茂木健一郎氏 @kenichiromogi 第1050回【抑圧からの、解放!】連続ツイート
- riverland_c
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よか(1)私は、地上波テレビを見る時間がほとんどないので、有名番組でも、それを見る唯一の機会が、スタジオに呼んでいただいて収録する時だったりする。先日、あるバラエティ番組に呼んでいただいた時、MCのお一人(有名お笑いコンビの片方)の一言に、大変感心した。
2013-09-30 06:06:03よか(2)その番組は、出演者のふだんの行状などに対して、チクリのはがきや手紙を読み上げたりするのであるが、そのMCのお一人が、読み上げの最後に、「*****」という一つの文を付け加えたのである。それまでの経緯や文脈から、もともとのはがきにはなかった文であることは明白だった。
2013-09-30 06:07:33よか(3)この「*****」という文は、普通の地上波テレビの文脈では、おそらく決して放送されることがないものである。ところが、さまざまな条件が重なって、ギャグとして成立していた。まず、もともとのハガキの書き手による言葉ではないということ。書き手がこの言葉を吐くと、おそらくマズイ。
2013-09-30 06:09:23よか(4)次に、「*****」という文を、MCのお一人が、「お約束」として付け加えていること。敢えて感情を込めず、棒読み的なフラットなリズムで読む。そのことで、「*****」という文が、悪意の文というよりは、それだけぽんと投げ出された、スポットライト的な存在になっているのだ。
2013-09-30 06:10:33よか(5)何よりも、「*****」という文がハガキの文章の末尾につけくわえられるというギャグは、とても効果的でスタジオの人たちがみな笑っていた。普通、テレビでは放送されにくいこのセンテンスが、このように笑いを巻き起こしていることを、私は超絶技巧の天才だと感じた。
2013-09-30 06:11:45よか(6)さて、「*****」というセンテンスだが、これは誰でも腹が立てた時に、心の中で思ったり、叫んだりする言葉のはずだ。周囲に気を遣ったり、自分を抑えて生きている中で、半沢直樹のような不条理な扱いを受けたり、おしんのように忍んでいる人は、「*****」と叫びたくなるだろう。
2013-09-30 06:13:13よか(7)ところが、現代社会の「良識」の中では、「*****」という言葉は、よくないとされる。相手を傷つける、反社会的だからとかさまざまな理由で、そう叫びたくてもアカン、と押さえつける。ところが、困ったことに、人間の脳というのは、抑圧すればするほどエネルギーがたまるのだ。
2013-09-30 06:14:18よか(8)記憶でも感情でも、「それは社会的によくない」と押さえつけるほどに、龍のように暴れて、やがて思わぬかたちで顔を出す。だから、本当は、「祭り」的に、害がない程度で、「*****」と叫びたくなるその思いを、解放してあげればいいのだ。
2013-09-30 06:15:21よか(9)というわけで、私が出演させていただいが某バラエティ番組で、MCのお一人がハガキに「*****」という文章を付け加えた時、ああ、これで何百万人の心が解放されたかも、と思った次第です。だいたい、私たちが爆笑するのは、無意識に押さえつけていた何かから解放された時なのです。
2013-09-30 06:16:56