Kindleでの電子書籍出版に伴う免税手続を電話でがんばった人の話

川人ちあき @melissa_exe

【電子書籍免税】http://t.co/6UpDRcL6ly　こういう事情があって、EINを取得し、W-8BENを申請しました。わけがわからないと思いますが、僕だって1ミリもわかっていません。ですが、せっかくなので、その経緯をまとめようと思います。

川人ちあき @melissa_exe

【電子書籍免税】まず、わけあって、W-8BENを申請するまでに、僕には1ヶ月しか時間が残されていませんでした。EINの取得までに、FAXを使うと2週間ほど、郵送だと1ヶ月ほどかかります。しかも不備があればやり直しです。電話しかない。僕はまず絶望しました。

川人ちあき @melissa_exe

【電子書籍免税】結論から言います。おすすめしません。とっととFAX申請したほうが、何倍もラクです。でも、その時の僕に、浅はかな考えが去来したのです。「帰国子女だし、電話申請もできんじゃね？」阿呆です。阿呆の極みです。僕はアメリカ合衆国の連邦政府機関に電話をかけることにしました。

川人ちあき @melissa_exe

【電子書籍免税】ネットでは「英語ができなくてもゆっくり応対してもらえた」という体験談と「パードゥーン？話にならないねッと言われて切られた」という体験談が乱立しておりました。僕は「英語で『砂ズリ』ってなんて言うか知ってるんだもの」という謎の自信を持って、コールにおよびました。

川人ちあき @melissa_exe

【電子書籍免税】アメリカの省庁ですので、当然お忙しいことと存じます。「電話が混み合っている」という、至極もっともな理由で、ずいぶん待たされました。冷蔵庫の中で、祝杯用のプレミアムモルツが必要以上に冷えていきました。電話代がヤバいので、一度切って待つことにしました。

川人ちあき @melissa_exe

【電子書籍免税】深夜2時頃（現地の10時頃）、今までのつながりにくさに比べて、驚くほどすんなり電話がつながりました。ここで僕はなぜか焦りました。つながると思ってなかったのです。「こちらはIRSのブラウン（仮名）、IDは＃％＄”（聞き取れない）です」と彼女は流暢な英語で言いました。

川人ちあき @melissa_exe

【電子書籍免税】正直に自分の阿呆さ加減を吐露します。ネットでは「はじめに流れる自動音声ガイダンスが早口すぎる」という意見がちらほらあがっていたのです。そのガイダンス自体が僕にとって「まあ、普通かちょっと早いぐらい」でしたので、僕は完全に、ここで油断をしてしまったのです。

川人ちあき @melissa_exe

【電子書籍免税】ブラウン女史は、ガイダンスなんぞよりずっとずっと早口でした。「こちらは”＄％＆の部署なんだけど、あなたは＃＄％＆を申請するつもりなの？」彼女は流暢な英語で言いました。流暢なのはあたりまえです。問題は、僕がここで「えあ、う」とか言って固まってしまったことです。

川人ちあき @melissa_exe

【電子書籍免税】僕はなんとか「日本で電子書籍作家をやっています。EINを取得したいのです」という言葉をひり出しました。彼女はさらに「ちょっと待って、あなた作家なんでしょ？EINを取得するの？それとも！＃＃＄を取得するの？」と畳み掛けてきました。

川人ちあき @melissa_exe

【電子書籍免税】「EINで正しくないのですか？僕はひょっとして、電話する部署を間違えましたか？」僕の最大の敗因はここです。EINがなにか、よく理解しないまま電話をかけたことです。ブラウン女史は「部署は合ってるけど、あなたの申請の意味がわからない」とおっしゃいました

川人ちあき @melissa_exe

【電子書籍免税】「いいですか？EINは＃＄％のための申請、＃＄％は＃＃＄のための申請なんです」彼女はそう言いましたが、すみません、わかりませんでした。そして彼女は「あのさ、あなたインターネットってやってる？」と聞いてきたのです。ダメです、これ、切られるパターンです。

川人ちあき @melissa_exe

【電子書籍免税】テンパった僕の、とっさのセリフは「やっていません」でした。そんなわけありません、電子書籍作家じゃないですか。「いえ、違くて」僕は必死で、弁解を繰り出しました。「僕はKDPの作家です。免税の申請をしたいのです。でも、FAXがないんです。電話しか手段がないんです」

川人ちあき @melissa_exe

【電子書籍免税】他にもいくつか、不毛なやりとりに女史を巻き込んでしまいましたが、最終的に「とりあえずわかった」と言ってくださったブラウン女史、完全な呆れ声でした。「担当者につなぐから、ちょっと待ってなさい」親切な彼女は、こうつけたしさえしてくれたのです「わかる？切っちゃダメよ」

川人ちあき @melissa_exe

【電子書籍免税】10分ほど保留になり、今度はブラウン女史よりいくぶん声の若い女性に電話がつながりました。「ハーイ、IRSのEIN担当者、バートン（仮名）よ。IDは＄％＄％（あいかわらず聞き取れない）」ブラウン女史よりゆっくりな喋り口でしたが、少し訛りがありました。

川人ちあき @melissa_exe

電子書籍免税】ブラウン女史に関してもそうですが「すっ、スローリープリーズ」ぐらいでは、彼女たちの喋りは遅くなりません。僕は「パードン？」「エクスキューズミー？」「ソーリー？」をローテーションしながら、ここでもいくつか不毛な会話に女史を巻き込みました。

川人ちあき @melissa_exe

【電子書籍免税】お仕事とはいえ、こんな阿呆に対応することは、彼女達にとって、たいへん不当な労苦と存じます。ともかく彼女は、最終的に「…作家さんなのね？」と、かなりマイルドな口調でおっしゃいました。「合衆国では事業をしていない、だから免税が必要なのね？まずお名前を言ってくれる？」

川人ちあき @melissa_exe

【電子書籍免税】「はいッ！チアキカワヒトです」僕はものすごいトーンの声で言いました。ネットの体験談を総合するに、ここまでくれば、電話は切られなくて済むようです。「SS4フォームを参照できる？」「はい、持っていて、書き込み済みです。僕は今、それを見ながら喋っています」

川人ちあき @melissa_exe

【電子書籍免税】あとは、「パードン？」を駆使しまくることによって、なんとか申し込み事項を喋っていくことができました。面倒くさいのは住所の部分で、彼女らには「東京都江東区（仮）」などと言って通じるわけがなく、いちいち「E-T-O…」とスペリングしなければいけないことでした。

川人ちあき @melissa_exe

【電子書籍免税】ようやく、女史との会話もこなれてきました。「合衆国において＃＄＄％＆を＃＄％＆していますか？」「…」「ね、アメリカに車とか大型の乗り物、持ってない？」「いいえ」彼女はまず、質問するべき事項を事務的に読み上げ、次いでくだけた表現でそれを言い直してくださいました。

川人ちあき @melissa_exe

【電子書籍免税】SS4という、申請のための書類を見ながら喋りますが、電話申請の場合、いくつか、書類に記載されていない質問をされます。バートン女史は「これは書類にない質問だからね」と前置きしてくださいましたが、いきなり聞かれるとテンパるかもしれませんので、一応、記しておきます。

川人ちあき @melissa_exe

【電子書籍免税】「取得したEINは、ギャンブルに使用するか」「合衆国で車を所持しているか」「合衆国で電話番号を所持しているか」「合衆国に事業所を持っているか」「電子書籍以外の事業に手を出すつもりはあるか」だいたいこんなところでしょうか。全部ノーで答えます。

川人ちあき @melissa_exe

【電子書籍免税】「事業の開始日は？つまり――あなたの最初の作品はいつ出たの？」「今までの制作物の数は？つまり――あなたは今までに何冊本を書いた？」という質問もされました。バートン女史、かなりくだけた表現で聞いてくださるので、このへんは比較的らくちんでした。

川人ちあき @melissa_exe

【電子書籍免税】申請書を見てもよくわからない質問は、ダメもとで「すみません、わたしの場合、どれにあたるか、教えていただけないでしょうか」と聞きました。バートン女史「そうね、あなたは作家だから、こっちでこう書いておくわ」とまで言っていただけます。本当に心の広いお方です。

川人ちあき @melissa_exe

【電子書籍免税】確認事項の後、間をおかず彼女が「じゃEINを言うから、メモの準備はいい？」とおっしゃいました。「えっもう出るの？FAXで２週間かかるというのはなんだったの？」と思ったのですが、「はい、準備できてます」と答えます。すごくあっけなく、9桁の番号は交付されました。

川人ちあき @melissa_exe

【電子書籍免税】次いで「2週間後に手紙が届くわ。原本は大事に保管して。コピーをとっておくといいわね」ネットで調べたところ、これが最後の会話です。声を裏返しながら「あの、本当にありがとうございました！」と言いますと「いえいえ、じゃあね！」と電話は切れました。