茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第981回「日本を、肯定しよう」

脳科学者・茂木健一郎さんの7月11日の連続ツイート。 本日は、このところずっと考えていたことについて。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

東の窓が明るくなってくると、自然に目がさめてしまうんだよね。

2013-07-11 05:33:12
茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第981回をお届けします。文章はその場で書いています。本日は、このところずっと考えていたことについて。

2013-07-11 06:52:33
茂木健一郎 @kenichiromogi

にこ(1)先日、ある会合で、こんなことを言う方がいらして、なるほどと思った。二十代の人。「私たちよりも上の人たちは、ヨーロッパやアメリカへの憧れが強かったと思うんですけど、私よりも下の人たちは、むしろ、日本をなんとかしたい、という気持ちの方が強いようです」。

2013-07-11 06:51:40
茂木健一郎 @kenichiromogi

にこ(2)また、こんなことを言う人もいた。「私たちは、子どもの頃から、ダメだ、ダメだと言い続けられてきて。自分たちもゆとり教育でダメだし、日本も失われた二十年でダメだし、一度も、自己肯定感を持てたことがない」そんな、話を聞いているうちに、私の中で腑に落ちたことがあった。

2013-07-11 06:53:55
茂木健一郎 @kenichiromogi

にこ(3)自己肯定感を持てるということは、人間にとって基本的条件である。根拠のない自信を持つ。それを裏付ける努力をする。その姿勢さえできていれば、社会の状況がどのように変わってしまったとしても、自分を保つことができる。組織や肩書きといったものに頼らずに、進むことができる。

2013-07-11 06:55:08
茂木健一郎 @kenichiromogi

にこ(4)ところが、根本的な自己肯定感情が足りないと、いろいろ困ったことが起こる。無気力になってしまうこともあるし、逆に、何か大きなものに包まれることで自分を肯定したいという衝動も起こる。大きなものは、イデオロギーかもしれないし、宗教、あるいは国家かもしれない。

2013-07-11 06:56:10
茂木健一郎 @kenichiromogi

にこ(5)このところ、そんなことをいろいろ考えているうちに、今は、日本のことを否定したり、ダメだと言ったりするような時期ではないと考えるに到った。もちろん、改革が必要な点、行動が求められる側面については、全力で動く。しかし、その時に、日本についての自己肯定の感情が必要な時期。

2013-07-11 06:58:52
茂木健一郎 @kenichiromogi

にこ(6)いわゆる「ネトウヨ」と呼ばれる(おそらく)若い世代とも、ツイッターなどを通していろいろやりとりしてきたけれども、同じ日本人として向き合う時に、国際的な標準の知性はこうだとか決めつけることでなく、君たちはそんなことをしなくても素晴らしい、と肯定することから始めたらいい。

2013-07-11 07:00:49
茂木健一郎 @kenichiromogi

にこ(7)子ども時代に「安全基地」が確保され、「根拠のない自信」という自己肯定感情を持っている人には、いくらでも批判というビーンボールを投げてもいいけれども、そこが欠けている人には、むしろ、君はムリをしなくても大丈夫だ、というメッセージを伝える方がいい。日本は、そういう時期かも。

2013-07-11 07:02:30
茂木健一郎 @kenichiromogi

にこ(8)サザンの『ピースとハイライト』にも、現代史の前で授業が時間切れになるという歌詞があったけれども、日本は、日中戦争から第二次世界大戦に到る道で大きなトラウマ(加害者としても、被害者としても)を抱えていて、健全な自己肯定感情を持つことができなかった、というのが恐らく真相。

2013-07-11 07:04:14
茂木健一郎 @kenichiromogi

にこ(9)差別や排外主義といったネトウヨの言動を直接批判するのではなく、日本の文化や歴史、可能性について、まずは健全な自己肯定感情を取り戻すことが、多様性や他者との向き合いといった豊饒に到る道なのではないか。他者への攻撃は、自己肯定感情の欠如から生まれることが多いのだから。

2013-07-11 07:07:15
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第981回「日本を、肯定しよう」でした。

2013-07-11 07:07:35