みなさん、Intel Atomという低消費電力プラットフォームをご存じですか。今ではタブレットやスマートフォン、PCやマイクロサーバーに入っているので一度はその名を聞いたことがあると思います。
2013-07-30 22:02:33最初にその存在が公になったのは2007年4月のIDF。当時のIntelのモバイルデバイス部門の代表チャンドラシーカ氏が持ってきたPSPのような形状には、新しいCPUが入っていました。名前を「Slverthone」といいます。
2013-07-30 22:09:50IntelにはUMPCなどの小型PC向けとして、「LPIA」と呼ばれる区分の超低消費電力CPUがありました。当時のLPIA向けCPUとして、「Intel A100」というものがあり、これはモバイルノート向けのCeleron Mを定電圧で動かすことで低発熱を実現していました。
2013-07-30 22:13:55SilverthoneはA100に使われた「Dothan」マイクロアーキテクチャ、そして当時主流になりつつあった「Core」マイクロアーキテクチャのCPUとは決別し、完全に小型機器、低消費電力向けに作成されたCPUです。「Bonnell」というCPUコアを中心に構成されています
2013-07-30 22:17:41SilverthoneというCPUとPoulsboというチップセットを合わせたプラットフォームは画期的でした。IntelはUMPCとMID(モバイル・インターネット・デバイス)という二つの適用先を想定していました。MIDとは簡単に言えば出先でインターネットを閲覧できる携帯機器です
2013-07-30 22:22:42また、Silverthoneの設計を流用し、廉価なPCに使用するための派生CPU「Diamondville」も開発されました。トランジスタ数はCore 2 Duo CPUの約4分の1しかない廉価なCPUです。これは、一般のセカンドPC向けの需要が想定されました。
2013-07-30 22:27:172008年のIDFで「Silverthone」と「Diamondville」用プラットフォームの名称が正式決定され、「Atom」と名付けられた事が明らかとなりました。同時にPCメーカー各社から搭載製品が多数発表されました。
2013-07-30 22:30:31SilverthoneとPoulsboを使用したAtomは「Menlow」と呼ばれ、今まで考えられなかったような小型のPCが多数世に出ることになりました。例えばSONYのVAIO P、富士通のLOOX Uなど。当時主流になりつつあった高画質動画の再生支援機能もありました。
2013-07-30 22:37:44もう一方のDiamondvilleを語る前に、「ネットブック」と呼ばれたPC群の話をしましょう。ネットブックとは、構成を限定した廉価な小型ノートPCの事です。COMPUTEX TAIPEI 2007で台湾のASUSが「200ドルのPC」を標榜する「Eee PC」を発表しました。
2013-07-30 22:53:04Eee PCはアンダークロックしたCeleron Mプロセッサと7型液晶を搭載していました。発表と同時に話題となり、発売と同時に大量に市中に溢れました。当時は一般的なノートPCでも800ドル以上、モバイル向けノートPCなら200ドル以上していた時代です。
2013-07-30 22:59:22Eee PCを基本として、廉価な小型PCが各社から発売される運びとなりました。この流れの中で発売された一連の小型ノートPCを「ネットブック」といい、その中核を成す廉価なCPUが「Diamondville」でした。台湾や米国、日本の大手PCメーカー、中国のメーカーも加わりました。
2013-07-30 23:05:13日本では工人舎がMenlowを搭載したノートPCを多数リリースしていました。タッチパネルやワンセグなども搭載しており、この時期の代表的なモバイルPCの内の一つとなっています。
2013-07-30 23:09:42しかし、ネットブックの氾濫には大きな問題がありました。一つは性能が低かったこと。もともと、Atomなどの小型機器で動かす事を目的としたMeeGoと呼ばれるLinux OSなどが用意されていました。Windowsでの動作は一般的なCPUに比べけして満足いく速さではありませんでした。
2013-07-30 23:17:29もう一つが、もともと想定していた上位CPUなどの市場を食い荒らしてしまっていたこと。氾濫によって価格が下がり、本来一般PCで得られる利益が得られなくなっていました。
2013-07-30 23:20:59Intelはこの動きに対し、Coreマイクロアーキテクチャで廉価な「CULV」と呼ばれるCPU群を投入することによって解決を図ります。CULVは、技術の向上によって廉価に大量生産できるようになった低電圧版Coreプロセッサで、廉価ながらも性能は高いモバイルPC用CPUでした。
2013-07-30 23:25:26Diamondvilleを起点とした廉価PC用Atomプラットフォームも目的を再設定して更新が始まります。まず第一段階が「Pine Trail」です。「Pine Trail」は第二世代の廉価PC用Atom プラットフォームとして2009年12月に発表されました。
2013-07-30 23:29:47Pine Trailは「Pineview」CPUと「NM10(Tiger Point)」チップセットで構成されています。旧世代ではCPUとは別だったノースブリッジ機能がCPUに統合され、CPUとGPU、メモリコントローラがオンダイで搭載された初のCPUとなりました。
2013-07-30 23:34:01電力を消費するノースブリッジが統合されたことにより、Pne Trailは旧世代のプラットフォームより省電力なものとなりました。N455/N475からDDR3メモリにも対応し、性能向上が図られています。
2013-07-30 23:37:45N550からはデュアルコアプロセッサも登場し、問題だった性能の低さにもある程度解決が図られています。そうした改良の上でPine TrailはCoreプロセッサでは難しい価格帯のネットブックや、低発熱が要求されるデスクトップPC向けとして発展していくことになります。
2013-07-30 23:51:19一方UMPC/MID向けの「Menlow」は長い間更新はありませんでした。モバイルPCの一翼を担うであろうと予想されたMIDが泣かず飛ばずの状況で、リリースされるマシンがほぼUMPCや小型ノートPCだけであったためです。
2013-07-31 00:00:31しかし、搭載されるOSがWindows XPからVista、7になり、より小型の機器や新型のI/Oなどへの対応も必要になってくると、Menlowにも更新の時がやってきます。2011年4月にIntelは新しく「Oak Trail」を発表しました。
2013-07-31 00:03:32MenlowからOrk Trailへの変化は廉価PC用Atomと似ていて、CPUへのGPUとメモコンの統合が主なものです。しかし、既に市場を席巻していた各種スマートフォンやタブレットなどのスマートデバイスに押され、市場に出たOak Trailの搭載機はわずかしかありません。
2013-07-31 00:09:50