町山さんと深町さんによる『L.A. ギャングストーリー』補足説明

映画評論家の町山智浩氏とノワール小説家の深町秋生氏が、現在公開中の映画『L.A. ギャングストーリー』の批判と共に、当時のロサンジェルスの状況を解説しています。傑作映画『L.A. コンフィデンシャル』の理解に役立つと思ってまとめました。俺は『L.A. ギャングストーリー』楽しめましたが、お二人の意見は大変参考になりました。
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町山智浩 @TomoMachi

つまんなかった RT @ironyamada: @TomoMachi L.Aギャングストーリーは?

2013-04-30 14:30:32
町山智浩 @TomoMachi

すべてが浅いです RT @MondMasa: 面白い要素しかないのにつまらないなんてあり得るんですか!?“@TomoMachi: つまんなかった RT @ironyamada: @TomoMachi L.Aギャングストーリーは?”

2013-04-30 15:29:46
町山智浩 @TomoMachi

ジョシュ・ブローリンはどんな映画でもいつもいいです。 RT @wakaki_38: @TomoMachi L.Aギャングストーリーはショーン・ペンやジョシュ・ブローリンの演技も良くなかったんですか?

2013-04-30 15:40:41
町山智浩 @TomoMachi

もうちょっと詳しく説明すると、この監督は「ゾンビランド」でゾンビ映画を軽く楽しいポップなコメディにしましたが、それと同じことを今回は「LAコンフィデンシャル」や「チャイナタウン」などの(続く) RT @ironyamada: @TomoMachi L.Aギャングストーリーは?

2013-05-02 09:39:19
町山智浩 @TomoMachi

(続き)いわゆるネオノワール(40年代のフィルムノワールを70年以降にカラー映画で再現したもの)に対してやったんですね。つまり暗く性的で暴力的で精神病的なノワールの世界を軽くポップでスタイリッシュに映像化してみた。とはいうもののコメディにはできなかったので(続く)

2013-05-02 09:41:41
町山智浩 @TomoMachi

(続き)方法論自体が空回りしてしまった。結局、形式だけノワールだが、ノワールのテーマである欲望や暴力への監督の気持ちがまるで存在しない空っぽな映画になりました。「LAコンフィデンシャル」や「チャイナタウン」と見比べると僕の言っていることが理解できると思いますよ。

2013-05-02 09:45:10
町山智浩 @TomoMachi

(続き)パロディでありながらシリアスでテーマも内面化している、というやり方で成功している稀な例にはタランティーノがいますが、あれは対象にしているジャンルへの凄まじい愛情があればこそですね。(終わり)

2013-05-02 09:51:33
町山智浩 @TomoMachi

ノワールを全然観たことのない人でも「ニセモノっぽい」感じはどうしても感じてしまうと思います。 RT @mezashi_yuji: @TomoMachi L.Aギャングストーリーはノワールというカテゴリーにこだわらなければ楽しめますか?

2013-05-02 09:53:57
町山智浩 @TomoMachi

(追補)あとトッド・ヘインズの『エデンより彼方へ』も、ダグラス・サークのメロドラマの徹底したパロディでありながら(原典を観てると笑える)同時にシリアスで深いテーマを持った感動作でした。

2013-05-02 09:58:55
町山智浩 @TomoMachi

「ゾンビランド」は孤独だった少年が、人類が全部ゾンビになった世界で、本当の家族を得るという逆説になってて、そこにちゃんと本気の感動があったんですがね。 RT @mezashi_yuji: @TomoMachi ナルホド…ゾンビランドはゾ

2013-05-02 10:12:29
町山智浩 @TomoMachi

作り手自身が無理やりでも物語の中に自分の個人的テーマを見つけて「内面化」しないと形だけの映画になってしまうというティム・バートンの「猿の惑星」やウォシャウスキーの「スピードレーサー」的な例だと思いました。 RT @mezashi_yuji: LAギャングストーリーは

2013-05-02 10:17:49
町山智浩 @TomoMachi

ペンが演じるミッキー・コーエンは実際はそれほどの極悪人ではありませんでした。本当に悪かったのは「LAギャングストーリー」では正義の警官として描かれているニック・ノルティ演じるLA市警のパーカーでした。RT @simaki0a0p: ショーン・ペンの悪役っぷり

2013-05-02 11:22:01
町山智浩 @TomoMachi

(続き)パーカーがコーエンを潰そうとしたのはユダヤ人差別が理由だと言われています。パーカーがLA市警に君臨して、黒人やメキシコ人に対する差別的弾圧を続けたため65年のワッツ人種暴動の原因が起こったと言われています。

2013-05-02 11:23:31
町山智浩 @TomoMachi

この監督は首輪爆弾事件も映画化していますが、非常に複雑な病理に満ちたその事件を軽いコメディにしてしまっているので、そのへんに限界がある人だと思います。 RT @mezashi_yuji:

2013-05-02 11:26:55
町山智浩 @TomoMachi

(続き)このパーカーというLA市警のボスは「LAコンフィデンシャル」などエルロイの作品にも登場しますが、事実通りのひどいレイシストとして描かれています。ミッキー・コーエンは脱税で捕まりましたが、1976年まで普通に生きてました。@simaki0a0p

2013-05-02 11:34:50
町山智浩 @TomoMachi

『LAギャングストーリー』のもう一つの問題は当時のLA市警のボス、W.H.パーカーを英雄として描いていることです。彼の下で市警は腐敗しきって、黒人やメキシコ系に対する冤罪や暴行、弾圧を続けていた事実は『LAコンフィデンシャル』等で描かれています

2013-05-02 11:51:39
町山智浩 @TomoMachi

『LAコンフィデンシャル』がビートルズなら、『LAギャングストーリー』はモンキーズです。

2013-05-03 11:22:35
深町秋生・「探偵は田園をゆく」最新刊 @ash0966

「LAギャングストーリー」残念ながらおもしろくなかった。実話がベースといいながら、歴史もかなりぞんざい。娯楽だからそこは置いておくとしても、あまりにキャラが記号的で書き割り。物語は薄っぺらい勧善懲悪。「今時このストーリーはねえだろ」と頭を抱えた。俳優陣の演技はよかったけれど……。

2013-05-03 12:18:41
深町秋生・「探偵は田園をゆく」最新刊 @ash0966

だいたいあのころのLAPDなんて、ミッキー・コーエンらギャングを飼いならして、ズートスーツ着たメキシコ人とか、ストライキやってる共産主義者や労働者とか、黒人とか、そんなのばっかり狙い打ちでぶっ叩いていたのに、「太陽に吼えろ」みたいに単純化された物語になっててがっくりきてしまった。

2013-05-03 12:31:16
深町秋生・「探偵は田園をゆく」最新刊 @ash0966

フィクションだから事実は置いておくとしても、けっきょく主人公たちが最初から最後まで何者なのか、よくわからねえというのが致命的な欠陥であった。おしい作品でありました。LAギャングストーリー。

2013-05-03 12:34:18
深町秋生・「探偵は田園をゆく」最新刊 @ash0966

LAポリ公犯罪映画となれば、ショーン・ペンが出てる「カラーズ」、LAギャングものなら「ブラッド・イン ブラッド・アウト」「アメリカン・ミー」など、ロスを舞台にした名作が、あまりにもいっぱいありすぎて、今更つけいる隙がないという感じもある。

2013-05-04 00:18:41