書籍『数学ガールの誕生』(結城浩)のTwitter執筆検討会

次に書く本をどのように構成するか、Twitterにつぶやきながら考えてみました。もしかしたら文章を書く人の参考になるかもしれません。 数学ガールの誕生 http://www.hyuki.com/girl/birth.html
6
結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

『数学ガールの秘密ノート/式とグラフ』は現在再校ゲラ読みを行っています。さすがにこの段階まで来るとだいぶ滑らかに読めるように整っています。修正すべき箇所も初校では何百か所もありましたが、再校になると十数…数十か所にとどまっています。これは明日読み合わせをすることになっています。

2013-06-17 11:55:09
結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

それはそれとして次の本として執筆を行っているのは『数学ガールの誕生』です。これはいわゆる数学ガールシリーズそのものではなく、どのようにして数学ガールシリーズが生まれたかという経緯や、数学ガールの中に描かれているものはいったい何なのか、学ぶことや説明することとの関係はどうか。(続)

2013-06-17 11:57:22
結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

(続)そういった内容を書いた本にするつもりです。具体的な中身として、昨年公立はこだて未来大学で行った「結城浩セミナー」の講演と質疑応答、年末に行った「数学ガールの誕生」というプライベート講演と質疑応答を文章化しています。生の形のコンテンツは結城メルマガで配信してきました。(続)

2013-06-17 11:59:43
結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

(続)結城メルマガで配信してきたコンテンツはメルマガ版ということで、メルマガ一回分で読みやすい形に区切ってきましたが、書籍化するにあたって全体像をもう一度とらえなおし、「この本はいったい何なのか」から考え直すことになります。(続)

2013-06-17 12:01:55
結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

(続)書籍を作るというのは、ある大きさの意味をもったまとまりを作ることですから、全体像を著者がイメージするのは当然のことです。そしてそこからぶれないようにする(もしぶれさせるなら意識してぶれさせてやる)必要があると結城は思っています。(続)

2013-06-17 12:04:09
結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

(続)書籍を作るときによく考える必要があるのは「読者はだれか?」ということです。いつでもそこに立ち返る。今回の書籍『数学ガールの誕生』の場合、読者さんとしてまずは「数学ガールのファンの方々」が考えられます。数学ガールの成り立ちやその世界についてもっと味わってみたい方々です。(続)

2013-06-17 12:07:19
結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

(続)それから別の読者さんとしては「数学ガールもさることながら『教える』や『学ぶ』や『説明する』に関心のある方々」もきっと『数学ガールの誕生』の対象読者になると思います。敬遠されがちな「数学」という題材に楽しく触れる本の秘密は何か?に関心のある方々です。(続)

2013-06-17 12:09:50
結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

(続)ぱっと思いつくのはその二つのグループ(重なりはあるかもしれません)の読者さんです。読者さんに特化して内容を決める…というほどではありませんが、読者像をイメージして、「あの方なら、こういうことを知りたいかなあ」「あ、それなら、こういう話も入れよう」(続)

2013-06-17 12:12:29
結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

(続)そんなふうに想像を膨らませることはとても楽しくてしかも書籍執筆で意味のあることだと思います。ここにコンテンツがあるから張り合わせてできあがり、ではない。そうではなくて、あの人に読んでもらい、楽しんでもらえるような「まとまり」を作る。これは書籍執筆の醍醐味でしょう。(続)

2013-06-17 12:14:10
結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

(続)では、今回の『数学ガールの誕生』の場合にはどこから考えればいいのか(それから、こんな思考過程をツイッター上でやっていいのかww)。深みに入るには具体的なすでにあるコンテンツを読むことから始めるのがよいだろう。いままではメルマガを発行するために切り出していたものを(続)

2013-06-17 12:16:42
結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

(続)今度は頭を切り替えて「よし、一冊の本にしましょう」という意識を持って全体を読み返す。赤ペンを持ちながら。そしておそらくは「んんん、ここは削除」「こっちは順序入れ替えるか」「ここにもう少し加筆」「こんな話を入れよう」という構成を行う。そのあたりが第0次近似かなあ。(続)

2013-06-17 12:18:30
結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

(続)いまざっと考えている範囲では、おそらく分量としては一冊の本にするくらいは十分あるはず。講演の中で一部重複している部分をどうするかの検討は必要かもしれない。単純な繰り返しになっていたら削除する。同じように見えても違う角度から何かを描いていたらそこを強調する。(続)

2013-06-17 12:21:08
結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

(続)重複部分のほかに検討が必要なのは図版(スライド)の扱いか。版面に対する大きさは編集者に考えてもらうとして、スライドと語りの配分は調整がいるかも。いや、でも、それは細かい話だな。(続)

2013-06-17 12:24:43
結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

(続)加筆すべきものとして、最初の導入部分と、最後のまとめの部分は新たに短い文章を書いた方がいいかもしれない。あまり長くする必要はない。読者さんはいろいろなので、スタート地点では少し共通認識を持っていただいた方がいいと思う。「はじめに」的な文章を書く。(続)

2013-06-17 12:26:48
結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

(続)『数学ガールの誕生』という一冊の本をまとめるにあたって、最後のまとめも新たに短い文章を書いた方がよいだろう。基本は二つの講演を掲載することになるので、いささか散漫な文章、寄せ集めに見える危険性があるからだ。著者としてもう一度本全体を俯瞰して《旅の地図》を描いて見せる。(続)

2013-06-17 12:28:55
結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

(続)そのような最初と最後に書き下ろしで説明をつけておくと引き締まるかな。ただし、まとめの文章ではあまり引き締め過ぎないようにしよう。そうではなく、未来に広がるように、読者さんが夢を広げられるように、そのような〆にしよう。なんといっても読後感である。(続)

2013-06-17 12:30:55
結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

(続)『数学ガールの誕生』という本であるけれど、単純に数学ガール礼賛の話をするのではなく、読者さんに何らかの気づきや励ましや「自分も何か書いてみたい」「自分も何か作ってみたい」「新しい何かを生み出したい」という気持ち――クリエイティブな何かを感じてもらえるような本に…(続)

2013-06-17 12:32:58
結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

(続)…なったらいいなと思うのだが、まあそれは努力目標としましょう。それにしても『数学ガールの誕生』のまとめ方についてツイッター上で書きながら考えるというのは緊張するけれど、楽しいな。(続)

2013-06-17 12:34:55
結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

(続)そうだ。本の広がりという意味からすれば『数学ガールの誕生』をあまり「内輪受け」の本にしないような注意が必要。あまり数学ガールのことを知らない方にも、ていねいにわかってもらうような説明なり図解なりがあった方がよさそうだ。そうか、それは「はじめに」の部分に入れればいいな。(続)

2013-06-17 12:37:22
結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

(続)うん、ここまで考えたら、あとは具体的なテキストに向かっていけばいいかな。とりあえずすべてのテキストを一つの書籍用PDFとしてLaTeXでまとめる。それを一回プリントアウトするか。そして赤ペン。「はじめに」と「おわりに」(それとも「これから」?)に入れるべき要素を(続)

2013-06-17 12:39:46
結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

(続)考えながら赤ペンで紙にしるしをつけていく。それが終わったら書籍『数学ガールの誕生』の章立てを改めて考える。編集者と相談する。「はじめに」「おわりに」を書く。そこまでいけばあとは通常の書籍の推敲プロセスに入るだけだな。うん、書けそうな気がしてきた。(続)

2013-06-17 12:41:58
結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

(続)以上、書籍『数学ガールの誕生』(結城浩)のTwitter執筆検討会をお送りしました(笑)。7月刊行の書籍『数学ガールの秘密ノート/式とグラフ』の次に出版される本になる予定です。みなさんどうぞお楽しみに!(了)

2013-06-17 12:47:54