ドラマチックストラクチャーをマルチエンディングシナリオに適用する

エロゲーライター時代の思い出話(http://togetter.com/li/51541)の続き。 シド・フィールド流のドラマチックストラクチャーをどのようにマルチエンディングシナリオに適用するかという、少々テクニカルなお話です。
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Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

つい最近AB!の構成の話や自分自身のエロゲーライター時代の思い出話を書いていて、ふと思ったことですが、ゲームシナリオの場合のみに限っても、いわゆるシナリオとシナリオテキストが世間では混同されているような気がしてます。

2010-09-21 02:33:25
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

僕が話しているシナリオというのは、どちらかというと構成寄りの話をしているのであり、この話と実際のシナリオテキストの作法というかテクニックというのは、また違います。

2010-09-21 02:34:26
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

実際、AB!のところでも、「第10話と同じ構成をゲームで10時間やられたら評価が変わっただろう」ということを書きましたが、これが成立するためには「あまり目立ったドラマのないテキストを10時間延々と見せ続けることのできるテクニック」が必要なのはいうまでもありません。

2010-09-21 02:35:52
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

逆をいえば、そういうテクニックを持っているライターでなければ、あの手のゲームは作れないことになります。そういう意味でも、Keyの麻枝准氏が高いテクニックを持っていることは直接会ったことはなくても、推察できる訳です。

2010-09-21 02:38:01
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

一方、これから話すドラマチックストラクチャーに代表されるシナリオ作法は主に映画を対象にしているので、ゲームシナリオ的には構成の部分と見た方がよいと思います。

2010-09-21 02:39:18
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

そういう意味でもゲームシナリオを作ろうと志す人は、これらの構成にまつわるシナリオ作法だけでなく、個々のゲームに必要な仕様に沿ったゲーム用のテキストを書けるように練習したほうがよいと思います。

2010-09-21 02:41:00
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

さて前置きはこれぐらいにしておいて、ドラマチックストラクチャーのほうに話題を移します。ドラマチックストラクチャーの詳細に関しては、現在ではシド・フィールド氏のワークブックそのものが簡単に手に入れられるので、関心のある方はそちらを読んだほうがよいでしょう。

2010-09-21 02:42:35
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

一昔前には、別冊宝島の特集号でしか読むことができなかったものですので、これを機にご購入することをお勧めいたします。この手の本はいつまで売っているかはわかりませんから、関心があればまずは手に入れることが重要だと思います。

2010-09-21 02:44:03
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

ここではドラマチックストラクチャーとは、要はなんなのかということからはじめます。まあ、酒を飲んでのぶっちゃけ話ですんでね。お許しを。

2010-09-21 02:45:07
藤津亮太/7月発売『増補改訂版「アニメ評論家」宣言』(ちくま文庫) @fujitsuryota

@nyaa_toraneko 基本の基本という感じの本ですよね。工学院朝日カレッジで作品を取り上げる時に、逆に完成品に三幕構成を当てはめて、その作品の個性を見るというのをやってるんですが、なかなかおもしろい結果が出ます。

2010-09-21 02:46:18
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

@fujitsuryota そうなんですよね。基本をどうやって実践に活かすかが重要なのですが、その辺りが軽んじられている感じがしまして、まあこんな形でだべっているんですが…w。よろしかったら参考にしてくださいませ。

2010-09-21 04:29:26
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

さてドラマチックストラクチャーとは、ぶっちゃけいってしまうと、ストーリーを盛り上げ、そしてオチをつけるための技術のことです。要するに、この作法に従っていればどんな物語もオチがつきます。そういう技術体系のことです。

2010-09-21 02:46:27
新一 / 岩瀬新司 @Shini_chi

面白そうなお話が始まりそうです。そして削れる私の睡眠時間 RT @nyaa_toraneko ここではドラマチックストラクチャーとは、要はなんなのかということからはじめます。まあ、酒を飲んでのぶっちゃけ話ですんでね。お許しを。

2010-09-21 02:46:31
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

それは例えるならば、東京から大阪にいくまでの行き方に似ていて、この場所で電車を乗り継げば必ず目的地につくことができるというものです。逆をいえば、それだけのものですからそれが物語として実際に面白いものになるかどうかは、それを書く人の才能次第ということは忘れてはいけないと思います。

2010-09-21 02:48:18
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

その上でのお話ですが、ドラマチックストラクチャーの場合、まず物語を最初と最後にわけます。それをスタートポイントとエンドポイントと呼びます。つまり全ての物語には始まりと終わりがあるということです。同時に物語りを作る人は、それをはじめに決める必要があるということを示唆しています。

2010-09-21 02:49:57
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

スタートポイントとエンドポイントのには、当然中間がありそれをミッドポイントと呼びます。これは物語の折り返し点にあたります。例えば2時間のドラマでしたら、開始1時間後ぐらいにこのポイントが来るように配置をします。

2010-09-21 02:51:32
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

全ての物語は、このミッドポイントを境に前半と後半に分かれます。ここでシナリオを書く人が、どのようなポイントをミッドポイントとして選ぶかに関しては、その人のセンスが問われることになります。

2010-09-21 02:53:03
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

ここで『ラピュタ』を例に取ってみます。スタートポイントは、当然「パズーが空から降りてきた少女シータと出会う」というものです。そしてエンドポイントは、「パズー、全ての事件を解決しシータを生まれ故郷に送る」というところでしょう。

2010-09-21 02:55:12
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

ではこの物語のミッドポイントはどこにあるかというと、それは「パズーとシータラピュタに着く」の辺りがミッドポイントだと思われます。実際、『ラピュタ』という物語はタイトルが表すようにラピュタを巡る人々の物語ですから、当然ラピュタが本当にあって、その地を踏まないといけない訳です。

2010-09-21 02:57:10
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

さてこのように物語を大まかに2つにわけただけでは、シナリオは書けません。次にどうやればうまくスタートポイントからミッドポイントを経てエンドポイントに至ることができるのか考えます。

2010-09-21 02:58:36
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

ここでシド・フィールドは自身がハリウッド映画の優れた脚本を多く見続けてきた経験から、分かりやすい良い物語には次のような特徴があることに気がつきました。

2010-09-21 02:59:29
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

それが物語前半部の頭1/3程度の場所にあるプロットポイント1と、物語後半部後ろから1/3程度の位置にあるプロットポイント2というものです。凄く簡単に説明してしまうと、これら二つのプロットポイントは、しばしば前半の山場、後半の山場として知られています。

2010-09-21 03:01:19
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

この時点で、物語がスタートポイント→プロットポイント1→ミッドポイント→プロットポイント2→エンドポイントのように5つのポイントで分割できることがわかると思います。

2010-09-21 03:03:32
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

次に、各の間の部分に注目してみるとスタートポイント~プロットポイント1は物語の導入部にあたります。ここでは主に登場するキャラクターの説明、特に主人公についてお客さんに強く意識をさせるべき時間とされています。

2010-09-21 03:04:10
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

次にプロットポイント1~ミッドポイント。これは葛藤の時間といわれています。主人公は、自らがその物語の中で成すべきことに直面してそのハードルの高さに葛藤する時間帯です。お客さんも主人公と一緒にこの物語がどのように今後展開するのかハラハラする時間となります。

2010-09-21 03:06:25
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