第一回大罪大戦《負－１の狭間》【戦闘フェーズ02】

黒の罪の傲慢　ヒュペレーパニア @sin_Shino

戦場に、機械が一機。 歩みに淀みはなく、周囲に“大いなる御業”を展開しつつ、視線は前方を見据えている。 沈黙する機械は一見平静。しかし、それの体を廻る潤滑油は水より重い。思考の水底に沈殿した汚泥の蛇は、とぐろを巻き、今か今かと獲物を待ち構える。

暴食(イストリーブ)の色欲(かあさん) @reclew_sin

「…ここは…」 扉を潜るとそこは今までいた屋敷…ではない。 「…古い洋館…かしら」 通路を歩いていると様々な像が並べられていた…が。 「これはこれは…」 大罪を象徴する動物の像がずらりと並ぶ通路、しかしそのいずれもがその一部であったり像全体を粉々にされている。→

暴食(イストリーブ)の色欲(かあさん) @reclew_sin

→ その中で、唯一無傷な像が一種類。 「…蛇」 確か、象徴する大罪は…『嫉妬』。 どうやらここは嫉妬の大罪の領域ということであろうか。 「どんな素敵な殿方がいらっしゃるのかしら」 こちらが見惚れてしまうような男性に嫉妬の炎を向けられてしまうのも悪くない、女はそう思っていた。→

暴食(イストリーブ)の色欲(かあさん) @reclew_sin

→ 「まぁ、まずはやることをこなしてしまいましょう」 考え事をしているうちに広間に出た。 まずは毒の香でも焚くとしよう、それから自分の周りに罠を仕掛けなくては。*

暴食(イストリーブ)の色欲(かあさん) @reclew_sin

「…ふふっ」 自身の唇に毒の紅をひき手鏡で自身の顔を確認する。 周りには毒の香も満ちて肌を刺す痛みで魔力も潤沢だ。 「…さて、今回はどうなるかしら」*

黒の罪の傲慢　ヒュペレーパニア @sin_Shino

洋館。様相は虚の世界のそれに似ているかもしれなかったが、機械には何の感慨も浮かばかなかった。 思考は一つ。 見敵必殺(サーチ・アンド・デストロイ)だ。 洋館の暗闇に潜み、獲物を探す。狩人の視線は鋭く、強い。

暴食(イストリーブ)の色欲(かあさん) @reclew_sin

「…一つ、二つ…」　罠も造り終えて広間を陣取る女は慣れないながらもこの洋館の中の気配を探り始めた。　かすかに、感じ取れた中では気配が二つ。　「…二人がかりか、もしくは三つ巴ということかしら…」　自分達は3人分かれて扉を潜ったのだ、おそらく仲間などいないだろうと女は思った。*

黒の罪の傲慢　ヒュペレーパニア @sin_Shino

「『P90』」 短機関銃を構え、機械は屋敷を歩く。 壊れかけの像、荒らされたような室内、どれも機械の興味を誘わない。 大広間に差し掛かった時、機械の嗅覚組織に反応があった。 ……僅かな、刺激臭。 並の人では感じ取れないくらい薄められた薬物。それでいて致死性を失わせない高度な調合。

黒の罪の傲慢　ヒュペレーパニア @sin_Shino

機械の身で無ければ、散布された薬物の毒性にやられていただろう。まるで蛇がするりと蛙を呑み込むように。敵は、確実に手練れだ。 警戒をしつつ大広間に続く扉を開け、侵入する。 そこに居たのは、見覚えのある人物。 「お久し振りです。色欲様」 機械は奇襲を掛けなかった。何故かは、知らない。

暴食(イストリーブ)の色欲(かあさん) @reclew_sin

@sin_Shino 「…あらあら」　女は驚愕の表情を浮かべた。　何せ敵にやられたであろう者がそこに立っていたから。　しかし向こうはカラクリ、霊魂等は存在しないものと思っている。　―――で、あるならば。　「…裏切ったのかしら？」　女は変わらずキセルから紫煙を燻らせそう問うた。

黒の罪の傲慢　ヒュペレーパニア @sin_Shino

「いえいえ、私は裏切るなど。ただ黒の方に黒の世界見学ツアーに誘われたので応じただけですとも。結論から言いますと大変有意義な経験でありました」 機械は軽機関銃を色欲の足元に放棄。同型の銃を新規に生成しつつ、 「今度は紅の世界も見てみたいところですねえ」 そう、呑気に言う。

暴食(イストリーブ)の色欲(かあさん) @reclew_sin

@sin_Shino ―――女は警戒した。　カラクリというものは何を考えているかわからない。　事実、このカラクリに出会ったときからその言動にはよくわからない点が多々見えた。　相変わらず底の知れぬカラクリだ。　「…あら、鉄砲なんて投げて寄越して…どうしろというのかしら？」

黒の罪の傲慢　ヒュペレーパニア @sin_Shino

「こうします」 機械は銃口を放棄された銃に向けた。 発砲。 撃ち出された銃弾は過たず機関銃の中心、透明なマガジンを砕く。火花が散り、内部の薬莢に引火。 暴発。衝撃に耐えきれず銃全体が破裂、四散した。 そして力の奔流は放射状に拡散する。推進力を得た鉄片がまず襲うのは、色欲の足。

暴食(イストリーブ)の色欲(かあさん) @reclew_sin

「っ！？」　それは突然の出来事だった。　あまり近代の兵器に詳しくない女にはよもや鉄砲そのものが爆発するとは思えなかったのだ。　突然の破裂音、飛び散る鉄片…女はそれを避けることが叶わなかった。→

暴食(イストリーブ)の色欲(かあさん) @reclew_sin

「…んぅっ！」　痛み、快楽が女の思考を支配する。　しかしそれはいつもの快楽ではなかった。　「…言わなかったかしら、私女から直接与えられる快楽はそこまで好きではないの」　幸いそこまでひどい傷でもなかったので治すことはせずに放置する。→

暴食(イストリーブ)の色欲(かあさん) @reclew_sin

「…でも、そうね…あなたはカラクリだから…」　女の視線に殺意が宿る、相手を敵だと認識したようだ。　「オモチャ遊びだと思えばいいかしら、一人遊びの域を出ないのが残念だけど…おいでなさい、遊んであげるわ？」　キセルを咥え直し女は機械にそういった。　

黒の罪の傲慢　ヒュペレーパニア @sin_Shino

足は潰れただろうか。 色欲が何か言葉を呟いていたが、 ――任務に、支障はありません。 「『PS90』」 もう一丁を生成。両手を色欲に向けて、 「私は、『色欲』(貴女)を妬みます」 撃つ。

暴食(イストリーブ)の色欲(かあさん) @reclew_sin

「そう…其れが『貴方』なのね」 銃弾をかわしながら服の袖を探る。 相手はカラクリだ、生半可な攻撃では通用しない…ならば。 「これで…！」 爆薬をとりだし投げつける。 願わくばこの攻撃を避けて罠のある場所へいけばまだ…！

ルージュのエンヴィー @not_must_sin

──遅れて、戦場へ足を踏み入れる。蛇の彫像だけが残された洋館で、既に戦闘は始まっていた。 「なにあれ、ロボット……？」 生物以外のものが大罪を名乗っていることに驚いたものの、この空間には大罪のみしか入れない。即座にエンヴィーはロボットと、その対戦相手の二人を敵と認識した。→

ルージュのエンヴィー @not_must_sin

「『色欲様』…てことはあの人間が色欲の『紛い物の罪』。で、アイツが…」 色欲と対峙している機械へと眼を向ける。確認せずともわかる。 「──嫉妬、か」 一目見たときから胸中に沸き上がる不快感は、かの機械が自分と同じ罪を冠している存在であることを示している。 「気に食わないなぁ……」

暴食(イストリーブ)の色欲(かあさん) @reclew_sin

「…ちっ」　近くにいる気配が一つ増えた。　しかし女はゾクゾクするような快感の影さえも感じれずにいる。　これはつまり―――　「やれやれ、今日は殿方と素敵な殺し合い《ダンス》をすることは出来ないみたいね」　気配は未だに視認できない。　毒で近づけずにいるのだろうか。

黒の罪の傲慢　ヒュペレーパニア @sin_Shino

二つの機関銃が火を噴く。しかし、弾丸が色欲を捉えることは無く。 速い。思うのはそれだけだ。 色欲より物体の投射を確認。中身は分からないが、捨て置いて良いものではない。 「迎撃」 撃ち抜く。直後、視界がが赤と黄色に弾けた。 「――！？」 爆発の規模は、小さく動作に支障はない。 が、

黒の罪の傲慢　ヒュペレーパニア @sin_Shino

「煙……」 広間が白くけぶる。それは色欲の爆薬がこちらへの物理的な損傷を狙ったものでなく、 「狙いは、私の視界を奪うことでしたか」 センサー類は生憎と故障中だ。闇雲に動くことは危険と判断。待機。 何も、見えなくなる。

暴食(イストリーブ)の色欲(かあさん) @reclew_sin

「…あら」　カラクリからの攻撃が止んだ。　カラクリだから目が見えなくても何とかしてくるだろうと思ったがこれは嬉しい誤算だ…が。　(近づくのも危険か…)　あのカラクリに近づいて拘束等されても面倒だ、ならばこのまま近寄らずに進めるが吉―――　→

暴食(イストリーブ)の色欲(かあさん) @reclew_sin

→相手はカラクリ、吸引型の毒は効かない…しかし。　(これならどうかしら？)　服の袖から薬瓶を取り出し投擲する。　複数の瓶をまとめて投げ、更に袖から取り出したトゲ付きの鉄球で瓶を破壊する。　瓶の中身は…高濃度の硫酸。　これで溶けるなりして相手にダメージが出ればまだ勝ち目はある…！