろこ) aka でゅらちん @Geroko

まあ、レイランドL60がこんなにダメな子になったのは、当初ディーゼル1本でいく予定だったのをSTANAG(NATO標準規格)制定の際に、マルチフューエルに対応しろやゴルァとされてしまい、そのためにただでさえ複雑なエンジン構造が更に複雑になった、という弁護を一応しておきます。

2013-03-10 20:53:22
下呂子(げろこ) aka でゅらちん @Geroko

そしてこっからがすげえんだw 「英国面」のつい忘れられがちな一面、「どんなダメな子でも最終的にものにしてしまう」が発動!政府がケツをひっぱたいたこともあり、Mk4Aで始まったレイランドL60のモデルナンバーは(リネーム挟みながら)Mk14までいき、信頼性をゲットしますw

2013-03-10 20:57:20
下呂子(げろこ) aka でゅらちん @Geroko

ここから、過去ツイートをコピペで持って来ます、手抜きします

2013-03-10 20:58:26
下呂子(げろこ) aka でゅらちん @Geroko

"チーフテンの駆動系のはなし(種本はOspreyのChieftain Main Battle Tank 1965-2003):就役初期はギアボックストラブルに悩まされた。1970年代初頭は、フィールドでのエンジン故障に悩まされた。(続"

2013-03-10 20:58:41
下呂子(げろこ) aka でゅらちん @Geroko

"改善プログラムにより信頼性は改善されたが、エンジンの耐用目標であった4000マイルを達成することは稀であった。レイランドL60エンジンは戦場で極めて目立つ排煙を吐く傾向にあった。2ストエンジンは遠く離れていても聞こえる特徴的な音を出し、更なる作戦の障害となった。"

2013-03-10 20:58:59
下呂子(げろこ) aka でゅらちん @Geroko

"1983年にアッパー・クランクシャフトの潤滑を改善する、エンジンの耐久性を飛躍的に高める技術が開発された。チャレンジャーの発表の頃には稼働率は80%。湾岸戦争の際には、派生型(REMEって書いてるから工兵車両か)の平均故障距離は3792kmであり、チャレンジャーの2倍であった"

2013-03-10 20:59:32