ゼア・イズ・ア・ライト #3
◆BOOM!廊下の向こうから爆発炎上の音が響いた。そして鬨の声が!「バンザーイ!ソウカイ・シンジケート!バンザーイ!」「趣向を凝らすにも程があるというものだ!ハ!ハ!」ハーヴェスターが笑った。「ご安心めされよ」アガメムノンはチバを振り返った。「ここに私がおります」◆
2013-05-12 17:29:44「アイエエエエ!」「アイエエエエ!?ニンジャ?ニンジャナンデ!?」「アババーッ!」大ホールを満たす恐るべき混乱が早くもこのカンファレンス会場まで届いてくる。チバは葉巻を吸い、アガメムノンに命ずる。「下のカネモチどもについて対処しろ。株価が下がる」 1
2013-05-12 17:43:57アガメムノンがチバを見た。チバはしかめ面で見返した。「……お任せください」「イヤーッ!」「イヤーッ!」彼らの横を滑るように駆け抜け、アクシスのニンジャ達が飛び出してゆく。その中にはドラゴンベインやファイアブランドのような強力な古参ニンジャの姿もある! 2
2013-05-12 17:58:26「フォホホホ……蒸し暑くてかなわん」ブラックロータスが肥った身体をゆする。「会議はお開きで宜しいか?若君」「ヘリを召喚しました」アガメムノンがチバと一同に説明した。「貴方がたも避難を」外部参加者達を促す。「スターゲイザー=サンとシャドウドラゴン=サンが先導します」 3
2013-05-12 18:19:17応えるように、入り口からエントリーして来たのは黒い影じみた全身に龍頭を備えた異形のニンジャである。その手にはニンジャの生首がある。恐怖に凍りついたまま絶命したニンジャの首を隅に投げ捨て、スターゲイザーと並んで退路へ向かう。 4
2013-05-12 18:21:33「お前らも下に行け」チバはセプテントリオンやクーフーリンを一瞥した。「護衛にこんなにも頭数が要るか!できるだけ襲撃ニンジャを殺せ。首謀者を見つければ捕獲しろ」「「ハーッ!」」「成果無しはケジメだ!」「「ハーッ!」」彼らはチバ派のニンジャである。風のように飛び出す! 5
2013-05-12 18:36:57場に残るはアガメムノン、ソルスティス、ハーヴェスター、ラオモト・チバと護衛のネヴァーモアのみ。アガメムノンが言う「私は指揮に当たります。避難を。ラオモト=サン」「否」チバは冷たく言った。「さっきのカスの言葉が気になる。どんな愚か者が僕や父上の名を手前勝手に担いだか、見てやろう」6
2013-05-12 18:53:11「若。正直のとこ、危険ですぜ」ネヴァーモアが僭越を承知で忠告する。チバは酷薄な笑みを浮かべる。「危険?だからどうした。その為にお前がいる。それからアガメムノン、お前もだ。そうだな?」「仰せの通りに」「……」チバはソルスティスを見た。ソルスティスは頷いた。「では私も下へ」 7
2013-05-12 19:12:55ソルスティスが退出する。アガメムノンはその後ろ姿を一瞥する。ハーヴェスターが笑った。「ハ!ハ!立派になられた!我輩、感銘を受けましたぞ。帝王の器よ。我輩が貴方を以前に見たのは、それこそ10年は昔。嬉しいものだ。さて……インターセプター=サン!」「ハーッ!」 8
2013-05-12 19:22:44ハーヴェスターの呼び掛けに応えてエントリーして来たのは、ハンニャじみた鋼鉄のメンポをつけた、黒い乱れ髪の巨躯のニンジャだ。両手それぞれに掴んでいた脊椎つき生首を床に投げ捨て、オジギをする。「ドーモ。インターセプターです」 9
2013-05-12 19:38:59「いやはや10年!こいつを我輩が拾ってやったのも、丁度その頃だ。出来の良い番犬でしてな」生首にまるで構わず、ハーヴェスターが紹介した。「我輩、残念ながら計画の仕込み最終段ゆえ、ここでそう遊んでもおられぬ。かわりにこいつで恩を売っておきます。強いですぞ。ハ!ハ!」 10
2013-05-12 19:46:16「早速何匹か可愛がってやったが」インターセプターが生首を見下ろしながら言った。「ま、弱敵です。俺が出る必要があるかどうか怪しいものだ」「せめてもう一匹捕まえて、エキジビションでもしてやれ。貴様のタタミ・ケンの」ハーヴェスターが言った。インターセプターは喉を鳴らして笑った。 11
2013-05-12 19:53:57「アイエエエ!ニンジャナンアバッ」失禁しながら走って来た老人を無雑作にチョップで殺しながら、バックラッシュはZBRを頚動脈に注射する。「ソウカイ・シンジケート」バックラッシュは震え声で呟いた。「……遥かに良い」彼はドヒョー・リングに土足で上がり、ジゴクめいた大ホールを見渡す。13
2013-05-12 20:34:27囲炉裏に落下した真鍮ダルマは囲炉裏の熱でサハラ砂漠に放置したフライパンよりも熱く熱され、赤橙色に照っている。ひっくり返ったテーブルや割れたガラス類、死んだカネモチ達。頭上には真鍮ダルマにかわって非日常的なオブジェクトがある。天井を破って突き出したマグロツェッペリンの先端部だ。14
2013-05-12 20:42:15ゴウウウ!熱されたダルマの両目が火を吹いた。バックラッシュは階段を駆け上がってゆく部下のニンジャ達を見やった。彼のニューロンはシベリアの雪解け水のように冴え渡っている。遥かに良い。「アガメムノン死すべし!」「ナムアミ・ダ・ラオモト=サン!」口々にチャントを唱え切り込んでゆく。15
2013-05-12 20:49:52エンフォーサー、ガニメデ、ゼブラパンサー、パルススティンガー、トマホーク……。彼らは皆、高濃度ZBRでキアイを高め、額には「身勝手」のハチマキをしめている。アマクダリ・セクトを私するアガメムノンと刺し違え、ラオモト・チバにソウカイヤの気概を取り戻させる為に。聖戦だ。16
2013-05-12 20:53:13「イヤーッ!イヤーッ!」「イヤーッ!イヤーッ!」「イヤーッ!イヤーッ!」バルコニーの奥で鬨の声!始まった。バックラッシュの計画は入念だ。必ずアガメムノンを仕留める。第二フェーズ。KRAAASH!オトノサマ正面玄関の巨大ショウジ戸が飴めいて歪み、次の瞬間、破砕した。 17
2013-05-12 20:58:05屋敷を破壊しながら突っ込んできたのは装甲バスだ。KRAAAAASH!それも、二台!当然フロント部にはクロスカタナのマークがペイントされている。「ザッケンナコラー!」「スッゾオラー!」「チェラッコラー!」「ワドルナッケングラー!」装甲バスの中から次々に降りてくるクローンヤクザ!18
2013-05-12 20:59:56「天よ!刮目せよ」バックラッシュはブレイク時の指揮者じみて両手を拡げ、呟いた。「この日、あらゆるカルマの流れが転換する」BRATATATAT!BRATATATAT!クローンヤクザ達が逃げ惑う人々にアサルトライフル掃射を開始する。「アイエエエ!」「アイエエエ!」「アイエエエ!」19
2013-05-12 21:07:38BRATATATAT!「ザッケンナコラー!」「スッゾオラーアバーッ!?」掃射ヤクザの一人が即死!……降ってきたのは白金装束のニンジャであった。バルコニーから一飛びに、大ホールへ跳んだのだ。豹頭メンポのそのニンジャは、ひしゃげて死んだクローンヤクザの上で片膝をつき、素手である。20
2013-05-12 21:14:34豹頭メンポのニンジャはゆらりと身を起こし、アイサツした。「ドーモ。ドラゴンベインです」クローンヤクザ達は一斉に彼を蜂の巣にしようとライフルを向けかける。だがさらに一人!二人!三人!四人!続々とバルコニーを走り、階段を降りてくるではないか!バックラッシュはしかし不敵に笑うのみ!21
2013-05-12 21:19:23「ドーモ。誇りを捨てた犬の皆さん。バックラッシュです。我らソウカイ・シンジケートが、ラオモト=サンをお迎えに参ったぞ」バックラッシュが張りのある声で呼ばわる。「……」ドラゴンベインが装甲バスを見やる。バスの中から、次々にニンジャ達が現れ出でる。 22
2013-05-12 21:24:21バスから現れたニンジャ達。金糸縁取りフード装束のニンジャ「ドーモ。スカルダッジャリーです」リボルバーを2丁構えにしたニンジャ「ヒルビリーです」サイバネ外骨格のニンジャ「アントライオンです」ヤクザスーツのニンジャ「テンラピッドです」両目を赤熱させたニンジャ「メギンギョルズです」23
2013-05-12 21:36:36