放射線の遺伝影響をめぐるYuhki_Nakatake先生と林衛先生の対話

放射線の遺伝、生殖細胞への影響について、林先生と分子生物学がご専門のNakatake先生が、重要で興味深い議論をされていましたので、まとめました。科学の専門家が社会問題に対してどのように専門知識をに生かしていくかということを考えさせられました。(議論のはじめがtogetterのコメントからなのでわかりにくいです。ご了承ください)。
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清水修二氏『明確な根拠も無く遺伝的な影響を口にする世の「識者」たちは、自らの言動のもつ重い影響と責任を、自覚しているのだろうか…』
http://togetter.com/li/550254#c1197835 のコメント欄より↓

Hayashi: 被曝の自覚すらもたないほうがよいとのお考えもあるようですね。被曝の事実を認めること=差別の容認みたいな構造があるとのご意見でしょうか。ロシアでは,同様の混乱が生じた経験をふまえて,放射線による直接影響だけでない,すべての影響をケア,追跡の対象にしています。 http://blogs.shiminkagaku.org/shiminkagaku/2013/02/27.html (チェルノブイリ事故から26年)。そういう進め方を健康管理調査委員に求めるのは,「差別の容認・助長」ですか?

Nakatake:話題だけ提供されてスルーされ続けているので念のため。『遺伝子や染色体レベルの異常の増加が父親の被曝量に応じた有意にみつかる』云々は、高BG地域でも見つかっています。そしてそれは『奇形などの遺伝的な実影響として有意とは考えられません』http://9oo.jp/auEW47 (中国の高自然放射線地域における住民の健康調査)この違いは御理解されていますか?ごっちゃになっているなら確認されたほうが良いと思います。

Hayashi: 自然高線量地域の問題については,下で検討しています。 「低線量被曝問題はなぜ混乱が続くのか—復興をさまたげる政府の放射線安全論」 http://archives.shiminkagaku.org/archives/2012/03/post-286.html
 「遺伝的影響がある、とする人が6割もいて深刻だ」を出発点に,6割を0に近づける方法がよいのか,その事実をもとに防護や権利擁護の不足を県や政府に求めるのがよいのか。県民健康管理調査検討委員の清水氏は,前者の立場。「(遺伝的影響がある、とする人が6割もいる)という事実をもとに防護や権利擁護の不足を県や政府に訴え,改めていこうと求めるのがよいのか」が,後者の立場ですね。県の委員である清水氏は,県のやり方に納得したほうがお得ですよと県民に説いている構図。このスレッドの多数意見も後者に同調。

Nakatake: すみません。回答になっていません。言い直すと『末梢組織の染色体異常と生殖細胞の機能異常の違いを理解されていますか?』『生殖細胞の機能異常が示唆されるエビデンスは低線量域にありますか?』です。さらに加えると『なんで関係の殆どないデータを論拠としているのですか?』です。ここら辺、やっぱごっちゃになってませんか?

Hayashi: 野村大成氏の論理は,(1)親に被曝・曝露をさせた動物実験で,子や孫の代に線量・容量応答がみいだされ,(2)遺伝子のキズの蓄積なので,(3)しきい値なしだと考えられるということ。これだけでは「示唆」ともいえないとのご主張ですね。
 「健康管理調査委員」の役割が,県民の意識(6割が遺伝的影響がある)をもとに,健康管理調査を改善しようとすることだと考えるか,県民に意識を改めようと訴えることにあると考えるか,そのちがいがありますね。

林 衛 @SciCom_hayashi

化学物質,放射線などいろいろやってますよ。野村さん http://t.co/OLURt50gYA http://t.co/UPGWOKEkqd 放射線の実験に対しては横やりもあって苦労されたとか。 RT @Yuhki_Nakatake 野村大成氏のはそもそも放射線でもないですし、

2013-08-19 14:22:46

Hayashi: 「6割の人が遺伝子の影響を心配している」福島の方々が,みなさんによる啓蒙の対象にされるほどまちがった認識をしているとは,私はいっさい考えておりません。

Nakatake: @parasite2006 @SciCom_hayashi リンクありがとうございます。ああ、放射線でもやってたんですね。失礼しました。当たり前ですが、総曝露量が増えれば(化学物質だろうと放射線だろうと)影響みえますけど、低線量率にしたら、LNTで想定される有意な影響が見えなかったりしますhttp://9oo.jp/iwEUVZとかhttp://9oo.jp/ozJKRSとか。そういったことを色々すっ飛ばされると理解されないのではないでしょうか。

Hayashi: 広島・長崎の方の葛藤は,自覚症状があり,まわりで亡くなった方がいるのに,因果関係が証明できないとして切り捨てられてきた長い歴史のなかに生じています。最新の放影研の研究では,白血病に関してようやく統計的に有意な影響が見出されてきた段階。ありなしでいえば,ありなんです。

naka-take @Yuhki_Nakatake

@SciCom_hayashi @aizujin_k @ye2cun @CocaHills 横失。こういう発言→https://t.co/otK7K9ZMHeそのものが呪詛レベルの論拠提示なのは御自覚下さい。線量も桁が違うし、結果も次世代に関係する遺伝的な影響ではありません。

2013-08-21 02:47:00
naka-take @Yuhki_Nakatake

@SciCom_hayashi @aizujin_k @ye2cun @CocaHills 末梢リンパ細胞の染色体異常は被曝量の目安に用いられてますが、生殖細胞の機能や次世代に伝わる配偶子内の遺伝情報に変化を与えた指標ではありませんよ→http://t.co/jV2ndctyM1

2013-08-21 03:06:09
naka-take @Yuhki_Nakatake

@SciCom_hayashi ①論拠元が明示されていない②論拠になっていない③悪いイメージだけ与える④発した人間が整合性を説明できない←これら①~④を満たす表現は「呪詛」で適当だと思いました。 @aizujin_k @ye2cun @CocaHills

2013-08-21 03:24:13
林 衛 @SciCom_hayashi

資料感謝です。「被曝量30センチグレイ以上のグループの罹病率は被曝量0~5センチグレイのグループの値よりも有意に大きい」って,廃炉作業者とかなり重なりませんか。RT @Yuhki_Nakatake 線量も桁が違う @aizujin_k @ye2cun @CocaHills

2013-08-21 03:33:07
naka-take @Yuhki_Nakatake

@SciCom_hayashi 比較的短期間に300mSv以上被爆することで健康に影響が見えた、という事象に関して、今までの話の流れで何か不明な点がありましたでしょうか? @aizujin_k @ye2cun @CocaHills

2013-08-21 03:38:59
林 衛 @SciCom_hayashi

ご指摘の資料,2世データありますか。ロシア公的コホート。 ラリーサ・S・バーレヴァ(ロシア連邦小児放射線防護臨床研究センター所長)講演資料 http://t.co/o6vdFNPceK @Yuhki_Nakatake @aizujin_k @ye2cun @CocaHills

2013-08-21 03:41:44
林 衛 @SciCom_hayashi

「呪詛」によって惑わされ,影響される弱い福島県人をイメージされているようですね。私の福島の友人たちが最も嫌ういい方ですよ。RT @Yuhki_Nakatake これら①~④を満たす表現は「呪詛」で適当だと思いました。@aizujin_k @ye2cun @CocaHills

2013-08-21 03:51:45
naka-take @Yuhki_Nakatake

@SciCom_hayashi リンク先を辿られては。ご提示の口頭発表のデータも含め、現状の「50もしくは100mSv以下の被曝量で次世代に伝わる影響は検出できない程度」という事実が否定できるとお考えですか?@aizujin_k @ye2cun @CocaHills

2013-08-21 03:53:13
naka-take @Yuhki_Nakatake

@SciCom_hayashi すみません。さっぱり意味がわからないです。呪詛って弱い対象にかけるものなんですか?「どうしようもないくらい強いから呪いでもかけておけ」程度のイメージしかありませんでした。お詫びいたします @aizujin_k @ye2cun @CocaHills

2013-08-21 03:59:15
naka-take @Yuhki_Nakatake

@aizujin_k 恐縮です。事実関係としては、彼の言う「兄弟で7倍違う云々」という点が、未だに一次情報が見つからんのですよ。あるのはhttp://t.co/4FhSF1ZyKHの崎山氏の文章のみ。ヤブコロフ報告自体アレですが、その中にもないし(´・ω・`)@Jem0211

2013-08-21 19:36:02
naka-take @Yuhki_Nakatake

@aizujin_k @Jem0211 おっと、やっとたどれました→http://t.co/1n3BBb6pnBの方の51ですね。原著にようやくたどり着けました。雑誌名が変更されてたようです。時間あるときに眺めておきます。

2013-08-21 19:47:59
naka-take @Yuhki_Nakatake

@aizujin_k @Jem0211 内容ざっと確認完了しました。やっぱり末梢血の遺伝子解析ですね。方法としてhttp://t.co/tSI6qHeYqvで示されているユニークな方法で検討されていました。被験者数は23+18人の対照群と4+18人の被験群。

2013-08-21 21:44:37
naka-take @Yuhki_Nakatake

@aizujin_k @Jem0211 で、末梢血の染色体変異について調べているのですが、スコア化する際に、http://t.co/2CdFRFpbmrな方法で増幅したものを、彼ら独自の配合の道具で分析しています。非常にユニークなやり方だと思いますが、不確実性も増幅されがちな方法

2013-08-21 21:49:54
naka-take @Yuhki_Nakatake

@aizujin_k @Jem0211 結構難しい方法なんですよ、こういうの。http://t.co/iskEGJcYkfとかでも問題に上がってるくらい。業界内の使い方ガイドラインとして「条件を最適化すれば最初の検出には向いてる」「半定量的」「他の方法でも要検討」とか言われてます

2013-08-21 22:17:03
naka-take @Yuhki_Nakatake

@aizujin_k @Jem0211 なので、「遺伝子異常が7倍になった」みたいな量の概念に踏み込んだことを実証するには、あんま向いてないです。ピンと来にくいと思うんですが、刑事ドラマとかでやってる「DNA診断」の結果を数字化するみたいなもん←これも十二分に判りにくい(滝汗)

2013-08-21 22:23:28
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