日本は多文化主義を取り入れられるのか

金明秀 KIM, Myungsooさん(http://twitter.com/han_org)と、沼崎一郎さん(https://twitter.com/Ichy_Numa)のツイート。 金明秀 KIM, Myungsoo(@han_org)/2013年08月25日 - Twilog http://twilog.org/han_org/date-130825 沼崎一郎(@Ichy_Numa)/2013年08月25日 - Twilog 続きを読む
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金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

ワシントン大行進と昨今の状況の違いについては、やっぱり自覚的であったほうがいい気がするなあ。違いをわかったうえで再評価するというスタンスは当然あっていいのだけど。

2013-08-25 14:37:41
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

例えば、論点の一つは、ワシントン大行進の再評価が自動的に定住外国人の帰化促進運動へと帰結する、ということ。論理的にも、時代的潮流としても、そういう議論が出てくる。ぼくはそれが必ずしもわるいとは思わないけれども、ちゃんとそういう流れを自覚した上でやっていることなんだろうか。

2013-08-25 14:56:49
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

かつて「マジョリティとは何か」というイメージが明確だった時代、すなわち、近代主義的な社会計画を人々が信奉し、画一的な社会理念を共有した時代においては、社会は「われわれ」マジョリティとは異なる「他者」をいきなり排除するよりも、まずは同化し、包摂することを好んだ。

2013-08-25 15:06:37
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

つまり、「他者」は、よくもわるくも「われわれ」と同じ価値観と生活様式を持つことが期待され、同じ社会の一員(公民、国民)として包摂されるべき存在だと考えられた。ワシントン大行進はこの時代の理念を実現するための代表的な社会運動であったといえる。

2013-08-25 15:08:44
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

状況を変化させたインパクトの一つは、第2次世界大戦後の欧米社会で、経済復興や経済成長に必要な労働移民を積極的に受け入れるようになったこと。それによって、「公民、国民ではないけれども、事実上の社会構成員」(にもかかわらずその地位が不安定という問題)が大量に発生することになった。

2013-08-25 15:12:52
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

もう一つの大きなインパクトは、いわゆるフォーディズムからポストフォーディズムへの変化。この移行に伴う労働市場の変容と、コミュニティの解体に起因する個人主義の台頭は、世界を包摂型社会から排除型社会へと一変させた。

2013-08-25 15:15:36
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

この二つのインパクトは部分的に競合しながらも協調的にスケープゴート現象の拡大を招いた。つまり、異質な他者の増大によるゼノフォビアの伸張と社会秩序の解体によって生じた根源的な不安は、「他者」をリスクそのものと見なして排除する傾向を生み出した。

2013-08-25 15:18:52
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

欧米諸国で90年代以降に顕著になった、レイシスト集団によるヘイトスピーチ・ヘイトクライムの蔓延、極右政党による移民・難民に対する排外主義的政策の唱導、等々は、こういう文脈の現象として理解されている。

2013-08-25 15:21:20
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

ちょっと米国の話から外れたな。

2013-08-25 15:22:01
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

こうした事態をにらんで、欧米諸国で思想の左右を問わずにしばしば論じられるようになっていることが2点ある。一つは、国籍の再評価。あるいは、グローバルシティズンシップとか定住外国人(デニズン)の権利への関心が後退し、リベラル・ナショナリズムが流行するようになった、といってもいいかも。

2013-08-25 15:27:03
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

もう一つは、日本でもよく報道されることだけど、多文化主義に対する風当たりがきつくなったこと。(個人的にはリベラル多元主義とコーポレート多元主義をめぐる議論が十分には周知されていないせいではないかという気もするのだけど、それはともかく)多文化主義は政治的には終わったように見える。

2013-08-25 15:30:25
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

つまり、排除型社会(あるいは「統合の危機」)に対処するためには、多文化主義の徹底といった戦略は採用されず、むしろ、《新しい国民国家》《新しい同化主義》みたいなものを採用する国が増えているということ。

2013-08-25 15:34:52
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

この潮流を、多文化主義を重視する立場から、あるいは、多様なシティズンシップを重視する立場から見れば、悪夢の時代への逆戻りに見えるだろうね。

2013-08-25 15:40:49
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

まあでも、そういう流れを、わるい面ばかりでもない、と評価する立場も当然ある。

2013-08-25 15:44:43
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

後期近代に生じた社会秩序の解体は、「マジョリティとは何か」というイメージそのものを流動化させた。そのため、スケープゴートの対象となったのは、必ずしも伝統的に「他者」として排除されてきたマイノリティにはとどまりまらなかった。

2013-08-25 15:48:20
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

むろん、マイノリティは伝統的な「他者」として何重ものスケープゴート化の被害にあったが、それ以外にも、公務員、罪を犯した者、スキャンダルを取りざたされた者、若者、貧しさ、安定した仕事がないこと、場合によっては恋人がいないことですら、攻撃の対象とされて炎上するようになった。

2013-08-25 15:51:26
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

マイノリティへの社会的排除を許容する社会は、「われわれ」の誰もが潜在的に排除される不安に苛まれる無縁社会でもあったわけだ。こうした認識は、ただ単に「他者」に同化を迫るだけでなく、「われわれ」の側も変わらなければならないという理解へとつながった。

2013-08-25 15:53:42
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

そうした反省的な立場から、あらためてワシントン大行進を再評価する、というのはあっていいと思うんだよね。実際、レイシズムと排外主義に抵抗するべく世界で尽力している人々にとって、大きな手段となっているのは、包摂型社会の時代に整備された法律群だったりする。

2013-08-25 15:58:00
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

マイノリティのために整備したつもりの法制群によって、むしろ社会全体が守られていたのだということを理解し、かつ、マイノリティにだけ同化を強いることはもはや許容されない不正義であるという認識を堅持するなら、国籍の再評価などの国際潮流にも見るべきところがある。

2013-08-25 16:04:24
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

ただ、実質的には一度として多文化主義を経由していない日本において、この2つの理解をどこまで求めることができるのか。そうあってほしいという強い期待と同時に、やはり強い懸念を抱かざるをえない。運動に参加する人々には、単なる同化主義に陥らないよう、不断の確認をお願いしたい。

2013-08-25 16:08:21
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

以上を前提として、応援しています。/【開催日時決定!拡散希望】 差別撤廃 東京大行進! 9月22日(日)新宿中央公園 水の広場 12時半集合 13時出発! リンク先の「ツイート」ボタンで拡散にご協力をお願いします!→ http://t.co/qlu1OAQZTV

2013-08-25 16:14:40
沼崎一郎 @Ichy_Numa

始まってもいない日本で終わりを論じてもねえ…。ヨーロッパが「社会統合」へと大きく舵を切ったのは確かでしょうが、東アジアで「多文化」が問題化するのはむしろこれからだと思う。 MT @h_hyonee:しかし、「政治的に多文化主義は終わった」か!! @han_org

2013-08-25 16:39:11
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

ぼくも個人的にはそうあってほしいと思います。 RT @ichy_numa: 始まってもいない日本で終わりを論じてもねえ…。ヨーロッパが「社会統合」へと大きく舵を切ったのは確かでしょうが、東アジアで「多文化」が問題化するのはむしろこれからだと思う。

2013-08-25 16:50:58