SNSの普及に伴うライブハウス文化の変容について①
よく、いわゆる「フェス文化」の発展がライブハウスやフェスでのマナー低下と、必要以上の規制に繋がったって考察してる人たちがいる。これは同意なんだけど、それに加えてmixl以降のSNSの発展が大きな影響を及ぼしてると考えてるんだよな。
2013-03-28 22:21:21端的にいえば、SNSの発展によって、ダイブやモッシュ、その他諸々の行為が、自分が本能的にやる、という意味合いよりも、やったことを他人に誇る、意味合いが強くなったことに由来すると考えてる。
2013-03-28 22:22:29(閑話休題) それにしても、俺が高校生の頃にはらどちらかといえば、特定のバンドやカルチャーのファンという意味合いでしか捉えられてなかったディッキーズのワークパンツスタイルが、いまや「ディッキ族」という名で、迷惑な奴らの意味合いで記号化されていることには驚いた。
2013-03-28 22:24:55高1(00年)からライブハウスに通い始めた。15歳だから客の中ではほぼ最年少。メロコアのライブに行くと、まわりは大学生以上の大人(当時の俺にはそう見えた)だらけ。ライブは毎回すごいかっこいいわけだけど、曲に合わせて人の上を流れるダイバーの光景が美しくて、カッコ良くて惹かれてた。
2013-03-28 22:32:32でも、だいぶって怖かった。やり方もわからなかったし、なんとなくあれは、ライブハウスに通い詰めて、ある程度の経験値積んだ人にしか許されない、ある意味で「大人のたしなみ」(笑)みたいな感じがしてたから。俺らひよっこはまだデビューは早い、そんな感じがしてハードルが高かった。
2013-03-28 22:36:11そんなこんなで、後ろから見る期間があり、通い詰める中で少しずつ前に行くようになり、まわりのダイバーを目で見て、発射台になったり、ダイバーを前に流したりする中で体で覚えていった。飛ぶ時は前の人の肩を叩くんだな、足はジタバタさせずに上げるんだな、みたいな感じ。
2013-03-28 22:39:15その頃ってSNSなんてまだなかったのよ。だから、まわりはほとんど他人だったから、直接コミュニケーション取るしかなかったし、事前に情報交換しあってる特定のコミュニティとかなかった。そこにあるのは、同じ時間、同じハコに、同じバンドを見にきてるという「全体としての」連帯感。
2013-03-28 22:40:58だから、一部のメンバーで盛り上がるとか、いまほどなかったと思うよ。今はライブ中に仲間同士で固まって盛り上がってる人たちよく見かけるけど、あの頃ってサークルもモッシュも、みんな同じ連帯感の元に行われてたんじゃないかな。横にいる人よく知らない、的な、ね。
2013-03-28 22:42:43横道それた。だから、例えばダイブ一つとってもなかなか簡単にやれるものじゃなかったし、まわりから直接的・関節的に学びながら段階踏んで実現できるものだったから、初めて飛ぶ人でもそんなに危なくなかったんだよね。人に怪我させないという意味での最低限のクオリティは保たれた状態で楽しんでた。
2013-03-28 22:47:41でもね、04年前後くらいを境に、ハコでもフェスでも危ないダイバー増えたのよ。本当にびっくりするくらい。なんでだろうって考えてる時に当時やってない人探す方が難しいくらい浸透してたmixiのコミュニティで、これまで見かけなかったある特定の書き込みを大量に見るようになった。
2013-03-28 22:51:09(閑話休題その2) ちなみに、俺はライブにルールとかマナーとかって記号が入り込んでくること自体違和感なんだけどね。だって、ロックやパンクっていう、反体制をバックボーンにした音楽の発露の場なんだから。そこにあるのは仲間を想いやる気持ち、それだけがあれば十分。
2013-03-28 23:10:14その時に思ったよ。ダイブっていつから人と競う「パフォーマンス」になったんだろうって。ダイブってあくまで、その場・その瞬間に魅せられて「気がついたら飛んでた」レベルの無意識的なもので、意識的に、しかも数えるものじゃないでしょ、と。15からハコに行き続けてる俺の中にはない文脈だった。
2013-03-28 23:17:45その書き込みをしてた人がどれくらい上手く、綺麗に飛んでる人かどうかは知らない。ただ、あの手の書き込みが増え、それに対するやり取りが続くことで、ダイブに対するハードルは確実に下がった。大人のたしなみから、誰でもできるライトなツール・パフォーマンスになった。
2013-03-28 23:22:04SNSは情報も、体験も文字として共有できる。でも、その場の雰囲気や温度感、汗の匂いや痛みといったリアルは「体感」できない。回数や「最高」というなにやら楽しさのみが伝わる記号が流布されて、そこに体感というリアルがないまま、ハードルだけが下がり続ける。
2013-03-28 23:27:36少しずつ高いハードルを超えて行けば、怖い想いもするし、下手な人の被害を受けて嫌な顔をする人の姿を見た上での行為ができる。そうすれば、なにがいけないか考えて、自分なりの「他人の存在を踏まえた」ダイブが自然とできるようになる。想像力が働くし、それゆえにいい意味で慎重(臆病)になる。
2013-03-28 23:30:27でも、SNSの体感を伴わないライトな体験共有は、容易に想像できる材料を与えることで、本来必要な想像する力と過程を奪ってしまったように、当時を振り返って今なら思う。
2013-03-28 23:31:49んで、この辺りから確実に「下手な」ダイバーが増えた。ルールやマナーじゃないよ。単に、「自分のために」パフォーマンスの華麗さと回数を競う人たちが増えてきたから。
2013-03-28 23:32:45(閑話休題その3) 今回はいわゆる「フェス文化」が与えた影響には触れてません。この話題については俺よりももっとロジカルで背景を知っている方が大勢かいているので。あと、今回はSNSがもたらしたネガティブな影響のみにフォーカスしてます。ポジティブな影響についてはまたの機会に。
2013-03-28 23:49:01そして始まったハイタッチしませんか?、お揃いの自作Tシャツつくりませんか?リアルなコミュニケーションからスタートする関係でなく、本当の意味でのお互いを知らないWeb上のアンリアルなコミュニケーションからスタートするから、つながってるという実感を持つための共通のツールが必要になる。
2013-03-29 00:17:49だから、お揃いのTシャツや同じ格好に身をまとい、周囲ではなく、仲間内で盛り上がるためのサークルを組む。自分たち以外は気にしない。というか、周りも自分達と同じ考えに違いないだろう、だって同じバンドが好きなんだから。となっちゃう。
2013-03-29 00:20:17しかも幸か不幸か、SNS、特にTwitterはその意識を加速させる。自分の好きな人しかフォローしないという前提があるのに、大量に流れて行く言葉の河を見ていると、その前提をふと忘れ、そこに流れる自分と同じ考えがマジョリティだと思い込んでしまう。
2013-03-29 00:28:55