大屋雄裕氏が指摘する「自民党による憲法改正案の問題点」の問題点 2013年6月23日~6月26日

自民党憲法改正案批判として企画された講演会の参加者による感想ツイートへの反応として展開する。 「自民党改憲案はダメだと私も思いますし、問題点について議論するのはいいことだと思いますし、そのために勉強するのも素晴らしいと思いますが、社会的に広く通用するスタンダードな議論から始めることが(特に導入的な段階では)正しいと思いますよ」とのこと。
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岐阜大学教授近藤真先生講演会「自民党による憲法改正案の問題点を考える」
http://twipla.jp/events/52753
この講演会に関するlematin氏の感想ツイートを受けてスタート。

lematin氏の講演会感想ツイートは下記のまとめを参照。
自民党改憲案を考える会

まとめ 自民党改憲案を考える会 るまたん(@lematin)のツイートをそのままもらいました。 925 pv 5

※なお、自民党憲法改正案に対する大屋氏自身の見解は氏のブログおおやにきでまとめられている。

自民党憲法改正案(1)-おおやにき 2013年2月12日 10:42
http://www.axis-cafe.net/weblog/t-ohya/archives/000917.html
自民党憲法改正案(2)-おおやにき 2013年2月13日 10:48
http://www.axis-cafe.net/weblog/t-ohya/archives/000918.html
自民党憲法改正案(3)-おおやにき 2013年2月14日 10:51
http://www.axis-cafe.net/weblog/t-ohya/archives/000919.html
自民党憲法改正案(4)-おおやにき 2013年2月15日 10:58
http://www.axis-cafe.net/weblog/t-ohya/archives/000920.html
自民党憲法改正案(5)-おおやにき 2013年2月19日 10:59
http://www.axis-cafe.net/weblog/t-ohya/archives/000921.html
自民党憲法改正案(6)-おおやにき 2013年2月20日 11:04
http://www.axis-cafe.net/weblog/t-ohya/archives/000922.html

るまたん(ほぼインアクティブ) @lematin

【近藤先生講演】現行憲法はなぜ外国人参政権を認めるのか。選挙権は国民にだけある権利ではないのか。 通説の芦部説は、国民には二種類あるという。それは政治的な主権者と理念的な主権者。後者は国籍保有者national だが、前者はpeople。これは論争の折衷案。しかし、

2013-06-23 20:49:56
るまたん(ほぼインアクティブ) @lematin

【近藤先生講演】共に正文である英語版日本国憲法では、一条で主権者をpeopleと規定。国籍保有者を主権者と規定してはいない。96条の憲法改正規定でも有権者はpeople。これを国籍と結びつけることは困難。日本語版ではそこは混同されている。

2013-06-23 20:55:54
Takehiro OHYA @takehiroohya

とりあえずアメリカ合衆国憲法はWe the People of the United Statesに始まり、国民という意味のnationにもnationalにも一切言及していないが、大統領選を含む国政・州レベル選挙のすべてにおいて国籍保有者の投票権しか認められていない件について。

2013-06-24 00:07:07
Takehiro OHYA @takehiroohya

まあtwitter中継では私も前にえらいめにあったことがあるし、それだけで何かを判断するのは避けようと思うが、勉強するのはいいけどスタンダードから始めたらどうかねえ。天皇は元首ではないとか、言うのは勝手だし定義問題だというのが政府見解でもあるけど、外交儀礼上はそうなんでね。

2013-06-24 00:10:11

※「twitter中継では私も前にえらいめにあった」はおそらくこれ。
大屋雄裕氏の講演に対する高木浩光氏の批判

まとめ 大屋雄裕氏の講演に対する高木浩光氏の批判 『パネル討論会:「岡崎市中央図書館ウェブサーバ事件」から情報化社会を考える』 https://www.esd21.jp/news/2010/10/post-1.html において行われた大屋雄裕氏の講演に対する高木浩光氏の批判。 16803 pv 25 56 users 1

るまたん(ほぼインアクティブ) @lematin

【近藤先生講演】自民党改憲案では天皇が元首になる。今の憲法では首相が元首と解される。元首は政治的な最終責任を持つ人。この地位が世襲されることは民主国家として問題。 象徴であれば問題ないが、元首として政治的に行動するとなれば国民主権と両立できるか。

2013-06-23 19:21:22
るまたん(ほぼインアクティブ) @lematin

【近藤先生講演】自民党改憲案102条では、現行99条にある天皇の憲法遵守義務を削除している。元首になる天皇に憲法遵守の義務がない。国民は天皇が元首とする憲法を守らなければならない。これは国民主権の憲法ではないのではないか。 明治憲法にもこんなことは書いていない。

2013-06-23 19:28:25
るまたん(ほぼインアクティブ) @lematin

というか、天皇を元首と呼ぶのは礼儀の問題にすぎないんだったら、なにも憲法に書き込まなくてもいいんじゃないかねえ。

2013-06-24 00:14:39
Takehiro OHYA @takehiroohya

@lematin いや私も自民党改憲案には問題が多いと考えており批判に値すると思いますがね、結論が正しくても根拠がトンデモのものと手を組むのがいいか、そういうものをまき散らしていいかというのは別の問題ではないですかね。

2013-06-24 00:16:19
Takehiro OHYA @takehiroohya

@lematin なお《元首かどうか》というのは、確立した国際慣行上、無条件で外交特権が発生するかという法的効果の問題です。この効果を持つと諸外国が扱っているのは天皇で、それはつまり《国家代表と国際的に承認されている》ということ。国際儀礼と、単なる礼儀は異なります。

2013-06-24 00:21:51
るまたん(ほぼインアクティブ) @lematin

@takehiroohya それはわかりましたが、なおさら憲法に明記する必要性はわからず、つまるところ国内的な意味があるのではないか、と思えます。

2013-06-24 00:25:13
Takehiro OHYA @takehiroohya

@lematin それはそうでしょう。国際的な慣行を、国内的に明確にすることによって異論を封じるという狙いは確実にある。しかしそれは《現状の追認》程度のことで、現状の変更だといって攻撃するようなポイントではない。立脚点がズレているので、攻め方がズレることになります。

2013-06-24 00:31:53
Takehiro OHYA @takehiroohya

@lematin 繰り返しますが、自民党改憲案はダメだと私も思いますし、問題点について議論するのはいいことだと思いますし、そのために勉強するのも素晴らしいと思いますが、社会的に広く通用するスタンダードな議論から始めることが(特に導入的な段階では)正しいと思いますよということです。

2013-06-24 00:34:59
Takehiro OHYA @takehiroohya

とりあえず芦部憲法の学習会から始めても、例の自民党改憲案を批判的に検討するという目的のためには十分のような気がするがなあ。あれ書いた人たちと比べても、それだけでかなりいいところまで行けるような気がする。これ以上直接的な表現は避けるけど。

2013-06-24 00:38:16
Takehiro OHYA @takehiroohya

右か左かという話と、上か下かは別の問題だってのはどんだけ話したら理解されるんだろうね。

2013-06-24 13:53:13
Takehiro OHYA @takehiroohya

というわけで法律学まめ知識。上位規範は下位規範に優越する。同一レベルの規範同士が衝突する場合には《後法が先法に・特別法が一般法に》優越するといった基準で判断するが、まずは規範の階統性が適用される。

2013-06-25 10:11:19
Takehiro OHYA @takehiroohya

優越順位の基本は、憲法→法律→政令→省令。条約・条例はどこに入るか、憲法のなかに差があるかといった応用問題はあるが、とりあえずこれが基本。だから憲法に矛盾する法律は無効になるし、政令で法律の内容を変更することはできない。さてこれを踏まえて。

2013-06-25 10:11:30
Takehiro OHYA @takehiroohya

問題:自民党改憲案は、現行36条「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。」の後半を、「禁止する」に改めることを提案している。これについて「絶対」でない以上は許容される可能性があるという主張は、正しいか。

2013-06-25 10:11:42
Takehiro OHYA @takehiroohya

仮に、例外的な場合に拷問を許容する法律が制定されたとしよう。しかし憲法で拷問は禁止されており、上位規範の内容を下位規範で改めることはできないから、その法律は無効になる。憲法による禁止を改めるには同レベル=憲法による規定が必要になる。→

2013-06-25 10:12:18
Takehiro OHYA @takehiroohya

→ところで憲法規範を定めるには96条の改正手続きが必要である。それが成功するというのは憲法自体を改めることが可能な事態なので、憲法に「絶対」と書いてあろうがなかろうが《そこを変えることのできる状況》だということになる。→

2013-06-25 10:12:36
Takehiro OHYA @takehiroohya

→つまり「絶対」の有無に関わらず法律で例外を認めることはできないし、憲法改正には対抗できない。《法的には》別に何も変わらないということになる。もちろん「絶対」と言い切る意気込みがなくなるということは可能であり、おそらくそれは事実だが、それは表現の問題であるに過ぎない。

2013-06-25 10:13:13
Takehiro OHYA @takehiroohya

問題:自民党改憲案は、内閣総理大臣が緊急事態を宣言し、法律と同じ効力を持つ政令を定めることができるようにすることを提案している。また、緊急事態のあいだ両院議員の任期に特例を設けることができるようにしている。→

2013-06-25 10:13:40
Takehiro OHYA @takehiroohya

→事前に緊急事態を無期限とする法律を定めること、あるいは一旦緊急事態が宣言されたのちに上記の政令によって緊急事態が無期限に継続するものと定めることは認められるか。

2013-06-25 10:13:51
Takehiro OHYA @takehiroohya

案98条3項は、緊急事態が100日を超えて継続するごとに・事前に・国会の承認が必要であるとしている。緊急事態を無期限とする法律はこの規定に反するので、違憲無効となる。また緊急事態下における政令は法律と同一の効力を持つとされているので、やはり憲法の内容を変更することはできない。→

2013-06-25 10:14:57