村上隆氏の『めめめのくらげ』に関する連ツイ(5/4 早朝分)

takashi murakami @takashipom

おはようございます。村上隆です。僕は今回「めめめのくらげ」という作品を造り、映画監督という職種にも進出いたしました。まぁ、全くの素人、というわけでもないのですが、玄人とは言えません。でも映画、アニメへの想いは「宇宙戦艦ヤマト」への傾倒から始まって、宮崎駿の「未来少年コナン」

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そしてトドメは市川崑監修、りんたろう監督の劇場版「銀河鉄道９９９」の鑑賞においてアニメをぼんやり見る姿勢から、製作者への眼差しを向けてゆく姿勢に代わり、そこで爆発アクションの巨匠、故、金田伊功氏のメーテル星崩壊シーンに出会い、人生の指針を決めました。

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アニメ絵を描き始めたのですが、どうしても描けず、仕方なく絵の勉強をしなくては、と、当時の通学路であった西武池袋線の練馬に貼ってあった、代々木ゼミナール美術科の門戸をくぐりました。

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結局僕はドン臭く、それから３年、２年間浪人して東京芸大の日本画科に入りました。さぁ、今からバリバリアニメ、映像制作のトレーニングをするぞ！そして入学してスグに芸大のアニメ研究会に入部しました。

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芸大のアニ研の当時の部長は後に「ニャッキ」の製作者として著名となる伊藤有壱君 http://t.co/yPYr3s2NwS で、

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伊藤有壱君の前の部長は、川崎博嗣さん、通称つぐさん http://t.co/7fKeoKC4sk 天空の城ラピュタの＜ドーラ一家との線路上での争いのシーン＞の原画をやって名を馳せ「劇場版 NARUTO -ナルト- 大激突!幻の地底遺跡だってばよ」で監督さんにもなっている方でした。

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アニメ研究会在籍二年目にして部長を移譲され、そこで学園祭時に宮崎駿監督のトークショウを企画開催もしました。

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「よぉ〜しやるぞぉ〜！」と意気揚々とシコシコZC1000を撮影台に乗せ、カチカチシャッターを押し、スプライシングテープで現像した8mフィルムを編集して、学園祭で上映会をやってました。しかし、ココでいくつかのショッキングな事に出会います。大阪の素人集団ゼネラルプロダクツが造った

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「DAICONⅣ OPアニメ」というのがリリースされるのです。聞けば僕と年端も変わらない集団。出だしのガレージキットを販売し、その販売益でフィルムを造り、大阪芸大を根城に製作を進める集団の作ったアニメ「DAICONⅣ OPアニメ」は頭をガンと殴られたとはこのことだ、というレベルの

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ショックを僕に与えました。調べて見れば、彼らは他にも「帰ってきたウルトラマン」「愛国戦隊大日本」そして「DAICON Ⅲ」ではファンロードだったか、OUTだったか、アニメックだったか、とにかくという専門誌で特集が組まれてる程の集団と知りました。そうです、後にガイナックスを

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結成するメンツ、岡田斗司夫、庵野秀明、山賀博之、赤井孝美らの作品群でした。同じ年のこういう連中がガンガン作品を造っている。その事実にショックを受け、アニメ作家になる心が折れてしまったのです。

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それでもコソコソ８ｍmフィルムのアニメは作り続け、学園祭で上映していましたが、なんの評判にもならず、そうこうしているうちに、ガイナックスのメンツはあっというまに劇場版アニメ映画「王立宇宙軍」を創りあげてしまったのです。もう太刀打ち出来ません。

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今、振り返ったら、そういう集団の門戸を叩き、自分も仲間に入れてもらえば良いのに、と思いますが、当時はなぜかそういうメンタルではなく、ひたすら「負けた」と思っていました。ある意味ガイナックスの結束力を前に、取り付く島がないと思ったんだと思います。

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今、連ツイしているのは、僕がどういった経緯で「めめめのくらげ」を造るまでに至ったかを駆け足、およびかなり端折りつつ、書いております。

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ガイナックスの登場時頃から、アニメ制作の製作者側に若い血が一気に流入し、活気づきました。宮崎駿さんのアニメにも庵野秀明さん（ナウシカの巨神兵のシーン）や、前田真宏さん（ラピュタのラスト崩壊シーン）らが参加し、かつ、マクロス等の特異点的な作品もガイナックスのメンツが参加して

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もうアニメオタク第一世代の目には、彼らスターたちがまぶしすぎる仕事を華麗にこなし続けることを、ただ崇めねばならない姿勢でしか、参加できないようになってしまっていました。

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僕はもう完全にアニメ作家への道を断念し、鑑賞者でしか参加できないことを憂いながら、自分の人生を軌道修正してしまいました。大竹伸朗さんの個展に出会い、どうしたわけか、現代美術の道を選びはじめたのです。まぁ、ざっくりと言って、アニメ絵が描けなくとも絵を生業として生きていけそうだし、

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アニメから最も遠いんで、自分のコンプレックスに抵触しなくてもよさそうな現代美術を選んだ、というのも実は心の奥にしまいこんだ本当の理由であったりもします。で、現代美術を勉強するならNYだよ、ということで、あれこれあって、NYに留学しました。

takashi murakami @takashipom

そこでこれまた、嫌ぁ〜な経験をしてしまうのです。現代美術作家として日本ではデヴュー直後からトントン拍子で名を売り始め、展覧会も決まって行き、作品もポツポツ売れ、まぁ、いい気になってました。でも、そういう鼻をへし折られるんだろうなぁ〜本場のNYでは、と心して留学したわけです。

takashi murakami @takashipom

確かにNYでは人生の鼻をへし折られました。英語ができなかったので、英語の学校に行き、当時既に３１歳だったのですが、語学学校では、１４歳ぐらいの移民の子供たちと同じクラスになって、つまり英語が全く話せないレベルのクラスに入れられて、妙ちきりんなゲームをさせられて、いつも僕の所で

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間違えて、ひっかかって「Hey ! takashi!」と子供たちに笑われる、という風景でした。僕の他にこういう恥ずかしい体験をしていたのは４０歳過ぎの韓国のサラリーマン風情のおっちゃんでした。話せない。だから何も出来ない。

takashi murakami @takashipom

で、藁をもすがる思いで、NYに住んでる日本人のコミュのパーティーに参加していたりもしましたが、そこで日本語でグリーンカードの相談しても無意味だと思って、参加もしなくなり、トライベッカにあった、クロックタワーというビルの最上階にあった、スタジオに引きこもってしまいました。

takashi murakami @takashipom

毎日毎日、スタジオを真っ白に塗り、いま考えるとちょっとしたノイローゼですよね。で、先に書いた「嫌ぁ〜な経験をしてしまう」に出会うんですが、それは５２丁目の紀伊国屋でです。当時は日本の雑誌はだいたい１ヶ月遅れでアメリカに入ってきていて、

takashi murakami @takashipom

なんの気無しにアニメ雑誌「Newtype」を開くと、エヴァンゲリオンの告知が掲載されてました。貞本義行さんの綾波レイのスケッチです。この絵を観て、僕は逃げてきたその根源に本質的に出会ってしまったのです。僕はアニメが好きだ。その事実から逃げられない。こうして嫌な思いまでして

takashi murakami @takashipom

子供に混じって英語を勉強し、アニメコンプレックスから離れようとしているのに、なんで追っかけてくる！、、、、否、僕が結局そこに帰ってきてしまったのです。ノイローゼ気味で行き先も宛がなくなり、毎日スタジオを真っ白に塗り続けた時に観た、貞本さんの綾波レイは啓示そのものでした。