2012年ロシア論文「チェルノブイリ事故後のロシアにおける甲状腺癌の放射線疫学研究(放射線リスク推定、追跡期間1991−2008年)」 アブストラクト和訳および要点引用和訳 by YuriHiranumaさん(2013.8.29)

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Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

Radiation-epidemiological studies of thyroid cancer incidence in Russia after the Chernobyl accident (1991–2008) http://t.co/XwK3sZ298q

2013-08-29 16:07:00
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

2012年ロシア論文「チェルノブイリ事故後のロシアにおける甲状腺癌の放射線疫学研究(放射線リスク推定、追跡期間1991−2008年)」 以下、アブストラクト和訳および要点引用和訳

2013-08-29 16:09:01
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

アブストラクト この研究は、チェルノブイリ事故の影響で最も汚染がひどかったブリャンスク、カルーガ、オリョールとトゥーラ州の住民における甲状腺癌罹患率の分析である。追跡期間は1991年から2008年で、コホートサイズは309,130人である。

2013-08-29 16:09:33
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

この追跡期間中、978人に甲状腺癌が見つかった。1グレイあたりの過剰相対リスク(ERR/Gy)は、事故当時の子どもとティーンエイジャー(0〜17歳)で統計的に有意であった(ERR/Gy=3.22; 95%信頼区間1.56、5.81)。

2013-08-29 16:10:22
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

男児におけるERR/Gyは6.54で、女児の’2.24よりも高かった。被ばく後の時間的経過に伴う、統計学的に有意なERR/Gyの減少は、10年につき0.37倍であり、コホート全体と男児でそれぞれ見られたが、女児では見られなかった。

2013-08-29 16:11:34
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

被ばく時に18歳以上だった人達では、甲状腺癌の放射線リスクは見られなかった。 要点引用和訳 ロシア保健・社会開発省の国立医学放射線研究センターでの研究。 1991年から始まったチェルノブイリ登録のロシア部門はロシア国立医学・線量登録(RNMDR)で、

2013-08-29 16:12:55
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

RNMDRデータベースには、現在、689,000人の医学的および線量データが含まれる。このうち190,000人は緊急作業員で、433,000人は、ロシアで汚染された4州(ブリャンスク、カルーガ、オリョールとトゥーラ州)の住民である。

2013-08-29 16:13:32
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

この研究では、RNMDRコホートデータを使い、1991年1月1日から2008年12月31日の追跡期間中の甲状腺癌誘発の放射線リスクが推定された。 1991−2008年期間の309,130人のコホートで993人に甲状腺癌が見つかった。このうち247人は小児で、746人は成人だった。

2013-08-29 16:14:57
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

臨床的に診断されたのは、子どもとティーンエイジャーの8.5%と成人の10.5%のみだった。残りは細胞診断(小児の89%、成人の79%)、もしくはアイソトープ法、エコー検査か他の診断方法で見つかった。

2013-08-29 16:15:19
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

@YuriHiranuma 図1では、小児の甲状腺癌患者の分布関数に、線量が高い方へのシフトが見られ、放射線リスクが存在することを示している。図2の成人の分布関数はその反対で、おそらく成人では放射線リスクがないことを意味する。 http://t.co/18tAt82rWi

2013-08-29 16:17:36
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RNMDRで登録された247人の小児甲状腺癌のうち、61人は男児で186人は女児だった。追跡期間全体での平均放射線リスクは、リスクモデル1と2(被ばく後の経過時間により平均されたリスクモデル)ではERR/Gy=3.22(95%信頼区間1.56; 5.81)、

2013-08-29 16:18:47
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

リスクモデル4(被ばく後の経過時間を過剰相対リスクの交絡因子としたリスクモデル)の被ばく後15年目の中央推定値はERR/Gy=3.58(95%信頼区間1.61;5.57)だった。

2013-08-29 16:19:28
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

表1では、小児におけるERR/Gyの被ばく後経過時間への依存性が統計学的に有意(p=0.006)であるのが示されており、被ばく後5年後から15年後の間にERRが0.37倍に減少したことがわかる。 http://t.co/sKQIE3NQ8K

2013-08-29 16:34:00
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男児と女児が別々に分析された場合(表3)でも、ERRの被ばく後経過時間への依存性は統計学的に有意(p=0.04)であった。 http://t.co/8D6HeeSvMt

2013-08-29 16:34:46
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図4と5では、男児と女児における甲状腺癌と、健康なコホートの累積分布関数が示されているが、健康なコホートと甲状腺癌患者の放射線被ばく量の差異は、男児のみで見つかった http://t.co/xkE9ebyi3I

2013-08-29 16:37:20
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表3から、甲状腺癌の男児の平均被ばく線量は250mGyで、健康なコホートの178mGyよりもかなり大きい事が分かる。女児での平均被ばく線量は、甲状腺癌の患者で218mGyと、健康なコホートの196mGyより高かった。 http://t.co/abJfsSn79L

2013-08-29 16:38:06
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表3によると、リスクモデル1と2では、ERR/Gyは男児6.54、女児2.24、リスクモデル4では、男児6.70、女児2.68と、どちらでも男児が女児の約3倍だった。また、リスクモデル3による相対リスクは、甲状腺被ばく線量が250mGy以上だと統計的に有意になった。

2013-08-29 16:38:28
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

甲状腺癌発症率のベースラインモデリング、特に時間依存性は、明らかに、幼少期の放射性ヨウ素被ばく後の放射線リスクの数量的推定において重要な役割を果たし得る。チェルノブイリ事故で汚染された地域でのエコー検査と症例数報告の増加は、スクリーニング効果と甲状腺癌の初期診断に繋がった。

2013-08-29 16:39:55
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

ウクライナとベラルーシの高線量汚染地域の子どもとティーンエイジャーにおける甲状腺癌のベースライン発症率は、汚染がひどくない地域の4倍近くになった。

2013-08-29 16:40:37
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

この研究では、ロシアの一般統計と比べるとさらに高いベースライン発症率が見られ、成人では約4倍、小児では約8倍だった(表1のSIR、標準化罹患比)。ロシアにおける甲状腺癌のベースライン発症率は将来の疫学研究でさらに調査されるべきである。 http://t.co/DV0twLmhz2

2013-08-29 16:41:49
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引用和訳で言及されなかった図表 表2 チェルノブイリ事故当時の小児(0−17歳)の甲状腺癌相対リスクの推定、リスクモデル(3) http://t.co/l0GE6ey5zK

2013-08-29 16:50:41
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表4 チェルノブイリ事故当時に0−17歳だった男性の甲状腺癌相対リスクの推定、リスクモデル(3) http://t.co/3HC9di14dA

2013-08-29 16:51:53
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Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

表5 チェルノブイリ事故当時に0−17歳だった女性の甲状腺癌相対リスクの推定、リスクモデル(3) http://t.co/f8E0XizHa0

2013-08-29 16:52:39
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図6&7 線量区分による甲状腺癌発症率相対リスク、図6が男児、図7が女児 http://t.co/uJYkYjyQZH

2013-08-29 16:56:19
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Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

考察:この2012年ロシア研究論文は、1991年から2008年までのデータをまとめてある。男:女=1:3。男児でのERR/Gyが女児の2倍以上ということは、同じ被ばく線量だと男児の方がリスクが高いということになる。でも、男児の方が被ばく後の時間の経過と共にリスクが下がる。

2013-08-29 17:02:22