第一回大罪大戦《正1の狭間》【戦闘フェーズ02】

紅(ルージュ)は『傲慢』プライド[ @seigo_sin ]、並びに『唯一』ウーヌス[ @nobara_sin ] 黒(ノワール)は傲慢、スペルビア[ @takami_sin ]
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superbia @takami_sin

――翳された三つの物語が、狭間にて斬り結ぶ。 一つは紅で、一つは黒。そしてもう一つ、混ざり合う色。 盤面に向かい合うは、『王』と『姫』の駒。 罪と罪の交わった果てに、生を勝ち取り玉座に在るのは――。

2013-06-28 20:27:00
superbia @takami_sin

目の前に光が広がっていく。その向こうへと足を踏み出せば。「はン、良い趣味していますわね」見えてきた景色は、石の床に絨毯の敷かれた空間。この風景には、見覚えがあった。城だ。こんな空間を創り上げる『大罪』なんて、一つしか考えられない。かつん、かつん、靴音を鳴らし、彼女は前へと進む。→

2013-06-28 20:33:57
superbia @takami_sin

――そうして彼女は、道の向こうの扉へと辿りついた。彼女は口の端を釣り上げ、右手を前方へとかざす。「期待していますわよ。鏡の写し身、対岸の存在であるあなたなら、楽しめるかもしれませんものね……ッ!」白光。ついで轟音。もとより『向こう』の設えたこんな扉、くぐってやる道理などない。→

2013-06-28 20:38:07
superbia @takami_sin

→ひとつ、ふたつ、斬れ目の入っていく扉。そうして最後に、光の奔流がそれらを突き崩す。さあ、道はできた。「ねえ、そうでしょう――『傲慢(プライド)』!!」フリルの多い黒のドレスをまとい、白い大剣を握った騒がしい乱入者は、己の敵となる存在の『座』を叫び、紅の瞳をまっすぐに向けた。

2013-06-28 20:42:35
プライド @seigo_sin

『獅子の門』が音を発てて両断される。 傲慢なる姫が道を拓き、玉座の間まで躍り出れば、望むべき相手の姿が其処に在った。 原初の傲慢。紅き王。この大戦の発端。 傍らにはかつての黒き嫉妬を侍らせ、まるで有象無象を眺めるかのように膝を組んで、退屈げにそちらを見ている。 →

2013-06-28 22:08:17
プライド @seigo_sin

→ 「対岸? 貴女が私と同じ頂きにいると自惚れているのであれば、自ら教えねばなりませんね。誰が上で、誰が下かと言うことを」 左手の延長上の床に刺さった漆黒の螺旋を抜こうともせずに、男は肘をついたまま続ける。 「『紛い物の罪(ノワール)』――少しでも長く、私に抗ってみせなさい」 →

2013-06-28 22:27:04
プライド @seigo_sin

→ 男の背後。玉座の裏手。先の戦いには無かった異様な存在。 虚空の亀裂もまるで無い綺麗な空間に、『巨大な棺桶』があった。 それは鎖で雁字搦めにされ、時折鳴動している。 ――この世界が、傲慢たる王の作ったものだというのなら、これは、一体何なのだろうか……?

2013-06-28 22:28:21
ウーヌス(インヴィディア) @nobara_sin

自分達の背にある棺桶へ不安げに視線を向けていたが、突如鳴り響いた音にびくりと身を震わせる。空間の――居城の主である紅の傲慢の右側に、佇む姿が一つ。 何故か聞いた事のある傍らの男の冷たい声と、この空間に来た時から鳴りやまない頭痛を堪えながら、来訪者の方を己も、振り向く。→

2013-06-28 22:41:19
ウーヌス(インヴィディア) @nobara_sin

→ まるで、声に導かれるように、自然と、視線をまっすぐに、『黒の傲慢』である彼女の元へ。 どくり。心臓の、音が響く。 ―――何故か、懐かしい声が、した、気がした。

2013-06-28 23:11:38
superbia @takami_sin

『傲慢』たる男の座す、異様な空間。彼の背後にそびえる巨大な棺桶。そしてもうひとりの存在。それが、目に止まった。「……ッ」見間違えるはずもない。今、奴の横に控えているのは。――先ほどの言葉は訂正しよう。皮肉でも『良い趣味』等と言ってやるものか。ひと際強まった赤が、彼を見据えた。→

2013-06-28 23:17:20
superbia @takami_sin

「一つ、聞いてやりますわ。幸運でしたわね、『プライド』? 寿命が数秒延びましたわよ」あくまで口調は軽く。だが、剣の柄を血が滲まんばかりに握る彼女は、明確に怒っている。「『インヴィディア』に何をしましたの」切っ先をはるか向こう、『傲慢』のいる方へ向けながら、スペルビアは問うた。→

2013-06-28 23:21:00
superbia @takami_sin

「我々『黒』の仲間が、あろうことか『紅』になど寝返るはずがありませんわ。ようくそれは知っていますの」インヴィディアが向こうにいるのは自身の意志ではないと、そう確信しているからこその問いかけ。だから、切っ先も意志も、揺らがない。「――『私達』の『インヴィディア』に、何をしましたの」

2013-06-28 23:26:13
プライド @seigo_sin

「――何を、とは?」 男は素っ気無く、それだけ答えた。 「『これ』は、私の『右腕の代わり(ウーヌス)』です。『腕一本』と『黒一人』では、『割りに合わない』でしょう?」 不意に、ウーヌスは感じることが出来ただろうか。王の罪を掴む指が、解(ほど)けている。 →

2013-06-29 00:59:14
プライド @seigo_sin

→ 最早、男にそれを縛るつもりは無いのだ。まるで、『行くのなら行け』と言わんばかりに。 記憶を失った彼か彼女に、それを手繰り寄せる術があるのかどうかは判らないが。 僅かに、彼の左手が自身の失った左眼の瞼を撫ぜた。

2013-06-29 01:24:15
ウーヌス(インヴィディア) @nobara_sin

『インヴィディア』 その言葉に尚更痛みと違和感は酷くなる。懐かしい愛しい響き。魂が願っていた言葉。時計の音が鳴りやまない。 あの燃える様な瞳の色は――そう、王に一瞬重ねた瞳。何処かで見た事のある色。とてもよく知っているはずの。 「だ、れ…?」 痛い。痛い。何が痛い。分からない。→

2013-06-29 01:35:32
ウーヌス(インヴィディア) @nobara_sin

『腕一本』『黒一人』何も感じさせない冷たい声。 ああ、またこの冷たい音に戻ってしまった。違う。知っている。この『意味』を知っている。 この場所をこの空気を、彼を、彼女を知っている 私は『右腕』 欠けた『右腕の代わり』 そう、僕は―――優しいと、自ら言った、彼の右腕を――― →

2013-06-29 01:35:52
ウーヌス(インヴィディア) @nobara_sin

→ 「プライド、さん……僕…私、は……?」 ざわり。ざわり押し寄せる黒。それはとても懐かしい筈のもの。 けれど微かに、其れを淋しく感じる自分がいる。自身に問いかける様、呟き、視線を王へと向ける。微かに声が、震える。 魂が叫ぶ。罪が泣く。帰りたいと愛おしいと。けれど――――

2013-06-29 01:37:57
superbia @takami_sin

「私の、ですって?」眉をしかめる。ああ、そんな言葉を聞く必要なんてない。ソレに意味を見出す事なんて、私はしない。「言うに事欠いてそれですの。だったら――」大剣を掲げる。刹那、いくつもの剣の形をした魔力の塊が、彼女の頭上で形成されていく。もう、言葉でどうこうする時間は、終わりだ。→

2013-06-29 01:50:48
superbia @takami_sin

「この城も、その棺桶も、因果も全て、私が断って!!」ぐ、と右腕に力を込めて。「私達を『嫉妬(あい)』したインヴィディアを!! 私達の許へ連れ帰らせてもらいますわ――ッ!!」言葉と同時、大剣を振り下ろす。それを皮切りに、剣の魔弾が空を裂いて駆けていく。狙いは当然、全て『傲慢』だ。

2013-06-29 01:56:31
プライド @seigo_sin

「ウーヌス」 眼前へと迫りくる、無数の魔弾。 「貴方は、『唯一(ウーヌス)』であるが故に」 それに顔色一つ変えずに、傍らの『右腕(ウーヌス)』へ語りかけた。 「自ら征くべき道を掴み取らねばなりません」 →

2013-06-29 02:30:01
プライド @seigo_sin

→ ずらぁ――と、男の前に漆黒の螺旋が現出する。 そのどれもが獣の咆哮音を発し、魔弾を迎撃していく。 「……さぁ、見せて貰いましょうか。貴女たちに許された強さの真髄、『紛い物(ノワール)』の『傷の舐め合い(キズナ)』とやらを」

2013-06-29 02:38:54
ウーヌス(インヴィディア) @nobara_sin

『ここ(欠けた右腕)が、うぬの居場所である』 『細かい事は言わないよ。帰ってこい』 噛みあわないピース。哀しい理由が分かった。どんなに優しくして貰おうと、僕は本当の『右腕(ウーヌス)』にはなれない。だって私は、僕は『そこ(紅)』へは帰れない 僕が帰る場所は唯一つしか無いんだから→

2013-06-29 03:07:20
ウーヌス(インヴィディア) @nobara_sin

→「―――私は硝子の靴待つお姫様にはなれないし、僕は魔王様から姫君を救う王子にはなれない。僕等は『大罪』でしか無い。それ以外に、なりえない。そうでなければ、出会う事さえ、無かった」 「夢の、お伽話の時間はお終い。…そういうことでしょ…ねぇ、プライド―――僕等は紛い物じゃない」→

2013-06-29 03:07:49
ウーヌス(インヴィディア) @nobara_sin

→頬を伝う涙の意味は理解したくなくても、分かる。大罪であろうと『心』を持っている。それでも『右腕』の時の様に素直に言えないのは、せめてもの、強がり。 最後の最後、何処かで記憶を拒んでいたのは『私』自身―――この人を支えたいと。傍に居たいと一時でも思ってしまった、『僕と私』の『罪』

2013-06-29 03:12:37
superbia @takami_sin

打ち消されていく魔剣。それを前方に見ながら、スペルビアは踏み込む。赤のラインが閃き、銀の影は揺らめく。王座へと駆けていく。手を伸ばさんと。言えないのならば、覚えていないのであれば、引き戻す。私の剣で、私の戦いで。「『夜に咲け焔華』『滅焼の丘』『我が手に明けの光在り』――ッ!」→

2013-06-29 03:21:08
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