福島の県民健康管理調査が抱える問題点 木野龍逸さん解説(2013.3.30作成)

40
木野龍逸 (Ryuichi KINO) @kinoryuichi

調査結果の公表、2回目。けれども3月10日に公表された速報と大差ない内容。これだけで何かをいうのは困難。→環境省 報道発表資料-福島県外3県における甲状腺有所見率調査結果について(お知らせ) http://t.co/Rvptf86B5h

2013-03-30 05:08:31
木野龍逸 (Ryuichi KINO) @kinoryuichi

続き2)環境省の調査はリリース冒頭にあるように、福島県の県民健康管理調査の結果で嚢胞等の所見が多数認められたことにより「かえって住民の方の不安を招いていると指摘されている」ことから「福島県外の3県の子どもを対象に、県民健康管理調査と同様の超音波検査(注2)を実施し−−−

2013-03-30 05:10:48
木野龍逸 (Ryuichi KINO) @kinoryuichi

続き3)その結果の妥当性について、情報を提供することとした」もの。つまり他地域の調査によって福島県の調査結果が特異なものかどうかが判断でき、特別な状況ではないことがわかれば不安の解消になり、結果的に福島県の調査の妥当性の検証にもなる、ということ。ただこれにいは疑問もある。

2013-03-30 05:16:53
木野龍逸 (Ryuichi KINO) @kinoryuichi

続き4)疑問のひとつは、結果的にとはいえ、福島の調査の妥当性の評価になるという点。今回の環境省の調査は、NPO法人日本乳腺甲状腺超音波医学会に委託して実施している。このNPOは、福島の調査に直接関わっている福島県立医大の鈴木眞一氏が理事を務めている。さらに−−−

2013-03-30 05:24:39
木野龍逸 (Ryuichi KINO) @kinoryuichi

続き5)調査の実施にあたっては、調査委員会を設置することになっていたのだが(環境省の仕様)、同医学会が委員に任命した9人のうち、鈴木氏のほか、山下俊一氏、高村昇氏、大津留晶氏の計4人が福島の県民健康管理調査の関係者だ。検証の対象者が検証の実施者では、公正な検証にならない。

2013-03-30 05:29:18
木野龍逸 (Ryuichi KINO) @kinoryuichi

続き6)この点に関して環境省の桐生参事官は、県民健康管理調査と判定基準を揃えるためには関係者が必要だったとしている。けれども、もしそうだとしても9人のうち4人は多いし、鈴木氏以外は臨床医ではないため判断基準に直接関与してないので、委員になる必要性が高いのか疑問がある。

2013-03-30 05:32:23
木野龍逸 (Ryuichi KINO) @kinoryuichi

続き7)さらにいえば、福島の県民健康管理調査の判断基準、検査方法が妥当かどうかという疑問もある。今日の発表時に桐生氏は、福島の甲状腺検査はひとりあたり2〜3分で実施していると述べた。自覚症状の有無で検査の詳細は変わるだろうが、一般的な甲状腺検査は最低5分〜10分くらいかかる。

2013-03-30 05:36:17
木野龍逸 (Ryuichi KINO) @kinoryuichi

続き8)福島ではあくまでも「スクリーニング」といっているので、検査ではないのかもしれないが、環境省の調査では検査時間も福島の実態に揃えて2〜3分にしている。しかしロイターが伝えるように検査ミスが実際に起こっていることを考えると、現在の手法の妥当性を疑わざるをえない。

2013-03-30 05:40:45
木野龍逸 (Ryuichi KINO) @kinoryuichi

続き9)ロイターが報じたのは、県民健康管理調査の結果で20mm以下の嚢胞だった子どもが、町医者で見てもらったら7mmのしこりと診断。母親が不安になり県に情報開示請求をし、所見を取り寄せると、嚢胞としこりの位置が左右逆だったというもの。 http://t.co/8QsUaTmdrA

2013-03-30 05:44:43
木野龍逸 (Ryuichi KINO) @kinoryuichi

続き10)こうしたことを考えると、まずは福島県の検査方法の妥当性から考えた方がいいのではないかとも思えてくる。もうひとつの疑問は、福島ではすでに3人の甲状腺癌が確定していることを考えると、環境省の調査が嚢胞や結節のサイズを考慮しただけで終わっているのは中途半端では?というもの。

2013-03-30 05:49:02
木野龍逸 (Ryuichi KINO) @kinoryuichi

続き11)この点について環境省では、この調査を計画した昨年夏の段階では、まだ癌が出ておらず、嚢胞や結節の大きさに対する不安が増大していた時期だったので、このような内容になったと説明している。また、仮に癌が出ていたとしても−−−

2013-03-30 05:51:09
木野龍逸 (Ryuichi KINO) @kinoryuichi

続き12)無症状の子どもの検査をすることで万が一、癌が見つかった場合、当人に大きな不安を与えることになるため、倫理的にどうなのかという問題があるとのこと。甲状腺癌は、無症状のまま死ぬまで気づかないケースもあるため、見つければいいという一般論が当てはまらないとされる。

2013-03-30 05:53:37
木野龍逸 (Ryuichi KINO) @kinoryuichi

続き13)この点は確かに難しいのかもしれない。とすると、厳密には対照調査をすることも難しいということになる。この結論を出すのは容易ではなさそうだ。ただこの場合でも、環境省の調査が福島の不安を解消することにつながるのかどうかは別問題。検証の対象者が検証側に入り、さらにいえば−−−

2013-03-30 05:57:37
木野龍逸 (Ryuichi KINO) @kinoryuichi

続き14)その対象者達のこれまでの振る舞いが福島県民に強い不信感を植え付けており、そうした人たちが作った検査方法に則って実施した環境省の調査が、はたして福島の人たちの不安を解消することにつながるのかどうか。調査の設計そのものに、当初の目標到達を危うくする要素が多いように感じる。

2013-03-30 06:01:43
木野龍逸 (Ryuichi KINO) @kinoryuichi

続き15)というのは、環境省調査の枠組みに関する疑問。内容に関しては、前述したように速報と大差ないものでしかないので、あまり大きな意味をもたせるのはどうかと思う。ただ、年齢構成を見ると、環境省調査では小学校高学年以上が6〜7割を占めている。これは福島の年齢構成と大きく違う。

2013-03-30 06:06:29
木野龍逸 (Ryuichi KINO) @kinoryuichi

続き16)福島の平成23年度調査の場合、3万8千人のうち過半数の2万人が0〜10歳。嚢胞や結節は年齢が上がるほど増える傾向があるため、年齢層が高い環境省の調査が福島より嚢胞などの大きさが大きい人の割合が多いのは不思議ではないのかもしれない。そういう見方もできるという一例ではある。

2013-03-30 06:12:11
木野龍逸 (Ryuichi KINO) @kinoryuichi

続き17)結論をいえば、福島のスクリーニング判定に合わせて嚢胞や結節の大きさだけを見ていくのでは、県民健康管理調査の妥当性の評価は難しいし、福島県の状況に放射線が影響しているのかどうかもわからないということではないだろうか。環境省の狙った不安の解消は、難しいかもしれない。

2013-03-30 06:15:53
木野龍逸 (Ryuichi KINO) @kinoryuichi

続き18)少なくとも、この調査発表をもって安心、安全をいうのは早計という気がする。あとは最終報告書に何が書かれているかだけども、これも福島の関係者が多数含まれる委員会の結論なので、なんともではある。現時点では発表時期は未定でHPに出るかどうかも未定というが、是非公開してほしい。

2013-03-30 06:19:24
木野龍逸 (Ryuichi KINO) @kinoryuichi

開きが出た原因のひとつは検査担当者の判定基準の違いではという報道。他には、前述した検査時間が短い問題があるのではないか。2〜3分の短時間検査では検査者の技量の影響度が大きい。→子どもの甲状腺検査、結果に地域差 福島と比較の3市 http://t.co/POuwtCd3wp

2013-03-30 06:29:49