人生も芸のうちなり花曇

当初構想からずれてしまってオチに苦しんだが、手札から「人生も芸のうちなり花曇」を取り出して格好がついた。退屈な日常を芸で生き抜く決意をしたオンナの物語。
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土曜日 @doyoubi

#twnovel 旦那は実直真面目なバス運転士。無口でサービス精神のかけらもないんだなあ。ちょっと落ち込んでいたときに見合い話が来たので乗ってしまい、はずみで結婚、失敗だったかなあ。百姓上がりで土地、不動産をたっぷり持っていたのも正直、魅力だった。でも、生活は楽しーくない。

2010-10-08 07:34:24
土曜日 @doyoubi

#twnovel 姑も鬱陶しいの。「嫁に来たときは農家で大変だった、それに比べてあんたは」などと時々ネッチリからんでくる。あーヤダヤダ。昔の男の調子よさが懐かしく思えてくる。調子のよさで結局、逃げちゃったけど。それはともかく私の味方がいないのが辛い。どうしたらいい?

2010-10-09 07:02:11
土曜日 @doyoubi

#twnovel ヤタヤダといっても出来るのは精々ストレス発散買い物。でも、これも飽きるもんなあ。のめり込むような趣味もないし、しようがないからテレビの映画で気晴らし。こないだ、古い英国映画「逢いびき」を観ていたらほろっと来てしまった。スポーツ新聞を読んでた夫は気づいたかしら。

2010-10-10 07:36:27
土曜日 @doyoubi

#twnovel 「気づいたかしら」どころかこれ見よがしに泣くんだもんなあ。かまってちゃん妻にも困ったもんだよ。ちょっと相手にしてやると喜んでつけあがるから、俺はもう無視することにした。嫁は家事をこなして子供を産んでくれればそれで十分。なにっ、横暴夫ってか、それで結構。

2010-10-11 08:50:51
土曜日 @doyoubi

#twnovel ある日「助六曲輪初花桜」玉三郎を観てその芸に圧倒された。そうか、芸という手があった。無口夫との退屈な日常を舞台に見立てて私は芸人になるのだ。逆境を健気に聡明に生きる妻、それが私の役なんだ。「思えば出る、思わないことをするな」宇野重吉を芸の魂にしよう、うふふ。

2010-10-12 07:49:38