浅い水域が有機汚濁解消のために重要だということ

海の日に「水質浄化に良い」という大変な誤解のもとにEM菌が川や海に投入されてしまいました。 濁った汚い川や池や海をきれいにしたい、という人々の善意は、しかし、EM菌では報われません。 濁っている(有機汚濁)閉鎖水域についての連ツイを、ぶたやまさんがまとめて下さいましたので、その続編の連ツイをまとめてみました。 ぶたやまさんによるまとめはこちら。 続きを読む
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飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

さーて、今日は1時限目は休講だし、洗濯も一部(!)済んだし。有機汚濁についての連ツイはじめます。「暇なの!?」と思った方、大正解! はい、今日の午前中は暇です。暇バンザイ♪

2013-07-17 10:11:34
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

閉鎖水系、つまり池や沼、湖、それから完全に閉鎖とはいえないけれど陸に入り込んだ内湾などでは、そもそも陸域起源の有機物は溜まりやすく、植物プランクトンも増えやすい状態にあります。ただそこへ人間が家庭排水や農業排水(特に酪農関係)を流し込んでしまうことによって富栄養化が進行。

2013-07-17 10:14:11
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

富栄養化が進行しすぎると有機汚濁が起きるわけです。適度に水中に有機物やリンや窒素があり、適度に植物プランクトンが増殖するだけなら、動物プランクトンも二枚貝もこれらを食べる魚なども増えますから、富栄養が進行しすぎなければ生き物で賑わう豊かな水辺だったのです。

2013-07-17 10:16:46
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

栄養豊かな閉鎖水域では、にぎわう生き物たちを食べる他の生き物たちもやってきます。プランクトンを食べる小魚をカイツブリやサギが狙います。プランクトン食の二枚貝をスズガモやアカエイが食べます。

2013-07-17 10:22:38
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

植物プランクトンの親戚、リンや窒素を使って泥や砂の表面で育つ付着微小藻類も、生物にとって重要な栄養源。干潟ではゴカイ類や巻貝類、二枚貝もこれを食べます。ヨコエビという小さな甲殻類も、付着微小藻類やもう少し大きい藻類を食べて育ち、魚や小型のシギ・チドリに食べられます。

2013-07-17 10:25:03
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

そしてもちろん、我々ヒトも、閉鎖水系を主要な漁場としてきました。プランクトンを食べるイワシやサヨリ、アサリやトリガイやアカガイやバカガイ(アオヤギ)。ゴカイや小さい貝やクモヒトデを食べるカレイ。小魚を食べるマゴチ。ああ、書いてたら食べたくなってきた。マゴチは夏の味覚ですよ!

2013-07-17 10:28:23
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

閉鎖水系は、特にその浅い場所(湿地や干潟)は、こうした生物の宝庫ですし、また少し深い場所に棲む魚やイカなどが産卵する場であったり、それらの子どもが育つ場であったりします。ではなぜ浅い水域に生物が多いのでしょうか。

2013-07-17 10:31:53
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

一番の理由は、食物が多いから。富栄養化した水域は植物プランクトンが多くて濁るので、深い所まで充分に光が届きません(表面で植物プランクトンが光を吸収して光合成しちゃうからです)。一方、浅い所では光が届きますから、砂や泥の上の微小藻類も充分光を浴びて育つことができます。

2013-07-17 10:33:50
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

水深2 mとか4 mとか、そのあたりまでも(赤潮状態がひどくなければ)光は届くので、淡水では水草が、海では海草や海藻(この2つは全く違う生物です)が繁茂します。

2013-07-17 10:35:52
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

一方、水深が深い場所では水底に光が届きにくく、水底に生息する生物にとってはあまりご飯のない環境と言えるでしょう。

2013-07-17 10:36:56
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

干潟や湿地、それからごく水深の浅い場所では、植物プランクトンの他に付着微小藻類、海草や水草や海藻など、色々なタイプの光合成生物が揃っています。そのため、どれを食べる生物もそこで暮らせるわけです。

2013-07-17 10:40:19
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

植物プランクトン、付着微小藻類、海草、海藻、水草など、光合成する生物は、光のエネルギーと二酸化炭素で有機物を作り出しますから、「一次生産者」と呼びます。陸上植物も(木や草や野菜も)一次生産者。

2013-07-17 10:46:35
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

一次生産者がいなければすべての動物はアガッタリです。ご飯がない。「野菜や米がなければステーキを食えばいいじゃないか」と思ったそこのアナタ。ステーキの元の牛さんは植物(一次生産者)を食べなきゃ育たないのですぞよw 我々動物は一次生産者が光合成などで作り出す有機物に依存しています。

2013-07-17 10:50:37
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

まあそんなわけで、光合成などで二酸化炭素から有機物を作り出す一次生産者のことを「独立栄養生物」、我々動物やキノコのように一次生産者の作った有機物を直接・間接に食べている連中のことを「従属栄養生物」と申します。…というと、「従属…orz」とガックリする学生も出たりしてww

2013-07-17 10:57:46
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

@anhebonia さんからの今朝のコメント、「浅い水域は窒素の供給源でもある」というのは、つまり、浅い水域は生物で大賑わいしているので、その生物そのもの、その死骸、その排泄物は結局は窒素やリンの大きな供給源になっているよね、ということです。じゃ、生物がいたらダメなの?

2013-07-17 11:00:30
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

いえいえ、そういうわけではありません。(@anheboniaさんも分かりつつ突っ込んで下さったのだと思います)浅い水域の小さな生物は何に食べられるのでしたっけ? 中型の魚。鳥。ヒト。地域によってはヒト以外の哺乳類も加わるでしょうね。

2013-07-17 11:05:20
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

海の場合、中型の魚は少し沖で大型の魚に食べられ、大型の魚は湾を出てどこかに回遊するのかも。鳥は水辺でカニやゴカイや小型甲殻類を食べた後、陸上で糞するし子育てもします。ヒトやその他の哺乳類も主な生活の場所は陸上ですね。

2013-07-17 11:07:11
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

つまり富栄養水域の窒素やリンは、生物の体に以降し、それが他の生物に食べられることによって陸上や外洋などの「系外」に出るわけです。

2013-07-17 11:09:08
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

閉鎖水系の有機汚濁を何とかするためには、流入する有機物や窒素・リンを減らし、水系の中の有機物や窒素・リンを取り除くことが重要です。鳥や大型魚類やヒトなどは、閉鎖水系の生物を食べることによって、有機物(及び窒素とリン)を水系の外に取り出しているわけです。

2013-07-17 11:12:52
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

従って、富栄養化した閉鎖水系では、光の充分当たる浅い水域(干潟や湿地を含め)に多様な生物が数多く生息していることが大事なのです。

2013-07-17 11:14:29
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

だからこそ、干潟や海草藻場などの浅い水域が重要です。水辺の葦原などは、生物の生息域として、また水鳥などが身を隠す場としての機能があります。

2013-07-17 11:17:30
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

さて葦原ですが、もしその閉鎖水域で有機汚濁がひどくてなかなか解消できないようであれば、例えば水辺に葦を増やしてその葦の中に窒素やリンを吸収させ、充分育ったところで刈り取り、陸上に窒素とリンを上げてしまう、という方法もあります。

2013-07-17 11:22:38
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

刈り取った葦の利用方法は、ぱっと思いつくのは「よしず」でして、こういう活動をしている地域はあるはずです。ただ「よしず」ばっかりそんなに大量にはいらない…、という問題点も出るかもしれませんね。

2013-07-17 11:25:21
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

葦を刈り取る労力と作品にして販売・配布する労力、どれもとても大変なことだと思いますが、有機汚濁解消のために意味のある活動です。そこがEM菌活動と全く違うところ! 活動するなら意味のある活動でないと。

2013-07-17 11:26:59
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

有機汚濁解消のために、浅い水域が果たす役割は、生物が多い→鳥やヒトに食われて系外へ窒素やリンが移行、というだけではありませんが、もうじきお昼なので、続きはまた明日にでも。実は干潟などは水中から窒素を除去するスゴイ役割があるのです。

2013-07-17 11:29:10