家庭医の外来予約枠時間の設定について
皆さん、外来の予約時間枠ってどのように設定しているでしょうか?「家庭医の外来診療時間」という研究分野では、「実際の診察時間」と「予約枠時間」が2大テーマとなっているのですが。
2013-05-30 00:36:05外来予約枠時間(booking interval)についての研究にも、いろ~んなのがあって面白いのです。予約枠時間の設定を決める一つの試みとして、実際の診察時間から適切な時間を推定する方法をやってみます。
2013-05-30 00:38:33僕の5月での外来診察時間の平均は8.3分、標準偏差は4.3でした。イギリスのGPの平均(標準偏差)は9.4(4.7)、ドイツは7.6(4.3)なのでだいたいヨーロッパのGPと同じくらいの診察時間とばらつきの中で僕は今診療していることになります。
2013-05-30 00:41:47先日もつぶやいたように僕は日本の外来医としてはslow physicianなのでこんなもんです。ちなみにオランダは10.2(5.0)分、ベルギーは15.0(7.2)分、スイスは15.6(8.7)分で、他のヨーロッパ諸国よりもやや長い診察時間でばらつきが多いということのようです。
2013-05-30 00:44:47診察時間が長い医師は、その分布も広い(ばらつきが大きい)という傾向は昔からあるようで1991年のBritish Journal of General Practiceでも偉い先生が言っています。
2013-05-30 00:47:52さて予約時間枠の話に戻りますが、僕の平均診察時間は約8分(新患、再診含めて)、標準偏差(SD)が約4分。平均±SDで全体の約70%の事象が含まれるので一人あたり12分の時間枠を想定していれば70%の確率で時間通りに外来が回せるという計算になります。
2013-05-30 00:52:13平均±2SDならかなり余裕を持って、約95%の確率で時間内に回せることになりますが、それだと一人あたり16分の時間枠を設定しなければならず、やや贅沢すぎて現実的に難しそうです。
2013-05-30 00:55:22あとはだいたいの1日平均予約外患者数の分の枠を残して、予約患者を1枠12分で入れていけば70%の確率で12時には昼飯にありつけるという算段になるのですが・・・
2013-05-30 01:00:10まぁ、現実にはそこまでうまくはいきませんよね(^^;予約外患者数はかなりばらつきありますし、予約患者1枠12分もなかなか贅沢な設定です。できてせいぜい1枠10分。ただこうやって考えて、できる範囲で調整すれば「大外れ」はないのではないかと思います。
2013-05-30 01:01:52もちろんこの方法だと医師の熟練度や診療スタイルによって予約枠時間が変わることになります。一つのpracticeで個々の医師で枠が異なるのも混乱するかもしれませんが、やれるのならそれぞれの医師の力量に合った設定が可能になります。
2013-05-30 01:04:34また、実際の診療システムとして全く反映されなかったとしても「なぜ自分の外来はいつまで経っても終わらないのか?!」という疑問に、より具体的に説明をすることができるようになります。精神衛生的にその方がいいかもしれません。
2013-05-30 01:06:35booking intervalについては、「予約枠時間を長くしたら(やっぱり?)実際の診察時間も長くなった」「予約枠を5分、7.5分、10分で比べたら、10分枠でやった群で一番GPの心理的負担が少なかった(ニコニコして外来ができた?)」なんていう研究もあります。
2013-05-30 01:17:42う~んと、あと家庭医の外来に関する面白そうな研究は、「実際の診察時間よりも、患者の“体感”診察時間がより患者満足度と強い相関がある」というのは有名かな。なので、患者さんに診察を長く感じさせる工夫をすることが満足度を落とさずにより短時間で診察をするポイントになります。
2013-05-30 01:33:52あとは、minor illness(ちょっとした自然に治ってしまうような健康問題)の場合には患者さんの関心・心配ごとを聞き出す努力をしても、労力に対して効果が小さすぎて勧められないというもの。
2013-05-30 01:38:09診察時間は10%長引くわりには、専門的対応を受けたという満足度がちょぴっとupするだけで、不安感や関係の深まり、体感時間、全体の満足度、患者の自立性などは変わらないのだと。これは低学年レジデントには見せたくない論文だなぁ(^^;初めは「風邪」でも丁寧に診てほしいしね。
2013-05-30 01:41:19ちなみにこれです。Br J Gen Pract. 2004 Sep;54(506):663-6. オープンなRCTです。研究内容からオープンなのは致し方ないですな。良い子(レジデント)はしっかり「かきかえ(FIFE)」きけるまで見ないようにしましょう。
2013-05-30 01:45:29もう良い子ではなくなった僕は、この論文を言い訳にして、minor illnessはパパっと診ちゃうことにしよう(にやり)。
2013-05-30 01:47:01むしろ、minor illnessに捕らわれすぎて慢性疾患管理や予防医療などがおろそかにならないようにいつもの枠を忘れないのが大事かなと思う http://t.co/2Ysieokx6E
2013-05-30 07:10:23