【3】おとでおしごと! ~音響監督のお仕事とは その3~

数多くのアニメで音響監督を担当しご活躍なさっている、えびなやすのり氏(@yasunorisan)による音響監督のお仕事解説。 第三回は音楽編。 BGMメニュー決定から作曲家との打ち合わせ、初回収録直前まで。 第一回:http://togetter.com/li/466607 続きを読む
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音楽メニュー作り

えびなやすのり @yasunoriebina

キャスティングがひと段落したら、あとは音楽メニュー作りになります。監督が作曲家を指名するとその作曲家にオファーを出して受けてもらえたらその作曲家になります。後は発売元が作品カラーを考えて適任作曲家を出してくる事もあります。

2013-03-11 21:57:07
えびなやすのり @yasunoriebina

作曲家も得意分野があると思います。僕の中ではキーボードで作曲する人とギターで作曲する人でも曲調の違いを感じます。クラッシックを学んだ人とバンドをやってた人との違いとでもいいましょうか。どちらもいいとこがあります。ようは作品からそれを見極めらことが出来るかです。

2013-03-11 22:02:43
えびなやすのり @yasunoriebina

音楽メニューを作成してるとゼロから物を生み出す人に敬意を払わずにはいられません。漫画の最初の一コマ。小説の最初の一行。苦労の程は全く違いますが、僕にとってのゼロからの作業が音楽メニュー出しです。

2013-03-11 22:13:15
えびなやすのり @yasunoriebina

ぼくの音楽メニューの中で頻繁に出てくるタイトルが夕焼け帰り道。この曲名イメージしやすいのかなぁ。BGMはあらゆる使用箇所を想定して、幅広くメニューを作ります。音楽収録も一度に録ることが多いので、そこで取りこぼしが無いようにメニューを作成します。

2013-03-11 22:27:05
えびなやすのり @yasunoriebina

音楽メニューを作る時、シナリオを読みながらここは音楽かな、と言う所をメモしていきます。前言ったようにドラムのテンポで曲をイメージしていきます。そこでこの曲は必要かなとか、この曲は一話で使うであろう曲で行けそうかな、等考えながらプランをかんがえます。

2013-03-11 22:34:13
pikachu555 @pikachu5551

@@yas2000vh 付け加えておきますが、僕たちはそんなに多くの作曲家さんたちを知っているわけではありません、ですのでレコード会社さんが探してきてくれた作曲家さんから選ぶことが多いんじゃないでしょうか?まあ監督によっても当然変わってくるとは思いますが・・・。

2013-03-11 22:37:44
えびなやすのり @yasunoriebina

@pikachu5551 多分、以前やった作曲家が良かったのでまたお願いしたいと言う事が多いかと思います。僕もそう言う繋がりで仕事を出来れば嬉しいです。

2013-03-11 22:43:09
えびなやすのり @yasunoriebina

シナリオを読みながら音楽メニューを作りますが、最終話のシナリオが出来上がってないことが多いです。つまりその段階である程度曲数を満たしてしまうと最終話に向けて急転直下なエピソードがきた時にそこに曲数を充てられなくなってしまうので少なめに用意してシナリオを待ちます。

2013-03-12 10:22:38
えびなやすのり @yasunoriebina

ただ、最終回の方向性がまるっきり真っ白と言うことは無く、打ち合わせ中で脚本化してる最中なので、監督から最終話の大筋の話を聞き、その話ように曲が必要かどうかを考えます。

2013-03-12 10:27:05
えびなやすのり @yasunoriebina

シナリオのメモ書きを一度紙に書き出して曲を纏めます。1話で使う予定の曲は3話でも使えそうだな。みたいに。その中でこの話数のこのシーンでしか使わないななんて曲も出てきます。まとめていくと1クール作品で60曲くらいになるでしょうか。もちろんこの段階ではどんな曲ができるかは分かりません

2013-03-13 01:18:15
えびなやすのり @yasunoriebina

それを絞り込んで40曲ぐらいまで纏めます。そこからどんな曲が欲しいか作曲家さんに分かりやすいようにタイトルをつけていきます。どんな単純でもいいです。「驚き」とか「悲しみ」なんてのもあります。

2013-03-13 01:21:47
えびなやすのり @yasunoriebina

僕のメニューの配分はメイン曲 2割、キャラクター曲3割 心情曲3割 情景曲1割 その話数にしか使わない曲(決め曲)1割な感じでしょうか。特に意識している訳ではないけど。

2013-03-13 01:27:32
えびなやすのり @yasunoriebina

メイン曲とはその作品の顔となる曲。この曲を聞けば、あ!あのアニメだ。と連想できる曲。ここのイメージをしっかり作れば、その作品のイメージがはっきりして他の曲がつくりやすくなります。そのメインメロをアレンジして楽しい曲、悲しい曲などができます。

2013-03-13 01:33:11
えびなやすのり @yasunoriebina

キャラクター曲とは文字通りそのキャラクターが登場するとかける曲。ゆるゆり2期では櫻子、向日葵関連の曲を多めに発注しました。心情曲は主に喜怒哀楽系の曲。作品によってその感情移入具合いは変わっていきます。情景は昼休みだったり、放課後だったり時間経過的な曲です。

2013-03-13 01:39:06
えびなやすのり @yasunoriebina

だからと言ってそういう使い方だけする訳ではありません。キャラクター曲を心情でも使いますし、心情曲を情景描写につけることもします。つまりこの段階ではあくまで作曲家と話し合う上でのたたき台にしか過ぎず、このメニューを作ることで始めて作曲家さんと話し合いのテーブルにつけるのです。

2013-03-13 01:44:38
えびなやすのり @yasunoriebina

曲の方向を分かってもらうために、参考曲は出します。でも参考曲を細かく出して指示はしません。それは作曲家さんのテリトリーだし、参考曲はあくまで参考なのでそれと全く違っても構わないと思ってます。それって役者がリハーサルビデオを貰って家でビデオチェックをしている状況と似ているかもです。

2013-03-13 01:51:47
えびなやすのり @yasunoriebina

リハーサルビデオをみている段階。つまり家で一人でチェックしている段階です。新人さんは相手の台詞を想定して細かくプランニングをし自分の芝居を決めて収録に臨みます。でも当日。相手は想像と違う芝居をしてくることもありますし自分が固めた芝居をディレクターにかえられることもあります。

2013-03-13 01:58:51
えびなやすのり @yasunoriebina

ディレクターに違う芝居を求められた時にどう変えられるか、その幅をリハーサルチェックの時に持つこと。そのためにはがっちりプランを決めていかない方が良いのです。 あれ?なんか役者向けのツィートになったぞ?この呟き役者志望の子も見てるのでちょっとサービスツィートでした。

2013-03-13 02:04:09
えびなやすのり @yasunoriebina

ようは音楽メニューもある程度の幅を持たせて、作成をするのです。作曲家はプロフェッショナルです。僕らの知識を遥かに上回る音楽知識で仕事をしてる人達です。その人たちのヒントになる情報を示すだけで、想像以上の曲を作ってきます。

2013-03-13 02:09:11
えびなやすのり @yasunoriebina

音楽メニューも作風によってがらっと変わります。ヨルムンガンドはバトル系の発注が多くなるけど、ゆるゆりにバトル曲は一曲も要りません。つまり作品毎に音楽メニューの構成を考えなければいけない。前やった作品のメニューが他の作品で使えることは無いのです。作品立ち上げの度にその苦労がきます。

2013-03-13 02:14:23
えびなやすのり @yasunoriebina

そもそもこの呟きを始めようと思ったのは音楽メニューって大変ってことが伝わればいいかなと思って始めたことです。とりあえず何となくでも伝われば良いなと思います。 次回は作曲家さんとの音楽打ち合わせ編に参ります。

2013-03-13 02:17:51
えびなやすのり @yasunoriebina

補足。リハーサルビデオのチェックでがっちり固めずにと言ったけど、読み込みを浅くという意味では無いからね。プロの人たちはそれを飛び越えた段階でビデオチェックをして、こちらの要望に答えてくれます。それがプロの現場です。

2013-03-14 01:00:26