原発の水素爆発直後、マスメディアの記者たちが浜通りから撤退した事態について

2年前の3月12日、マスメディアの浜通り「住民置き去り」を、いわきで体験した一端を記録します。 そのプロローグです。 ためにするマスメディア批判でも、不信を煽るつもりもありません。むしろその逆です。信頼を取り戻すために、どうしたらよいのかを考えてほしい。そのために、この事態をメディア各社は、深刻に自己検証してほしい、と思っています。
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冬虫夏草@いわき市遠野 @iwakitono

東電福島第1原発1号機から白い煙が上がった。2年前の今日12日。今ごろの時間には、いわき市の災害対策本部にマスメディアの記者の姿はなかったはずだ。水素爆発直後から避難を始めた。12日深夜には、市内からほとんどいなくなり、地元・市内夕刊紙も15日付で新聞発行をやめた。〉記者撤退1

2013-03-12 20:34:50
冬虫夏草@いわき市遠野 @iwakitono

原発水素爆発後、記者が避難した12日、13日は、市内の混乱が極まった状況。被害把握もままならず、津波犠牲者はまだ多くが放置され、市民が行方不明者を懸命に捜していた時だ。原発事故が深刻化し、不安を膨らませながら、「念のため」という政府が示した同心円の避難指示域を見つつ。〉記者撤退2

2013-03-12 20:37:50
冬虫夏草@いわき市遠野 @iwakitono

浜通り全域から立ち去った記者たち。政府が住民への避難指示を10㌔から20㌔圏内に拡げたのは12日午後6時25分。原発からいわき市境までは約30㌔、マスメデァ(新聞社、テレビ局)の取材拠点のある市役所近辺までは約45㌔。各マスメディアが原発の事態を独自に判断した結果だ。〉記者撤退3

2013-03-12 20:39:17
冬虫夏草@いわき市遠野 @iwakitono

各メディアの判断を市民に知らせず、一方で、政府の「念のため」とする避難指示を各社の媒体で流し続けた。市災害対策本部は、市職員が懸命に対応し、情報も集中、発信されるカナメ。記者が消える異常は職員への動揺から市内全域への不安拡散に繋がる。わが身大事だけの無言の撤退だった。〉記者撤退4

2013-03-12 20:41:20
冬虫夏草@いわき市遠野 @iwakitono

2年前の今日、そんな事態が進んだ時だ。マスメディアの「住民置き去り」の始まり。14日午前3号機建屋爆発、午後2号機冷却機能喪失、15日朝4号機火災。いわき市民の避難ピークは15日→市アンケート結果(画像・市HPから)。〉記者撤退5 http://t.co/teM1C8Q1Zb

2013-03-12 20:54:10
拡大
冬虫夏草@いわき市遠野 @iwakitono

情報発信空白地の状態が続く一方で、ガソリン逼迫で避難の動きが鈍った。また、市内の放射性物質の空間線量は15日夜まで、計測値が公にされることもなかった。マスメディアのいわき常駐記者が戻ったのは、原発水素爆発からほぼ2週間後だ。この経過はなにを物語るのか。〉記者撤退6(ひとまず了)

2013-03-12 20:57:57
冬虫夏草@いわき市遠野 @iwakitono

原発の水素爆発直後、マスメディアの記者たちが浜通りから撤退した事態について http://t.co/F6K2cj2i8hに、いわき市民の市外避難が、ほとんど15日をピークとし、市外避難者が2カ月半のうち7割が戻ってきたことがうかがえる市調査結果の資料を追加しました。〉記者撤退7

2013-03-14 19:47:58

水素爆発後のいわき市民避難動向

いわき市が実施した「災害時の情報提供等に関するアンケート調査結果」(2012年7月実施11月公表)
http://www.city.iwaki.fukushima.jp/dbps_data/_material_/localhost/01_gyosei/0130/saigaianke.pdf

■避難した人の避難時期
⇒調査結果15ぺージ

■避難した人が市内に戻ってきた時期
⇒調査結果16ページ
※市外避難者のうち3月中に戻ってきた人44.5%、4月中が21.9%で、原発水素爆発から1カ月半で66.4%、5月中までの2カ月半で7割の市民が戻ってきたことがうかがえる。

冬虫夏草@いわき市遠野 @iwakitono

原発の水素爆発直後、マスメディアの記者たちが浜通りから撤退した事態について http://t.co/F6K2cj2i8hに、2カ月余りのち、いわき市議会臨時会で、市幹部が「記者撤退」のもようを答弁した議事録抜粋を追加しました。〉記者撤退8

2013-03-14 19:53:26

市議会議事録にみる「記者撤退」

いわき市議会平成23年5月臨時会(2011年5月20日)
危機管理監の答弁全文(議事録から)

◎行政経営部長[兼]危機管理監(大和田正人君) このたびの大震災直後の原発事故に伴いまして、いわき記者クラブ加盟各社がいわき支社及び支局から一時的に撤退したことによりまして、緊密な連絡が困難となりまして、テレビや新聞等を通じての迅速な情報の提供が不十分な状況となりました。
 このため、震災直後は迅速かつ正確に情報提供できるいわき市民コミュニティ放送FMいわきやラジオ福島等のラジオ局や、一定の媒体を介さず直接情報を発信できる市公式ホームページを活用し積極的な情報発信に努めてまいりました。この中で、市長メッセージ等につきましては、市ホームページに掲載したり、FMいわきで繰り返し放送してきたところでございます。
 さらには、テレビ局本社への直接ファックスにより、逐次情報を提供し、テロップ等でお知らせするとともに、地区対策本部などを経由し、各避難所や地区公民館などにも各種情報を直接掲示するなど柔軟な提供体制により実施してまいりました。
 その後、国等の報道により、本市の安全性が周知され、マスコミ各社も本市へ戻ってきたことから、3月28日から市長記者会見等を適時開催しているところであり、また、行政嘱託員の連絡体制も整ったことから、広報紙の発行を再開しております。今後とも、状況に応じた柔軟で機動的な情報発信に努めてまいりたいと考えております。

冬虫夏草@いわき市遠野 @iwakitono

原発事事故直後、いわき市内の実情が外に伝らなかったことに、市長もマスコミの「興味」「考え方」「判断」のせいで、市の情報発信力が弱かったからではないと答弁。5月臨時市議会を取材していたマスメディア各社の記者は、市の一方的な「批判」に、その後も反論や抗議することもかった。〉記者撤退9

2013-03-14 20:25:51
冬虫夏草@いわき市遠野 @iwakitono

原発水素爆発直後の「記者撤退」は福島県浜通り全域からだ。南相馬市の桜井市長は、3月24日、「南相馬市からのS0S」を自ら動画サイトで世界に発信。「現場を取材しなければ、市民の実情は伝わりません。ぜひとも現場に入って」。マスメディアへの苛立ちとともに市の窮状を訴えた。〉記者撤退10

2013-03-14 20:46:22

これからつぶやこうとしていること

過去のツイートから、私のおおまかな考え方を示しておきます。

冬虫夏草@いわき市遠野 @iwakitono

いわき経済同友会の勉強会の場で話す機会を得て、今晩、「原発災害とマスメディア」について、私の体験をもとに話してきました。1年8カ月前、東電福島原発の事故発生直後、福県内最大の都市・いわき市を含む「浜通り」からメディアのほとんどの取材拠点が機能を閉鎖、記者の姿が消えた問題です。

2012-11-22 22:07:29
冬虫夏草@いわき市遠野 @iwakitono

浜通りからの記者撤退は、自社の媒体(新聞・テレビなど)で政府情報、いわば大本営発表を流し、一方で別の自社判断で、住民にはそれを知らせず、大本営発表の避難指示地域の外にいる身内(記者)をいち早く避難させた、そのダブルスタンダード(二重基準)による「市民置き去り」の撤退だった。

2012-11-22 22:11:05
冬虫夏草@いわき市遠野 @iwakitono

記者撤退は「メディアの第2の敗北」。戦前、軍部に屈したメディアの敗北、その反省にたって、再出発したメディアが、原発の「安全神話」をつくる加担をしてきた、そのことを「第2の敗北」という人がいます。浜通りからの記者撤退は、同様の意味をもつ重大な事態だった、というのが私の見方です。

2012-11-22 22:15:55
冬虫夏草@いわき市遠野 @iwakitono

メディアは、今だに、浜通りからの記者撤退について、当時の事実を明らかにした自己検証をしていません。私の体験の限りで、この事実経過とその意味、なぜそうなったのか、という私の考えを話しました。

2012-11-22 22:23:44

マスメディアの「天につばする」姿を見た思い

冬虫夏草@いわき市遠野 @iwakitono

原発事故後ただちに浜通りからマスメディアが撤退したことを、私は「住民置き去り」と表現するが、同じ考えでいるのは、私だけではない。津波犠牲者の身元確認に献身的に取り組み、県外からの支援医師の避難所診療手配などに奔走した医師の1人は「国とメディアに見捨てられた」と言う。〉記者撤退11

2013-03-15 21:26:53
冬虫夏草@いわき市遠野 @iwakitono

その医師は、いわき市内の地震・津波被災の体験記録と、体験から得た災害医療の提案、原発災害で国とメディアに「見捨てられた」実態の記録を、支援にきてくれた全国各地の医師たちへ、感謝とともに、今も発信しつづけている。〉記者撤退12

2013-03-15 21:38:55
冬虫夏草@いわき市遠野 @iwakitono

浜通りからの記者撤退を「住民置き去り」との言葉を使うのは、マスメディア各社に習ったからだ。2年前の3月18日、各社は「医師の『患者置き去り』」を報じた。原発近くの病院に自衛隊が救助に行った際の事態を、福島県の発表のまま、裏付けもとらずにニースにした。誤報だった。〉記者撤退13

2013-03-15 21:58:09
冬虫夏草@いわき市遠野 @iwakitono

「医師の『患者置き去り』」報道は、福島県が事実関係の誤りを発表、ネット上から記事を削除したメディアもあったが、明確に訂正しない社もあった。この第一報を各社が報道した動機は、はっきりしている。医師としての職業的使命を問い、それに反した行為として非難したものだ。〉記者撤退13

2013-03-15 22:11:26
冬虫夏草@いわき市遠野 @iwakitono

医師の職業的倫理を問うたつもりで、「医師の『患者置き去り』」の誤報を発信したマスメディア各社の記者は、原発の水素爆発直後、浜通りから姿を消した。住民よりも早く避難した。翻ってみてほしい。自らの職業的使命を。誤報にマスメディアの「天につばする」姿を見る思いだった。〉記者撤退14

2013-03-15 22:29:42
冬虫夏草@いわき市遠野 @iwakitono

だから、マスメディアが、原発の水素爆発直後、ただちに浜通りから撤退した事態を「住民置き去り」との表現を使う。〉記者撤退15(ひとまず了)

2013-03-15 22:33:33