第二大罪大戦《二の狭間》【戦闘フェイズ2】

紅(ルージュ)は嫉妬、アンヴィ・ナルシス(@HeNotShe_Envie) 同じく色欲、リュグズュール(@ssdmt_sin) 黒(ノワール)は憤怒、ツォルン(@Whiteplays_sin) 狭間に、交叉する。
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紅の嫉妬アンヴィ・ナルシス @HeNotShe_Envie

スープの皿から湯気が立っている。木でできたテーブルの上に並ぶのは、素朴な家庭料理だ。先に訪れた黒が待ちくたびれたのかと思ったけれど、建物の中に気配はない。 玄関扉を押して外に出る。小さな町の風景だった。あちこちの家屋から、かまどの煙が立ち上っている。ここはそういう舞台らしい。

2013-08-19 08:10:46
----- @ssdmt_sin

ぼうと周りを眺めながら外へ向かう嫉妬についていく。 建物から出て、首をかしげた。 何かが欠けている、ような。 でもまあそれでもいいかと、風景をただ眺める。

2013-08-19 13:26:50
紅の嫉妬アンヴィ・ナルシス @HeNotShe_Envie

しんと静まり返った無人の町は不気味で穏やかに見える。本当に静かなだけなのだろうか。また音が聞こえなくなっているだけではないのかと疑う。 「黒は、来ていないのかな」 発してみた声は聞こえた。そういえば、今開いた扉の軋む音も、きちんと聞こえていた。僕の耳がおかしくなったわけじゃない。

2013-08-19 15:11:45
黒の憤怒:ツォルン @whiteplays_sin

「今……」 物音がしたわ。誰も居ないのかと思っていたけれど、やっぱり居るのね。 少女は音のしたほうへ、ひたひたと歩く。静かすぎて足音がよく聞こえる。 裸足で歩く少女、スカートの端が焦げてしまっている少女。うさぎのグナードは腰にまきつけたままになっている。以前の戦闘の続き。→

2013-08-19 18:22:05
黒の憤怒:ツォルン @whiteplays_sin

小さな屋外灯を見送って、それを付けていた家の角を曲がる。 見つけた。 「こんにちは」 挨拶をする少女は微笑みながら首を傾げる。引きずるほどに長い髪を地面に寝かせて、片手をきゅっと握って質問する。 「私は罪を持っているけど、貴方達は?」 少女は子供らしい愛らしさを表現したつもりだ。

2013-08-19 18:27:55
紅の嫉妬アンヴィ・ナルシス @HeNotShe_Envie

微かに足音が近付いてくるのを耳にして、そちらへと目を向ける。家屋の影から姿を見せたのは、帰らなかった強欲よりも幼く見える、少女だった。 「こんにちは」 微笑に対して僕も微笑を作る。ほとんどが包帯で覆われた顔で、彼女から見えるのは右眼と、口元から顎にかけて、それに左頬くらいのもの。

2013-08-19 19:03:45
紅の嫉妬アンヴィ・ナルシス @HeNotShe_Envie

衣服に隠れていないところでは、右手も堅く巻かれている。一目見て、傷口を覆うためのものではないとわかるだろうか。 罪を持っているとの言い回しに首を傾げて、どう答えたものかと悩む。 「僕は……そうだね、僕の大罪と呼んでいるものもあるけれど、彼らが本当に僕のものだとは、信じられない」

2013-08-19 19:03:50
紅の嫉妬アンヴィ・ナルシス @HeNotShe_Envie

僕にとって、罪は持つものではなかった。僕自身が罪であり、それは事実として揺るがないことだったから。 「あるいは、唯一にして真なる嫉妬である僕自身は、事実として僕の罪なのかもしれないけれど……これで、答えになっているかな」 少女を観察する。衣服の焦げ以外には、傷ひとつなく見える。

2013-08-19 19:03:54
紅の嫉妬アンヴィ・ナルシス @HeNotShe_Envie

黒の大罪であれば、先に紅と一戦を交えているはずなのに、そんな様子は少しも感じられない。 「きみは、誰だい?」 大罪であるように感じる。けれど、正体がわからない。『不信』は抑えたまま、問いかける。何者ともわからないままに、攻撃しようとは思わない。

2013-08-19 19:03:59
黒の憤怒:ツォルン @whiteplays_sin

「んー、よく分からなかったのだけど」 分かったところは 「つまりは嫉妬なのね」 うんうんと少女は頷いた。 「私はツォルン、憤怒。前に会ったヒトの守りたかったものって、貴方達じゃなさそうね」 紅は子供だらけなのかと思っていたけど、もしかして罪ではないヒトのことだったのかしら。→

2013-08-19 19:11:45
黒の憤怒:ツォルン @whiteplays_sin

「そちらは自己紹介してくれないのかしら」 少女は紅の嫉妬と共に居るもう一人に視線を移す。喋っている間に攻撃してくるようだったら危険はある。だが、相手を知る事は悪い事ではない。ヒトにとっての礼儀だったはずだ。だから少女は質問を投げかけた。

2013-08-19 19:18:22
----- @ssdmt_sin

持っている、のは、なんだろう。腕の中に目を落として、自己紹介、と言われてやっと気づいた。 「…わたしは、リュグズュール。色欲。」 名乗って、自分の名乗りにすこし首を傾けた。前はもう少し、別の名乗りだったような。 まあ、こういう名乗りも、良いだろう。

2013-08-19 20:00:28
黒の憤怒:ツォルン @whiteplays_sin

ふむ。特に動かないのね。前の憤怒は完全に戦う意思すら見えなかったけれど……。 「貴方達は違うわよね」 だって、あれだけ戦う気だった者が帰ってこなかったのだから。 少女は相手を見据える。 相手は攻撃を待っている? それとも、別の意図が? 分からないのは面倒だわ。

2013-08-19 20:17:59
紅の嫉妬アンヴィ・ナルシス @HeNotShe_Envie

名乗りと、続いた言葉を聞いて、事実が音なき音を立てて腑に落ちた。 「ああ……あの子は、やっぱり、大罪ではいられなかったんだね」 理解できたのは、僕が見てしまっていたから。彼が大罪でなくなろうとしている姿を。大罪以外のものに戻ろうとしていた姿を。左腕を撫でる。もう屈折の痕はない。

2013-08-19 20:21:36
紅の嫉妬アンヴィ・ナルシス @HeNotShe_Envie

彼は戦えなかったのだ。座を争うことさえ、出来なかったのだ。それは彼自身が、自分は憤怒でないと認めてしまったことにほかならない。 「ツォルン。今や唯一の正当な憤怒」 黒の、とは呼びかけない。彼が憤怒でなかったなら、彼女が憤怒であることは間違いがないから。

2013-08-19 20:21:43
紅の嫉妬アンヴィ・ナルシス @HeNotShe_Envie

「僕……アンヴィ・ナルシスには、きみを殺す必要がなくなったみたいだ」 正当な憤怒をあえて殺す必要は、どこにもない。とはいえ、 「きみには、あるのかな」 彼女に僕らを殺すつもりがあるのなら、戦いは避けられない。

2013-08-19 20:21:52
黒の憤怒:ツォルン @whiteplays_sin

「……?」 ガラスのような瞳を見開いて、少女は首を傾ける。そして、そのままの姿勢で口を開いた。 「私はまだ、貴方に怒るようなことをされていないわ」 扉を争う事は憧れだけど、それは一度経験したし。達成感は全くなかったけれど。 「けれど、扉は勝敗が決まらないと開かないわ」

2013-08-19 20:39:22
----- @ssdmt_sin

嫉妬の言葉を聞いて、彼女が紅のどの大罪と出遭ったかをようやく把握した。 …あなたでは、いられなかったのね。 あなたでいられなかったことを、あなたが肯定できていたなら、いいけれど。 目を閉じて、ピエロの背を思い浮かべた。 ――どちらでも、肯定するから。 ゆるく目を開いて、薄ら笑う。

2013-08-19 20:53:28
----- @ssdmt_sin

「…そうね。扉を開くには、どれかが消えないと」 艶やかに笑いながら言う。 言葉と表情は、ひどく不釣り合い。

2013-08-19 20:59:38
黒の憤怒:ツォルン @whiteplays_sin

「どれか? どちらか、ではなく?」 よく分からない。紅の色がとても不明瞭だわ。 あっと少女は声をあげる。 「そうそう、聞いておきたいことがあったの」 今はもうどうでも良いことなのだけど 「今回はどうして二種の大罪が存在してしまったのか、しっている?」

2013-08-19 21:03:10
紅の嫉妬アンヴィ・ナルシス @HeNotShe_Envie

「それはよかった」 まだ怒らせていないなら、もう少しは話ができる。僕は大罪が失われることを望んでいるわけじゃない。望んでいるのは、『トレークハイト』が繋いだ環、黒の終焉。紅(ぼく)の存続。 憤怒に向けた言葉を続けようとして、色欲の言葉に微かな驚きを覚える。がん、と頭を痛みが打つ。

2013-08-19 21:22:29
紅の嫉妬アンヴィ・ナルシス @HeNotShe_Envie

「……リュグズュール」 唇から零れた声は、硬く冷たいものだった。ざわつく『不信』を苦心して抑え込む。 「きみは、紅(ぼくら)はどちらかを欠いただけで、負けると、そう言うの? それはつまり、きみは黒に与するつもりがある、ということ?」 答えは待たず、色欲を一瞥した視線を憤怒に戻す。

2013-08-19 21:22:34
紅の嫉妬アンヴィ・ナルシス @HeNotShe_Envie

「七つの大罪が二つ存在したことの、理由や原因は僕は知らない。僕が黒から『削ぎ落とされて』、紅に流れ着いたときにはもう、黒とは違う三つの大罪が存在していたよ」 そのうち二つは、早くに失われて残っていないけれど。

2013-08-19 21:22:39
----- @ssdmt_sin

どちらかではないのかと問われて、虚を付かれた顔をした。 続けて、嫉妬の言葉に戸惑う。 「…え?」 だが、問いかけには、彼女は、頷くことしかできしかない。肯定以外を返せば、彼女は彼女でいられない。

2013-08-19 21:45:08
紅の嫉妬アンヴィ・ナルシス @HeNotShe_Envie

色欲が頷いた。その事実が、僕の何かを打ち壊した。左手をゆっくりと持ち上がる。彼女の首を締め上げるために。けれどそれは彼女の首にはかからず、肩へと置かれた。 「『肯定』の色欲、リュグズュール。きみは、紅のために、この『狭間』で、死んでくれるね?」 黒に与するなら生かしてはおけない。

2013-08-19 22:49:39