気分転換・小ネタ連載BLじゃないよ！まとめ

深月織@4/30まで @mitsukisiki

真夜中の小ネタテロを始める。

深月織@4/30まで @mitsukisiki

１）足元がパッと光って気がついたら見覚えのない場所にいた。周りを囲むふぁんたじーな人々。こちらに好奇や畏怖の目を向けてくる。はいはいテンプレテンプレ、ある界隈で盛んな異世界召喚とやらですね、で、要求は何ですか？「――よくぞ参られた姫巫女……殿？」うん、悪いが俺は男だ。#notBL

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２）俺が召喚された世界は、滅びに晒されていた。「私と、異界より招いた姫巫女の間に産まれた子が救世主になるらしい」沈痛な面持ちでそう告げたのはこの世界の王様。俺よりいくつか年上のカリスマ金髪イケメンでした。俺たちは眉間に同じ皺を刻み顔を見合わせる。……どうしろっつーの？#notBL

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３）念のために言うと俺も王様も女っぽさとは程遠い容姿だ。まあ俺の方が多少背は低いが。たぶん年齢のせいきっと人種のせい。ないわー、と二人ともが思いながら、一縷の望みをかけて訊ねる。「……もしかして雌雄同体とか？」「実はやっぱり娘御ではないのか？」声が重なった。ないわー。#notBL

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４）ハッと閃く。「人違いだ！」「それだ！」俺たちの心は今一つになった。白い服を着た爺さんが安堵の表情で確認してくる。「姫巫女は体の一部に御印が現れます。貴殿に於かれましては」「うんうんないな……あった」左腕に燦然と輝く身に覚えのない楔模様。>>>ちょっと待てい。#notBL

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５）残念なお知らせdeath。姫巫女が使命を果たさない限り帰る道は開かれないし世界も滅ぶんだってさ！一つだけいいこと、滅びの兆候は緩やかなので俺たちの寿命内にそれが訪れることはないそうなんだ！子孫の時代だね！よかった！　い　い　わ　け　あ　る　か　い　。#notBL（つづく）

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６）そもそも誰が『国王と姫巫女の(ry』と言ったかというと、神様だってー。世界中の神官にお告げがあったんだってー。ちなみに王様も神官。本人から聞いてるしこりゃ間違いないよってことで、神に教わった召喚術を行使して、現れた俺十八歳男子・姫巫女()。責任者呼んで責任者ー！#notBL

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７）望みをかけて喚び出したのが俺だったもんで、ショックを受けたのか周りにいた人々がバタバタと倒れていた。召喚術で気力を使いきったためだろう、と本人も倒れたそうな顔で王様が俺に説明した。なんかすいません。肩書き詐欺ですいません。俺のせいじゃないのに理不尽な罪悪感。#notBL

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８）客室に案内され、大変けしからんお胸の女官さんにお茶を淹れていただいて一息つく。「我らの都合に巻き込んでしまい、申し訳ない」深々と頭を下げた王様はきっと苦労性。「……いや、俺も男で申し訳ないです」トホホな笑みを同時に浮かべた俺たちに、妙な連帯感が生まれた瞬間だった。#notBL

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９）ヒエラルキーでいうと、姫巫女/俺は神の次に位するらしい。王様も同位。畏まらず接してほしいと言われ、タメ口呼び捨てＯＫということで、カイと呼ばせてもらう。うん、カイザーディル・エリンフォリア・寿限無な名前で呼べとか言われても舌噛むし。文字数に優しい俺たちです。メタ。#notBL

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10）遅れて部屋にやってきた宰相さんとかお偉いさんたちと改めて自己紹介し、詫びを受け入れて関係を整える。さっそくこの状況を打破できないものか話し合いをはじめた。俺は合理的な男だ。クヨクヨ鬱々するのは性じゃない。前のめって行こうゼ！……ええ実はまだ混乱してますよ。#notBL

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11）仕方ない、これだけは言いたくなかったが。「TS系の魔法とか魔術とかないの？ものすっ…(溜め)…っごく不本意だけど、それで譲歩してやってもいいけど」上から目線？ナニソレオイシイノ？家族も友人もいない場所で一生を終えること考えたら、なんだってやったらぁ！#notBL（つづく）

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12）結論。性転換の魔法はありませんでした。言い出したのは俺だが正直ホッとした。いくら相手がイケメンで性格も悪くなさそうだといっても嗜好はノーマルなのでな！ふわふわぷにぷにおにゃのこダイスキです！……で、結局どうしろっちゅーの？この事態。#notBL

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13）神様のお告げですって言われても八百万の神が集う国出身の俺、よく言えばおおらか、悪く言えば適当な宗教観しかない。なんとかツッコミ所がないものかと再度カイに確かめる。神様、何て言ったのよ？という俺の問いかけに、彼は重い口を開いた。#notBL

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14）『ゴメーン☆世界循環のプログラミング、うっかりミスっちゃった！このままだとそう遠くない未来に世界が滅ぶから、助っ人召喚しちゃって！世界王と助っ人姫巫女たんが交配したらなんとかなるなる！生まれる神子たんがなんとかしてくれるぅ！』殺意を覚えた俺に罪はないと思う。#notBL

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15）額合わせて抜け道をさぐる。バ神が指定したのは『世界王』で『カイ』個人じゃないから、緊急措置的に俺と子作りできる女王様を置いたらいいんじゃね？と誰もがまず思い付くだろう提案をしてみた。……ところがですよ。ゴルァ！神出てこんか！責任とりやがれテメェ！#notBL

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16）世界王っていうのは文字通り世界の王様でした。わかりやすい例えで言うと空気清浄器？この世の中心で愛を叫んだりはしないが存在するだけで調和を保ち気の流れを整える者をそう呼ぶ。創世からの血を継ぐ一族にしか生まれないんだって。つまりカイのご家族さんだな。#notBL

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17）「カイにお姉さんとか妹いる？」おい、そっぽ向くんじゃねえ。死んだ魚の目をした奴が言うところによると。一族は男系で生涯に伴侶は一人だけという一途な質でさらに子供が生まれにくく――現在、両手の指で足りる人数しかいないしみんな男だよ！誰、こんな設定にしたの。#notBL（つづく）

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（18）詰んでいる。大のオトナが雁首揃えてうちひしがれる様をどう例えればいいのか。ちっとも打開案が見出だせず、何か言っては即否定されて、俺もグレぎみだ。ちょっとォーマジでェー神ィー責任とってよォー。ウザイ同級生の真似でもしそうになるくらいグレグレだ。#notBL

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（19）「彼が神の選ばれた姫巫女だということは覆らぬ。女王を立てるしかなかろう」「こうなれば陛下に一刻も早く次代をもうけて頂かなくては」「女系の娘はおらなんだか」「そう簡単に姫がお生まれになれば苦労はない」「万が一にでも賭けるしかなかろう！」オッサンたちの会議は続く。#notBL

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（20）俺ロリコンの危機!?とか、この他力本願め！とか、ツッコミたいことは多々あれど、とりあえず。「目の前で堂々の種馬扱いとかどうよ……」大人になりすぎると気遣いとかデリカシーとかどっかに置き忘れてくるんだろうかね。ぼやいた俺に、カイが苦笑した。#notBL

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（21）「言葉を飾ったところで私の役割は変わらんからな。ヨウには災難意外の何物でもなかろうが」達観していると言うかなんというか、アレだ、諦めてるのか。瞳に映る諦観が、なんとも不憫……。そうだよなー、俺が女だったら好悪関係なく子作りルートだったんだよなー……恐。#notBL

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（22）会議が踊って仕方ないのでひとまず解散。用意された部屋はカイの私室の隣。思わずええんかいとエセ関西人になりかけたが、警備の都合上固まっていた方がいいと。まあ確かに。みんなの期待を背負った姫巫女・俺！ってことで、なにかこう来ちゃった人もいるだろうしね、うん……。#notBL

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（23）正直なところ、俺に永遠のお別れを告げて新しい真・姫巫女を喚び出そうとする者もいるだろう。世界の滅亡より先に心労で過労死しそうな風情のカイに協力したいとは思うが、いのちだいじに！でいざとなったら雲隠れすること考えておいた方がいいだろうなあ。#notBL（つづく）