憲法改正関連の備忘録

自分用メモです
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シータ @Perfect_Insider

最近「日本国憲法の改正要件は他国と比べても別に厳しくない」的なtweetをしばしば見かけるが、そういう人はこういうのを読んで頭を冷やしてほしいhttp://t.co/7h3jnatqrR

2013-05-02 00:28:48
シータ @Perfect_Insider

憲法学の主流説は「憲法の改正規定を改正することは、憲法改正の限界にあたる」というものであるとしている文書を見つけたが、もしこれが本当なら自分の中での憲法学という学問そのものの信頼性が大分低下するなこれは。

2013-05-02 00:46:48
シータ @Perfect_Insider

日本の憲法学に対する不満の一つに、日本の憲法学が「日本の憲法」に縛られ過ぎており、(シュミットを援用する場合を除き)「憲法一般に対する思想」があまり蓄積されず、議論されるにしても「日本の憲法をどう正統づけるか」という文脈になっていた、という点が挙げられる。最近は若干の改善はあるが

2013-05-02 22:23:16
シータ @Perfect_Insider

日本の憲法学は「条文の文面にことさらに依存した憲法解釈」をする傾向がある。それが可能なのは憲法がずっと改正されなかったという偶然に依存しているわけだが、それに胡坐をかいて「憲法の背景にある憲法一般に対する思想」を深化させてこなかったのは憲法学の怠慢だったと考えている。

2013-05-02 22:29:13
シータ @Perfect_Insider

「公共の福祉」の意味は、字面をどれだけ見ても分かるはずがなく、「人権と対立しうるものとの調停」という思想的な部分で意味が決まるもの。憲法のうち人権の部分は、本当ならば憲法典の文面が動いたところでさして影響は受けないのであり、影響を受けるというのは憲法解釈の手法の誤りを示唆している

2013-05-02 22:36:28
シータ @Perfect_Insider

憲法改正の手続の議論は党派的なものが多いけど、真面目にいろんな国の制度を見て一番面白いと思ったのはイタリアの「第二院での決議までに一定期間あけさせる(そこで国民的議論をさせる)」という制度。この制度は二院制のメリットもよく生かしているし、日本も取り入れるべきかと思う。

2013-05-02 22:48:56
シータ @Perfect_Insider

【憲法改正手続関連】「過半数の発議は立憲主義の否定だ」→フランス・イタリアの改憲規定を見てください/「三分の二発議+国民投票の国もある」→その国の議会が一院制か、選挙が小選挙区制か、を調べてください/「最低投票率がないのは問題」→住民投票の最低投票率の意味をもう一度考えてください

2013-05-03 22:35:32
シータ @Perfect_Insider

【説明①】フランスは「議会過半数+国民投票」か「議会五分の三」のどちらかで改憲可能。イタリアは審議に時間を置く規定などあってなかなか面白いが、細目を省くと「議会過半数+国民投票」か「議会三分の二」のどちらかでやはり改憲可能。

2013-05-03 22:41:54
シータ @Perfect_Insider

【説明②】とある文書には、「三分の二+国民投票」の国としてルーマニア、韓国、アルバニアが、それより厳しい国としてフィリピンが挙げられていたが、これらは全部一院制(or元老院)であり、アルバニアを除き小選挙区制で大半の議席が決まる

2013-05-03 22:44:24
シータ @Perfect_Insider

小選挙区は、第一党が国民の支持の比率よりも圧倒的に大きく議席を獲得することで知られる制度。ちなみに「でもアルバニアがある」とは確かに言えるけど、あそこの国の憲法って、かつて「憲法で宗教が禁止された」ことで有名なあれですよね。そういう憲法を持ちあげてどうするのかと。

2013-05-03 22:45:48
シータ @Perfect_Insider

【説明③】住民投票における「最低投票率の規定」は、住民の総数で見て一定割合の賛成を要件とするためにあるのではなく、「住民投票にかけること自体の支持」を測るためにあるもの。住民投票は「本来は議会や首長が決めれるものを、一定量の請求の下で住民の決定に移させる」ためのものなので(続く)

2013-05-03 22:48:56
シータ @Perfect_Insider

(承前)「争点となっている事案の是非」とは別に「そもそも住民に決定権限を移行させることの是非」もまた問われる必要があり、後者を測っているのが最低投票率。一方、憲法改正の国民投票は最初から国民が決定権限を持っているので、この問題は発生しない。

2013-05-03 22:50:47
シータ @Perfect_Insider

大日本帝国憲法が上手くいかなくなったのは、人権に対する法律の留保とかそういう話じゃなくて、首相が「同輩中の首席」でしかなく閣内不一致によって内閣が機能不全に陥ったことや、統帥権の独立による軍事の暴走など「統治機構」の側の欠陥であったことはきちんと認識しておいた方がいいと思う

2013-05-03 23:08:47
シータ @Perfect_Insider

憲法における人権規定というのは、どう読んでも具体的な中身はよく分からないので、裏を返せば文面はそこまで重要でない(美濃部達吉が大日本帝国憲法のままでも大丈夫と戦後言ったのは有名)。一方統治機構は純粋に手続なので、こちらは文面に穴があると容易に崩れ落ちる。

2013-05-03 23:12:36
シータ @Perfect_Insider

だから「憲法典」の問題(文面の改正)としてきちんと考えるべきは人権規定よりもむしろ統治機構論の方のはず。でも世間の議論も憲法学の関心も大体人権の方に向いてしまう。これはいろいろと問題だと思う。

2013-05-03 23:15:15
シータ @Perfect_Insider

保守派の人々は、最近の生産的でない憲法談義をしているよりは、大石義雄とかをきちんと読み返した方がいいんじゃないのかなと思う。

2013-05-03 23:54:20
シータ @Perfect_Insider

憲法改正の発議要件が高いと、必然的に一つの改憲案にあれもこれもと詰め込まれることになる。そのため、国民投票にかかる案が積み合わせセット的になって、「この部分は賛成だが、この部分は反対」みたいな状況は起きうるし、これを利用して「問題な条項」を詰め合わせで通すことの批判も前からあった

2013-05-04 12:19:46
シータ @Perfect_Insider

これが起きるのは「めったに発議できない」という制約条件が課せられているためなので、発議要件を下げておくことは、個別案件ごとの発議を可能にし、詰め合わせ的にして問題な項目を強引に通すことを防ぐという面もあると思う。

2013-05-04 12:21:43
シータ @Perfect_Insider

国会議員が「国会議員の議席数」を決めるのと同程度のややこしさではないでしょうか。 RT @umedam: というか96条改正そのものが96条に依拠というのは,考えてみるとかなりややこしい状況を生みかねないな.

2013-05-04 14:50:37
シータ @Perfect_Insider

よくアンケートで「憲法改正が必要だと思いますか」というのがあるけど、あれは「何をどのように変えることが必要だと思うのか」を聞かないと全く意味がない。天皇制を廃止したい人も、天皇親政に戻したい人も共に「天皇の項目を変えるべき」というだろうが、その主張は真逆。

2013-05-04 22:51:02
シータ @Perfect_Insider

「改正条項の改正は自らの基礎を壊すがゆえに許されない」という人は、「国会議員が国会議員の議席を変更することは自らの正当性の基礎を崩すがゆえに許されない」というのだろうか。

2013-05-04 23:02:15
シータ @Perfect_Insider

石川健治の96条に関する文章http://t.co/bgnFyjVfJnが出てたので読んだが、うーん、細かいとこいろいろと、大きいところ一つに異論。まず細かいところ。議会の過半数発議だと「憲法と法律を区別する意味が、事実上なくなってしまう」→国民投票はどこに行った!?

2013-05-04 23:08:06
シータ @Perfect_Insider

フランスやイタリアは、彼の軟性憲法の定義(これが一般的なのかは知らないが)によると軟性になるが、フランスやイタリアで憲法と法律を区別する意味がなくなったという話は聞いたことがない。

2013-05-04 23:09:11
シータ @Perfect_Insider

もちろん彼の論旨は「国会での議論こそが最も重要である」というものらしいので、アリーナ型議会とかの話はどうしたとかいろいろ聞きたいこともあるが、彼がどこを重視するかは自由として、彼の重視しないところの差異は「存在しない」かのごとく言い切るのは傲慢に近いと思う。

2013-05-04 23:11:56
シータ @Perfect_Insider

次。首相が改正条項の変更を言うのが問題だとしているが、じゃあ誰が言いうるのか。議院内閣制である以上、議会の多数派党が首相になるわけで、首相が賛同しない場合にはそもそも改正条項変更の提案が議会を通過するはずがないではないか。

2013-05-04 23:14:45