検査における感度と特異度とは?(偽陰性と偽陽性の関係)
腫瘍内科医です。日本医大武蔵小杉病院に勤務しています。「がん」という病気を通して、患者のための医療とは?国民のための医療とは?人間のための医療とは?を真剣に考えています。
本日は初めて日本医大の学生に講義をしました。比較的真面目に聞いてくれたのでよかったです。テーマは、「がんの臨床症状と検査」でした。腫瘍マーカーや画像診断の意義についてお話しました。
2013-05-23 17:15:18がんの腫瘍マーカーは感度が低く(40~80%くらい)、特異度は80~90%くらいです。感度が低いということは、見逃し(偽陰性)が多いので、検診(スクリーニング)としてはあまり有効ではありません。
2013-05-23 17:17:57がんの腫瘍マーカーは特異度はまあまあ高い(80~90%)ですが、特異度90%ということは、10%はがんでないのに、がんがある、という偽陽性がある、ということなのです。
2013-05-23 17:19:53よく腫瘍マーカーが高かったからと、、全身CTやら、上下部内視鏡やら、PETやらさんざん検査をやりまくられて、がんが見つからないので、がんを見つけてほしい、と腫瘍内科にコンサルトがありますが、腫瘍マーカーの偽陽性がある、ということを知っておくべきなのです。
2013-05-23 17:21:37PETの意義についてもお話ししました。PET検査というのは、感度が高くありません。17%くらいという報告があります http://t.co/cB1wB6nXhF 。一方、特異度は95%と高いです。スクリーニングにはあまり使えないですね。
2013-05-23 17:27:10PET検査の感度:17.8%、特異度:95%とすると、陽性尤度比LR+=3.56、陰性尤度比LR-=0.86であり、それほど良い検査とは言えないです。がんを疑ったら、何も考えずに、すぐPETというのは、あまりおすすめではありません。
2013-05-23 17:32:42PETをしたら、全部のがんがわかる?かというと、そうではありません。感度が低い=見落としが多い=偽陰性も多い、ということを考えなくてはいけません。ですので、PETはスクリーニングとして使うよりも、特異度が高いことをいかして、確定診断的に使うのがよいと思います。
2013-05-23 17:37:26たとえば下部消化管内視鏡検査などは、感度94%、特異度99%、LR+94、LR-0.06となり、非常に優れた検査ということがわかります。侵襲は確かに大きいですが、大腸がんに関しては、PETはまだまだかないません。
2013-05-23 17:44:18腫瘍マーカーの中でもCA125などは、感度80%、特異度90%あるので、比較的優秀な検査でありますが、まだまだ検診として有効というエビデンス(死亡率まで低下させる)はないですし、再発後のフォローに使うことのエビデンスも疑問視されていますhttp://t.co/iXJVlXKGwK
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