イギリスのエリート私立中学校のコンサート(2013年6月)

2013年6月に行なわれたロンドンの私立進学校における学校の年度末音楽発表会の様子の一部。私立進学校が最小限のコストで最大限のパフォーマンスをいかにして成し遂げているかを示している。イギリスの私立校の経営戦略が音楽コンサートを通しても垣間見える。
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SteFoyLesLyonFr @SteFoyLesLyonFr

これがイギリスの私立エリート進学校の音楽奨学生Year 8 & 9(12-13歳たち)の演奏水準。 http://t.co/OvSpL7hgOc ピアノ三重奏でむずかしい現代曲をかたちにできている。

2013-07-05 11:05:10
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冒頭にこのまとめに出てくるこの学校の音楽奨学生たちの演奏を載せることにする。彼らのような高い水準のミュージシャンたちが私立校でどのような役割を果たしているか。

リンク YouTube The Trio
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今週も感覚を麻痺させられる1週間。 順序立っているのでまだいいけど。 火曜:地元の普通の小学校の音楽発表会 今日:私立エリート中学校の音楽演奏会 土曜:音楽大ジュニア部門のコンサート 日曜:プロフェッショナルのコンサート さて出かける準備しなきゃ。

2013-06-13 22:41:51
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今日は、とあるセカンダリースクールのミドルスクール (Year 7-9, 11−14歳) コンサートを見学。早めに到着してコンサートホールのロビーのカフェにてワイン片手にオードブルをつまみながら保護者たちの会話に交じる。話題は子どもたちの夏の計画についての情報交換と、

2013-06-14 08:21:21
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世界の経済情勢についてが多い。金融やIT関連で成功している人々だらけで正直個人的には気持ち悪い世界。夏休みの子どもたちの過ごし方のトレンドの1つは、アメリカのサマーコースに参加させるというもの。ボストンの何とかというコースに参加しておくとIVYリーグに行くのに有利だとか、

2013-06-14 08:28:15
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そんなのが多い。香港出身のビジネスマンだと、子どもを北京のサマーコースに送るというのも流行らしい。広東語だけではなくてマンダリンも必要だし、どこかの段階でメインランドを体験させることは必須なんだとか。ちなみに広東語とマンダリンは2カ国語としてカウントするらしい。

2013-06-14 08:32:52
SteFoyLesLyonFr @SteFoyLesLyonFr

何かしら切実な子育ての苦労話的なものなどは会話から何もにじみ出てこない。副校長とビジネスカードの交換をしている人もいる。1時間ほどもそうした社交の場があってコンサート開始予告と場内への移動を促すアナウンスが流れる。ここが中学校であることが錯覚に思えてくる。

2013-06-14 08:43:40
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コンサート自体は子どもたちが真剣に演奏していて、音楽教師たちも熱心でよく構成されている。驚くほど上手でも下手でもなく年齢相応の学校コンサート風景。しかし実情を知ると少し驚きもする。3時間ほどのコンサートだったが、子どもたちはほとんど何も練習していないという。だとしたら、

2013-06-14 08:50:45
SteFoyLesLyonFr @SteFoyLesLyonFr

どうやって?という疑問が湧く程度にはそこそこ上手。中学生たちが何ヶ月とかあるいは1年かけてクラブ活動で常日頃練習してきたという程度のレベルである。そんな芸当が出来る理由は聞いたところから総合すると2つ;

2013-06-14 08:57:27
SteFoyLesLyonFr @SteFoyLesLyonFr

まず、音楽をしている子どもたちはこの学校では例外なくサイトリーディングができる。だからコンサートの数日前や直前に渡された音楽でも1、2回のリハーサルで何とかかたちになるらしい。音楽の才能があまりなくても、とりあえずは「教養」として音楽をやっている子どもたちが多いということ。

2013-06-14 09:03:06
SteFoyLesLyonFr @SteFoyLesLyonFr

そして、その何とか形になった音楽の質を高めるために動員されるのが、1学年に3、4人いる音楽奨学生たち。彼らは別次元で音楽を行なっている子どもたちで要所要所に配置されている。つまり、ほころびが出ないようにまとめる役割でもある。

2013-06-14 09:07:41
SteFoyLesLyonFr @SteFoyLesLyonFr

かくして最小限の時間と労力で「音楽ごとき」に学校として力を注がなくてもそれなりの形のものが披露されるという仕組み。しかも嫌らしいのは、それら奨学生たちは学校全体のこうした行事では目立った活躍を期待されることもなく、学校行事の形作りに動員されているという点。

2013-06-14 09:10:48
SteFoyLesLyonFr @SteFoyLesLyonFr

彼ら音楽奨学生たちに期待されているのは、学外でのコンペティション受賞、著名な音楽家とのマスタークラスレッスン歴、有名なオーケストラへの参加などといった活躍。音楽奨学生というタイトルを授与しているんだから学校への見返りとして当然だろというシステム。

2013-06-14 09:13:53
SteFoyLesLyonFr @SteFoyLesLyonFr

と書いてて気分が悪くなってきた。こんな書き方をすることで、一昨日見学した地元の普通の小学校の子どもたちの30秒に満たないソロ演奏の方が貴重なもの思えてきた。30秒のために何ヶ月も、あるいは場合によっては何年も練習したんだろうなというのが明らかに見えてきていたから。

2013-06-14 09:20:55
SteFoyLesLyonFr @SteFoyLesLyonFr

とは言え、今日の学校の音楽奨学生たちに何の落ち度がある訳でもなく、彼らは彼らでミュージシャンとしての道を着実に歩んでいる。今日のように裏方に徹することもあれば、檜舞台もある。結果的にいろいろな舞台や状況で自分の音楽を研いているわけで、その意義は大きい。

2013-06-14 09:25:02
SteFoyLesLyonFr @SteFoyLesLyonFr

そんな場を提供している今日見たような学校システムを優れていると評価するか、狡猾であると評価するか。単純に是非を問うことはできない。ミュージシャンとしての責任というものがあるとすれば、それは子どもたちにとってどういう意味を持つものなのかが1つの論点かもしれない。

2013-06-14 09:29:56
SteFoyLesLyonFr @SteFoyLesLyonFr

それがまあ、子どもたちの側に立ってものを考えようとする立場のような気がする。

2013-06-14 09:30:48
SteFoyLesLyonFr @SteFoyLesLyonFr

明日のイランの大統領選(の様子を垣間みること)をはさんで、あさってはコンセルバトワールのジュニア部門のコンサートの見学。感覚の麻痺はないが、自分の思考回路の麻痺が予想される。

2013-06-14 09:36:38
SteFoyLesLyonFr @SteFoyLesLyonFr

@michimochipark 私のTwに関して言えば、「教養」として音楽を身につけた人たちではないです。多いのは音楽専門中高校の出身(=量産高級ブランド多く含む)や音楽だけやってきた人(=強烈な一人もいる)。進学校の音楽奨学生(背景はいろいろ)の何割かはプロになるようです。

2013-06-14 12:31:23
ミシェル @michimochipark

@SteFoyLesLyonFr 先程のお答えはオーケストラメンバーについていただいたのでした。ありがとうございます。ソリストの方も、コンサートのプログラムにある経歴から描くイメージが前より具体的になりそうです。(恐ろしくなってきた)

2013-06-14 13:29:20
ミシェル @michimochipark

@SteFoyLesLyonFr すみません。教養としての人、専門の人、どちらについてなのかはっきりしない呟き方をしてしまいました。最近の若いソリストの経歴を見ながら音楽を聴いていると…強烈な一人というのは、教育されてできるものではないのだな、と思います。聴衆の立場は楽ですね。

2013-06-14 12:50:04
SteFoyLesLyonFr @SteFoyLesLyonFr

@michimochipark ソリストにしてもオーケストラメンバーになるにしても、どのようなルートを経ようがどこかの時点で「クラシカル音楽という巨大なシステム」を通過していかなければならないという事実は残りますよね。そのシステムがどんなものであるかというのが論点になりそうです。

2013-06-14 13:07:30