第二大罪大戦:紅陣営第一期交流フェイズ・ログ

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『   』 @Ssace_sin

とん、とん、と、軽い音を立てて、大広間に中央に鎮座する円卓、その七つの席の一つ一つに、駒を置いていく。 蛇が絡み付いた塔は『嫉妬』。断崖で吠え立てる狼は『憤怒』。洞穴から這い出る熊は『怠惰』。灌木に身を潜める狐は『強欲』。得物に群がる蠅は『暴食』。暗がりから身を現す蠍は『色欲』。

2013-07-28 15:05:35
『   』 @Ssace_sin

最後の席には、駒の代わりに椅子に獅子のぬいぐるみを据えて、少年はまだ誰もいない大広間をぐるりと見渡した。 「うん、うん」 ちゃんと整った円卓。準備された食事。大丈夫、そう頷きかけて、兎を抱えて首を傾げた。 「……うん?」 なんだかなにか一つが足りない。なんだっけと、考えて。

2013-07-28 15:05:36
『   』 @Ssace_sin

「……チェスの駒!」 思い出したと、声を上げる。そのままくるりと身を翻して、大広間から回廊へと繋がる扉を、潜ろうと。

2013-07-28 15:05:37
紅の嫉妬アンヴィ・ナルシス @HeNotShe_Envie

ゆらゆらと光る水面を見上げて、手を伸ばした。ここは水底。僕が静かに眠っていられる、唯一の場所――だったはずだ。何故、僕の目に光が映るのだろう。優しく冷たい水底を離れ、僕は嘘つきな世界へと浮かび上がる。水仙の咲く湖から現れたのは、心の芯まで冷えきらせた、美しい青年(ぼく)の姿。

2013-07-28 15:06:27
リコリス @actAcedie

のろり、と。緩慢な動作で顔を上げる。しゃらり、と。銀糸の髪が肩から落ちた。長さの不揃いな髪は纏まりもなく、たださらさらと落ちる。「――面倒、臭い」ここは、どこで。なんだったっけ、と。ねむい、ただ、ねむい。なんでもいい、ねむれる、場所を。のろのろと、歩みを進め。

2013-07-28 15:15:18
----- @ssdmt_sin

そっと瞼を開けた。茫洋として定まらない意識で、それでもわずかに体を動かせば衣擦れの音。どうやら、ずいぶんと長い間眠っていたらしい。それはいけない。わたしは怠惰ではないのだ。わたしは怠惰ではない。そう、わたしは色欲だ。己が何者かを認識して、ようやく身を起こした。

2013-07-28 15:17:35
----- @ssdmt_sin

はら、と広がる金の髪を背中に流して立ち上がる。部屋に姿見はないので、目視で自分の身なりを確認する。うん、よし。これはわたしだ。一人で納得して、部屋を出た。

2013-07-28 15:22:13
『   』 @Ssace_sin

浮かび上がる色んなものに、少年は扉の前で嬉し気に一人笑みを浮かべて。 広い廊下へと出る。明るい城の中を、それでも人気のない中を駈けて。まず向かったのは、透き通った水面を湛える湖で。 水仙に彩られた風景の、その中の一人を見つけて。少年は、満面の笑みを浮かべた。 「——アンヴィ!」

2013-07-28 15:28:59
----- @ssdmt_sin

部屋を出て、広く長い廊下を歩く。かつんかつんかつん。歩きながら考えを巡らせる。この城の主は、ちいさな我らの傲慢はどこにいるのだろう?かつんかつんかつん。思考を続けながら辿り着いた先は大広間。円卓の上に置かれた駒を見て、そっと目を瞬かせた。蛇、狼、熊、狐、蠅、蠍と、椅子に置かれた→

2013-07-28 15:42:48
紅の嫉妬アンヴィ・ナルシス @HeNotShe_Envie

ぽたり、ぽたり、雫を垂らしながらぼんやりと立ち尽くしているところに、声。僕の名前を呼ぶ。鈍い動作で振り向いて、作った微笑みを向ける。 「やあ、オルグイユ。僕の小さな傲慢。久しぶり。まだ頭がぼんやりとしているけれど」 顔にかかる髪を掻き上げ、問う。 「ねえ、僕は変わらず、美しい?」

2013-07-28 15:44:20
----- @ssdmt_sin

→獅子のぬいぐるみ。 ――なるほど、先ほどまではここにいたらしい。 さて、ならばどうしましょう。すぐに戻ってくるかしら、ちいさな愛しい傲慢は。 「――そうね、」 そっと壁側に寄る。 「さっきまでいたのなら。きっとすぐに戻ってくるわ」 広間の扉にゆると目を向け、伏せた。

2013-07-28 15:48:41
リズ @soujyu00_sin

ちりん。鈴の音が響く。 音に呼ばれる様ぱちり。瞳を開いた少女はきょろり、辺りを見回し。そして―― 「…この、気配っ!」 ぱ、と表情を輝かせると己を呼び起こした鈴の音の持ち主――黒猫を引き連れ部屋を飛び出す。軽やかに走り向かうは水仙の香る方を目指す。

2013-07-28 15:48:41
『   』 @Ssace_sin

「本当に久しぶり、よかった、君が目を覚ましてくれて。待ってたんだよ、僕の『嫉妬』」 水の淵のぎりぎりに立って、少年はぬいぐるみを抱き締め身体を揺らしながら言う。投げかけられたその言葉には、難しそうな顔をして。 「またそうやって、試そうとするんだから。アンヴィ、僕は嘘はつかないよ」

2013-07-28 15:55:21
『   』 @Ssace_sin

そう、前置くように言ってから、真っ直ぐに見据えて。 「君は、変わらない。美しさも、それ以外も。全部が全部で、『僕の嫉妬』」 手を伸ばす。招くように。そうして問いを返す。 「紅って名乗る事にした。黒に会ったんだ。……ねえアンヴィ、手伝ってくれる、前みたいに。僕と一緒に来てくれる?」

2013-07-28 15:55:22
リコリス @actAcedie

ひどく緩慢な動作で歩き続け――大した歩数ではないが――、一言。「つかれた」と、幼子が駄々を捏ねるかのように呟くと、手近な樹の幹に寄りかかり、「……おむかえ、待ってる」そう、囁くように言って、気だるげに顔を伏せた。

2013-07-28 16:07:41
紅の嫉妬アンヴィ・ナルシス @HeNotShe_Envie

甘やかに僕を酔わせる言葉を並べてる、小さな傲慢の額にくちづける。 「知っているよ。きみは嘘を吐かない。かわいい僕の傲慢。そして、きみも知っているんだ」 誰のどんな言葉も、僕には信じることができないと。 「ごめんね」 僕を掬いあげてくれたきみの言葉すら。それが、僕の罪科、『不信』。

2013-07-28 16:19:40
紅の嫉妬アンヴィ・ナルシス @HeNotShe_Envie

傲慢の口から零れた色の名に、ほんの僅か、目を瞠る。 「……ノワール?」 けれどそうして、納得ができた。どうして僕が目を覚ましたのか。 「そうか、オルグイユ、きみは、『クァート』に触れたんだね」 その名称を、それが示すものと結び付けられるものは、この世界には僕しかいないだろう。

2013-07-28 16:19:45
紅の嫉妬アンヴィ・ナルシス @HeNotShe_Envie

「ああ、世界は今日も嘘吐きだ」 この嘆きは、紅の嫉妬である僕の口癖。 「もちろんだよ、僕の傲慢。僕はいまも、きみを信じてはあげられないけど、それでもきみが僕を信じるかぎり、僕はきみの嫉妬なんだ」 伸ばされた小さな手に、濡れた自分の手を重ねる。 「きみはいつ、僕を捨てるんだろうね」

2013-07-28 16:19:52
リズ @soujyu00_sin

広い回廊を走り抜けて外へと飛び出し、再び走りだした直後、なぁ、と鳴いて止まる黒猫。 ちりん。音に呼ばれるように少女も自然立ち止まる。 「もう!何よ……って」 猫の視線の先。樹木に寄りかかる姿に目を留めれば何の迷いも無く近づく。 「アセディじゃない。何してるの??…また電池切れ?」

2013-07-28 16:22:23
『   』 @Ssace_sin

「捨てたりなんかしないよ、アンヴィ。君が僕を捨てても、僕は君を手放さない」 『不信』は、けれど唯一、事実だけは受け容れてくれるだろう。そう信じて濡れた手を握り締めて。琥珀の瞳が、ふわりと和らいだ。 「——おはよう、アンヴィ・ナルシス。僕の嫉妬。行こう、皆の分も準備はできてるんだ」

2013-07-28 16:25:33
リコリス @actAcedie

ふ、と。呼ぶ声が、したような気がする。ゆっくりを顔をあげて、視線の先に、黒猫と少女を捉えた。 「え、と……」 誰だっけ、と僅かに首を傾げてから。 「――アヴァリス。……ん、おはよう」 大きな欠伸を零して、小さく笑い掛ける。

2013-07-28 16:25:40
----- @ssdmt_sin

――瞼を開く。眼を閉じたときと、変わらぬ光景。 大広間をまた見渡して、再び目を伏せた。 …みんな、おそいなあ。

2013-07-28 16:28:18
紅の嫉妬アンヴィ・ナルシス @HeNotShe_Envie

「おはよう、オルグイユ。僕の傲慢」 大罪は七つ。その気配が近くにある。そのうちいくつかが、記憶と異なることもわかった。けれど、いなくなったことを咎めたりしない。だって最初から、不変など信じていないのだ。 「僕の知る皆は、どれだけ残っているかな」 小さな手に引かれて、僕は歩き出す。

2013-07-28 16:36:24
muguet(ミュゲ) @reclew_2ndsin

「…なぁんだ、ここに来てるのまだ一人だけ?」 何も無い空間から声が聞こえる。 その声は色欲に向けて。

2013-07-28 16:36:58
リズ @soujyu00_sin

更に近寄り、じ、と見上げて至近距離まで顔を近づける。間をおいて呼ばれた名にため息。 「…ねー。いま、絶対あたしの名前忘れてたでしょ」 寝起きに何をいってもダメか、と腰にてを当てたまま一人ごちる。それでも言われた言葉には嬉しげに顔をほころばせ 「おはよう、アセディ」

2013-07-28 16:42:24
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