茂木健一郎氏 @kenichiromogi 第1040回【「刑事コロンボ」は、「ハイカラ」だった。】連続ツイート

2013.9/20 茂木健一郎氏 @kenichiromogi 【芸能人の、擁護の仕方】連続ツイート …相変わらず、hulu.jpでの『刑事コロンボ廃人』が続いている。とは言ってもずっと働いているので、夜寝る前とかに10分ずつくらい見る。今朝は、『祝砲の挽歌』を見てしまった。軍隊のアカデミーで、校長が大砲に仕掛けをする話…
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第1040回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、朝、ぼうっとしながら考えていたこと。

2013-09-20 07:55:02
茂木健一郎 @kenichiromogi

けは(1)相変わらず、http://t.co/kLYRXyDD4Hでの『刑事コロンボ廃人』が続いている。とは言ってもずっと働いているので、夜寝る前とかに10分ずつくらい見る。今朝は、『祝砲の挽歌』を見てしまった。軍隊のアカデミーで、校長が大砲に仕掛けをする話。

2013-09-20 07:56:59
茂木健一郎 @kenichiromogi

けは(2)不思議なのは、子どもの頃NHKで小池朝雄さんの吹き替えで見て以来、三十数年は経っているのに、印象的な場面は鮮明に覚えていることだ。あの頃はビデオもなかったし、再放送も記憶にないから、「一期一会」で見たものを、そのまま覚えていたとしか思えない。

2013-09-20 07:58:17
茂木健一郎 @kenichiromogi

けは(3)ビデオやネット動画登場前の地上波テレビは、「一期一会」だった。放送時間が近づくとそわそわして、トイレに行って、飲みものなんかも用意して、万全の用意をして見たものだ。だからこそ、三十数年経っても、「刑事コロンボ」の場面を、鮮明に覚えているのだろう。

2013-09-20 07:59:14
茂木健一郎 @kenichiromogi

けは(4)ところで、前にも書いたが、小池朝雄さん吹き替えの「コロンボ」と、もともとの英語のコロンボの人格印象が全く異なるものであることに、驚き続けている。小池さんのコロンボは、「うちのかみさんがね」という感じで、とぼけ、よれよれで、情けない感じが正面に出ていた。

2013-09-20 08:00:29
茂木健一郎 @kenichiromogi

けは(5)ところが、英語のコロンボは全く違う。まず、無駄なことがない。物事の本質にずばっと迫っていって、容赦ない。事件の筋を読んで、犯人を追い詰めるために、最短距離を通っている。余裕こいてとぼけているというよりは、動きが筋肉質で、脂肪分が全くない感じなのである・

2013-09-20 08:01:59
茂木健一郎 @kenichiromogi

けは(6)思うに、子どもの頃、小池朝雄さんのコロンボを見て、魅力的だな、と思った私は、その後ピーターフォークの地声を(確か『ベルリン・天使の詩』で)最初に聞いたとき、「げげげ」と感じたのだろう。それ以来、機会はあったのに、英語の『刑事コロンボ』を見るのを食わず嫌いで避けてきた。

2013-09-20 08:03:32
茂木健一郎 @kenichiromogi

けは(7)こういうのか、とわかって見ると、英語の刑事コロンボは、実に魅力的である。事件の筋を考え、集中して追求することに全身全霊を捧げている。研究者やハッカーの姿勢に通じる狂気がある。小池朝雄さんのコロンボは、一つの「創作」だったのだなあと感慨深い。

2013-09-20 08:04:55
茂木健一郎 @kenichiromogi

けは(8)Aが、Bに接する時にA’になるというのがコミュニケーションの基本である。英語版の容赦ないコロンボのままだったら、日本市場でそんなに受け入れられなかったかもしれない。みんながモノマネするようなコロンボの新しい人格を小池朝雄さんが創造したから、あれほどのヒットになった。

2013-09-20 08:06:01
茂木健一郎 @kenichiromogi

けは(9)創造が見事なほど、原型は隠蔽される。このジレンマは、いわゆる「ハイカラ」と似ている。明治日本がつくった西洋は、本物とは別の、しかしリアリティのある創造物だった。宝塚やアニメの中に、そのミームの子孫がある。「刑事コロンボ」は、「ハイカラ」だった。小池さん、見事でした。

2013-09-20 08:07:23
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第1040回、「刑事コロンボ」は、「ハイカラ」だった。でした。

2013-09-20 08:07:52