ゼア・イズ・ア・ライト #7
(あらすじ:ジャーナリストの死を追い、アマクダリ・セクトのおそるべき陰謀を嗅ぎ当てたニンジャスレイヤー。アマクダリの最重要執行者「12人」の秘密会議を盗み見たニンジャスレイヤーは、彼らがキョート大使の暗殺と、それをきっかけとしたネオサイタマ・キョート戦争を画策している事を知る)
2013-06-13 21:20:00(陰謀を未然に防ぐべく、ニンジャスレイヤーはニンジャギャング団「サークル・シマナガシ」やニンジャ傭兵ブラックヘイズらと一時的共闘関係を築き、大使館へ進行するアマクダリの特殊部隊の襲撃計画を立てる。ドライブインシアター、ハイウェイ……イクサの火蓋が切って落とされた)
2013-06-13 21:23:59(緒戦において彼らはアマクダリのニンジャを相手に善戦しているものと思われた。だがアマクダリが動じる事はない。計画の鍵をにぎる変身ニンジャ、カメレオン。カラテのタツジン、インターセプター。そしてニンジャスレイヤーに何らかの因縁執着を持つ呪殺ニンジャ、フージ・クゥーチ。彼らは無傷!)
2013-06-13 21:28:17(クローンヤクザ勢やニンジャ戦士達の手勢は既に無いが、この残る数名の強大な邪悪ニンジャ達は、彼らの力のみでキョート大使館の護りを突破し、目的を果たせると考えているのだろうか?いるのだ……!ニンジャスレイヤー!きみが頼りなのだ!今こそカラテせよ!チャドー!フーリンカザン!)
2013-06-13 21:36:12「だからね、何度も申しますがね、あなた方の非礼ですよ。コモト=サンの訪問が無期限延期になったのは。我々の落ち度じゃありません」キョート大使レツマギ・シトシは、茶菓子を頬張りながら火鉢の向こうのネオサイタマ外交官員を指さした。「来週にはまた再度の判断をしますよ。さあ時間切れだ」 1
2013-06-13 21:58:12「キョートに流れる時間はこちらよりゆっくりしていると言いますがね」外交官は顔をしかめた。「あなたはネオサイタマの空気を吸っているんですよ。今この時も」「否!おやめなさい」レツマギはセンスを取り出し、開いて仰ぎ始める。「この大使館はキョートだ。離れキョートです。空気もね」2
2013-06-13 22:03:49「ムウーッ」外交官は唸った。正論である。彼は茶器を置き、しぶしぶ一礼して立ち上がった。追い打ちじみてレツマギは言った。「私は懐が広い。キョート人というものはね。……嫌味一つでボロが出る、それがあなた方です。それをわきまえて来週またいらっしゃい」「……!」外交官は退出! 3
2013-06-13 22:08:29「やれやれです、やれやれだ」レツマギはハンケチで額の汗を拭い、1:9分けの髪の毛を撫で付けた。「朝から何も食べていない。はじめて口に入れたのが今の茶菓子ですよ」「何にしますドスエ?」大使館メイドがにっこり笑い、茶室のノレンをやや上げた。「オカユにしてください。胃がよくない」4
2013-06-13 22:14:01「ちゃんと栄養を取らないと、夜まで保たないドスエ」「いいんです、私は」「まあ!」レツマギはテーブルにつき、小箱の中の薬包を取り出す。「庭師の……アー、つい混同してしまうな、ミノタ=サンは?」「ボンサイを刈っています」「では久しぶりに皆で、ここで食べよう」「賛成ドスエ」5
2013-06-13 22:22:18庭師、メイド二人、そしてレツマギは、にこやかに遅めの昼食を摂る。それは、やや奇妙な光景である。中庭にぽつりと存在するこのハナレを出てみれば、自動小銃で武装した駐在ケビーシ武官達がいかめしくポイントごとに配置され、今も突然の不測事態に警戒しているのだから。 6
2013-06-13 22:34:23……「ただ、私はモコテック・オタミのヨーカンは好きなのです」「あれは実際うまい」庭師のミノタが同意する。「しかし静かなものですな」「たまにはよいでしょう。普段のカンバ=サンのうるさい事がはっきりわかるというもの」「風邪ですか?」「検査だそうで」「そりゃいけない」「平気でしょう」7
2013-06-13 22:44:27「そんな粥なんか食べる生活じゃあ、今度はアンタの番です。スシですよ、やはり」「そうドスエ」「いいじゃないですか、私の事は。誰も心配なんかしません」「まあ、そりゃそうですぜ」「おお、なんと口が悪い庭師!」「ウフフ!」ザッ、ザッ……中庭を定期巡回するケビーシの靴音が微かに聴こえる。8
2013-06-13 22:47:14ガガガガ、ドド……ひときわ大きな雷の唸りに、食卓の者達は会話を止め、互いに目を見交わす。そして叩きつけるような豪雨が始まる。「落ち着かないですね!」レツマギは皿を下げさせた。「まったく下品な雨だ!」 9
2013-06-13 23:01:06ガガ……ガガガ……ZZZGGT!空気が震えるほどの轟音!落雷だ。「アイエエエ!」「近いドスエ!」メイドはうろたえ、庭師はいそいでスシを頬張った。「なんですか不吉な!」レツマギは立ち上がった。「このハナレはまずい…」KABOOM!彼の言葉を、今度は爆発音がかき消す。近い。庭だ!10
2013-06-13 23:36:09BRATATATAT……BRATATATATATATATA!「グワーッ!」「アイエエエエ!」BRATATATAT!「何だねこれは!」レツマギは髪をなでつけ、戸口へ向かう。「レツマギ=サン!大変です!」ハナレ玄関に現れたのはケビーシ武官である。「ネオサイタマの……グワーッ!」11
2013-06-13 23:43:00その心臓部から銃剣の刃が飛び出し、絶命!死体を踏み越え、ズカズカと乗り込んで来たのはネオサイタマ湾岸警備隊の装備に身を包む男二人!埋込み式のサイバーサングラスが、銃口が、レツマギに向く。彼は凍りついた。「穏やかじゃねえですな」庭師のミノタがドスの利いた声を発し、彼の前に立つ。12
2013-06-13 23:51:20「スッ」湾岸警備隊が同時に恫喝ヤクザスラングを発する「……ゾコラー!」「イヤーッ!」ミノタが踏み込む。「グワーッ!?」チョップが手前の警備隊の喉笛を撃ち抜いて即死させ、「イヤーッ!」回し蹴りがもう一人の首を200度回転させて即死させた!ミノタは首に巻いたテヌギーをほどく。13
2013-06-13 23:55:17ミノタはテヌギーで鼻から下を覆い、ジャケットのフードを目深に被った。ニンジャ機構が働き、フードは頭巾に、ジャケットとカーゴパンツは藍色のニンジャ装束に変形!さらに耳の後ろからメンポがせり出し、テヌギーの上から顔を覆った。ナムサン!ミノタは大使館づきのニンジャなのか!? 14
2013-06-13 23:58:00「注意しなさいよハーキュリーズ=サン!私の命、イコール、キョート外交です!」「守りますとも。その為に給料貰っていますからなァ」ミノタ……否、ハーキュリーズは、鉄のグローブを握り、開いた。ハナレの外では依然、銃声!「実際、電撃的襲撃です。まずいぞ」BRATATATAT! 15
2013-06-14 00:06:56「ヒッ……」メイド二人は食卓の下で息を殺す。BRATATA……TATA……「ワレワレ、ガガピー!我々ハ!我々はネオサイタマ湾岸防衛軍有志!」拡声器音声が轟いた。「悪逆キョートに対し、我ら誇り高きセンシの堪忍袋は温まりきって、爆発した!ここに命を賭して決起した次第である!」 16
2013-06-14 00:19:19「ザッケンナコラー!」「スッゾコラー!」KRAAASH!KRAAASH!ガラス破砕音!別室のガラスショウジ戸から新たな湾岸警備隊が侵入したのか?「スッゾー!」そして玄関からも新たに二人の警備隊!「イヤーッ!」咄嗟にハーキュリーズはクナイを投擲して一人殺す! 17
2013-06-14 00:30:55BRATATATATAT!「イヤーッ!」ハーキュリーズは腕を交差した。その手の鋼がじわじわと装束を侵食し、全身を鎧う!特殊なムテキ・アティチュードである!TATATAT……ニンジャは大使とメイド二人の盾となって、もう一人の警備隊による銃撃を防ぐ。 18
2013-06-14 00:37:48「ア、アッコラー!?」警備隊がやむなくリロード!「イヤーッ!」ハーキュリーズは瞬時にムテキを解き、強烈なカラテフックを警備隊の下顎に叩き込んだ。「アバーッ!?」顔半分が吹き飛び、警備隊は回転しながら倒れる!「地下から抜けますぜ」ハーキュリーズは玄関を諦め、廊下を指さした。19
2013-06-14 00:42:37「アイエエエ……!」「死にたくなければ急ぎなさい!」レツマギはメイドたちを促した。「全くどういう事です、これは」廊下を足早に進む彼の顔はひどく蒼ざめている。「近頃はキナくせえですからな」ハーキュリーズが答えた。「ザッケンナコラー!」廊下に面した部屋の戸口から湾岸警備の新手! 20
2013-06-14 00:45:36